年の大晦日に初来日を果たし、1月5日(日)のプレミアム・ショーケース・ライヴは即完売、2月にはデビュー・アルバムの国内盤リリースを記念して早くも再来日が決定するなど、ここ日本でもホットな大型新人として注目を浴びまくっている歌姫=アリアナ・グランデ。華奢なカラダからは想像できない圧倒的なハイトーン・ヴォイスを武器に、アクターや声優業にも果敢にトライし続けている彼女の魅力を、3つのアングルから紐解いていきたい。

あまりにも理想的なシンデレラ・ストーリー

米フロリダ州ボカラトン出身のアリアナ・グランデは、現在20歳のイタリア系アメリカ人だ。弱冠8歳にして北米のプロアイスホッケーリーグでの国歌斉唱という大役を務め上げ、地元フロリダの交響楽団と共演。それが彼女にとっての全米TVデビューとなったわけだが、そのキュートなルックスと堂に入ったパフォーマンスに誰もが一瞬で恋に落ちた。

その後は15歳でブロードウェイの『13』に出演し、本人もリスペクトを寄せるマライア・キャリーやホイットニー・ヒューストンらの楽曲をカヴァーした映像がYouTubeで話題となり、さらにティーンの間で大人気のシットコム『ビクトリアス』(10年〜13年)ではキャット・バレンタイン役に大抜擢。これが大きなターニング・ポイントとなり、アリアナの名前は瞬く間に世界中に知れ渡った。11年には〈ユニバーサル・リパブリック〉と契約し、イタリアのアニメ番組『ウィンクス・クラブ』で声優業にも挑戦、時をほぼ同じくして「Klout.com」が発表した「オンライン上で最も影響力のあるセレブ女優」ではデミ・ロヴァート、セレーナ・ゴメスに続く第3位にランクイン(4位はなんとマイリー・サイラス!)。ショウビズ界で培われた表現力――これもアリアナの“強さ”の秘訣なのかもしれない。

時代はセクシーよりもヘルシー? アリアナの飾らない魅力

先日開催された<第56回グラミー賞>のレッドカーペットでは、心ないブロガーがアリアナの着ていたドルチェ&ガッバーナのドレスや髪型をツイッターでディスり、多くの人間がタイムラインで賛同。それを会場内で知ってしまった彼女が涙を流していたことも話題になったが、ゴシップや奇行ばかり取り沙汰される海外セレブの世界において、ここまでクリーンなイメージを保ち続けているアーティストも珍しい。

Photo:Yoshika Horita

アリアナが紹介される際に必ず飛び交うのが“ネクスト・マライア”というキーワードだが、スタイル面ではダイナマイト・バディで悩殺したマライア・キャリーとはむしろ正反対。健康的でチャーミングなルックス、気品漂うレトロ・モダンなファッション・センス、そしてカナダへの強制送還を求める署名運動も巻き起こっているジャスティン・ビーバー(彼のツアーではオープニング・アクトも経験)を擁護するなど、アメリカン・セレブのイメージを良い意味で裏切る性格の良さは彼女の交友関係の広さからも充分伝わってくる。また、1月の来日時には「きゃりーぱみゅぱみゅとお友達になりたいの!」と公言していたり、南アフリカの子ども達に音楽とダンスを教えるチャリティー活動に勤しんだり、その飾らない素顔も魅力のひとつであることは間違いないだろう。

90sフレーバー漂うデビュー・アルバムには、あの超・大物も参加!

本国では昨年8月末にリリースされ、見事ビルボード・チャートでトップに輝いたアリアナのデビュー・アルバム『ユアーズ・トゥルーリー』だが、一聴して感じるのが90年代のR&Bやポップスに対する並々ならぬ憧憬。アリアナは93年生まれということもあり、リアルタイムでそれらの音楽を聴いて自然と吸収してきたであろうことは想像に難くないが、なんと本作にはあのベイビーフェイスことケネス・ブライアン・エドモンズが全面参加しているのだ。ベイビーフェイスといえば、ホイットニー・ヒューストンやボーイズIIメンをはじめ、マライア・キャリー、セリーヌ・ディオン、ジェイ・Z……etcといった錚々たるアーティストのヒット曲を手掛けてきた90年代を代表する大御所シンガー・ソングライターにしてプロデューサー(クレジットには彼の弟子にあたるザ・ラスカルズの名前も)。この事実だけでもアリアナに寄せられた期待値の高さがうかがえるが、アリアナ自身も「エグゼクティブ・プロデューサー」としてソングライティングに関わっているだけあって、アルバム全体の統一感は折り紙つき。

ストリングスのイントロが図らずともジャスティン・ティンバーレイクと共振した冒頭の“ハネムーン・アヴェニュー”や、メアリー・J. ブライジの名曲“リアル・ラヴ”(92年)を下敷きにしたM5“ラヴィン・イット”、レディ・ガガを彷彿とさせる骨太なAメロに打ち震えるM6“ピアノ”のような新録トラックのクオリティも出色ながら、アリアナのブレイクを後押ししたシングル曲やコラボレーション・ナンバーがひと通り収録されている点が嬉しいポイント。彼女にとってのアンセム“ベイビー・アイ”からビッグ・ショーンを招いたM3“ライト・ゼア”におけるホイッスル・ヴォイスの応酬も凄まじいし、天性のスーパー・スターことミーカを迎えたM11“ポピュラー・ソング”の多幸感も素晴らしいが、1stシングルでもあるM8“ザ・ウェイ”ではラッパーのマック・ミラーをフックアップしてみせる先見の明も発揮している。なお、つい先日イギリスのボーイズ・グループ=ザ・ウォンテッドのネイサン・サイクスと破局したことが明らかになったけれど、そんな彼が客演するM11“オールモスト・イズ・ネヴァー・イナフ”は、リリース当時とは別の意味を持って聴けるパーソナルなラヴソングとも呼べるだろう。

“Baby I”

ミゲルやザ・ウィークエンド、アルーナジョージといったオルタナティヴR&B勢のみならず、ハイム三姉妹のようなロック・バンドも大胆に取り込んでいる90sフレーバーはここ数年のトレンドとも言えそうだが、R&Bやヒップホップの良質な部分だけを純粋培養したアルバムが『ユアーズ・トゥルーリー』なのだ。そして、マライア・キャリーの黄金期をなぞるかのごとく、すでに次のアルバムがスタンバイしているという噂のアリアナ・グランデ。まもなくプロモーション活動で再び日本を訪れる彼女だが、いち早く新曲を聴けるのは我々日本のファンだったりして?

(text by Kohei Ueno)

Release Information

2014.02.05 on sale!
Artist:Ariana Grande(アリアナ・グランデ)
Title:Yours Truly(ユアーズ・トゥルーリー)(CD+DVD)<初回生産限定盤>
ユニバーサル・ミュージック
UICU-9075
¥2,980(tax incl.)

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