水曜日のカンパネラ・コムアイとエレクトロニック・ミュージシャン、オオルタイチによる異色のユニット、YAKUSHIMA TREASUREが、先日の恵比寿LIQUIDROOMでの単独公演も成功裏に終えた矢先、早くも新たなフェーズへ向けて、今度は自身が主催するイベントを開催!

<Beat Compañero/波動の交わり>と銘打たれた本イベントには、<True Colors BEATS 〜Uncountable Beats Festival〜>でも共演したサンティアゴ・バスケス(Santiago Vazquez)フアナ・モリーナ(Juana Molina)ミロ・モージャ(Miloo Moya)といった、世界で名高いアーティストたちが出演することに! 本イベントでは、この4組でしか紡ぎだせない特別なコラボレーションパフォーマンスも披露される予定だ。

ビートの祭典を徹底解剖|YAKUSHIMA TREASURE、サンティアゴ・バスケス、フアナ・モリーナが競演する<Beat Compañero>とは? music191017_beatcompanero_allartist-1440x1440

このイベントに出演する4組に共通するのは、それぞれが独特のリズミカルな音楽性を放っているという点。それは彼ら自身の出自やパーソナリティがそれぞれの音楽に如実に現れているが故なのだが、本イベントではそれぞれの特徴ある音楽性がどのような形で交わり合うのだろうか? 今回は楽曲、パフォーマンスなどの観点から、アーティストそれぞれが持つ個性を紐解く解説をまとめてみた。また、イベント開催に向けてYAKUSHIMA TREASURE名義で出演するコムアイとオオルタイチ、そしてサンティアゴ・バスケス、フアナ・モリーナからのコメントも! 一夜限りのアーティスト・コラボレーションをお見逃しなく。

<Beat Compañero/波動の交わり>
出演アーティストを紐解く

YAKUSHIMA TREASURE
(水曜日のカンパネラ×オオルタイチ)

Official Trailer | Re:SET feat. Wednesday Campanella’s KOM_I

本イベントの主宰でもあるYAKUSHIMA TREASUREは、その名が表す通り、鹿児島県に属する離島・屋久島から着想を得ているユニットだ。YouTube Originalsでは彼らがどのような経緯で結成されたのかを追ったドキュメンタリー『Re:Set』が公開されているが、その中で彼らのユニークな制作過程がフィーチャーされている。

初のセルフタイトルEPでは、ユニットの起源でもある屋久島を訪れ、カエルの鼓動や木々をうつ雨、岸壁の風、波の音など、自然や人々の暮らしに寄り添った音をフィールドレコーディングし、それぞれの楽曲に使用している。それも手伝って、ビートそのものに不規則なリズムが生み出され、どこかスピリチュアルで幻惑的な音楽性が導き出されている。まるで島が生み出す“鼓動”が聴き取れるようだ。

そんな彼らのライブパフォーマンスは常に即興的だ。演出もその時々で変わり、その現場でしか見出せない瞬間を味わうことができる。先日の恵比寿LIQUIDROOMでの単独公演では、ステージ上で土と苔を植えるという大胆なステージングを披露し、躍動する屋久島のうねりを再現してみせた。<Beat Compañero/波動の交わり>でのステージではどんな仕掛けが用意されているだろうか?

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YAKUSHIMA TREASURE
2019年4月にYouTube Originalsで発表された、水曜日のカンパネラと屋久島のコラボレーションを試みる作品Re:SET。
この作品を通し一枚のEP「YAKUSHIMA TREASURE」が誕生した。島のカエルの鼓動や木々をうつ雨、岸壁の風、波の音に耳を澄まし、村のおばあちゃんたちとうたい、あの手この手で採集された音をもとに様々な曲が制作された。
屋久島の自然を壊滅させてしまった縄文時代の鬼界カルデラ噴火を題材にした「屋久の日月節」をはじめ、水曜日のカンパネラとオオルタイチが屋久島と取っ組み合い、紆余曲折を経て生み出したタカラのような曲たちをライブセットで披露する。

サンティアゴ・バスケス

Santiago Vazquez Special Band @Shinjuku PITINN August/26/2018

アルゼンチンを代表するパーカッショニストでありながら、アーティストだけでなく、楽器にあまり触れたことがないような初心者の方も参加できるワークショップを主催するなど、音楽の持つ多様性を伝える活動にも取り組んでいる音楽家、サンティアゴ・バスケス
ドラムスにコンガ、カリンバなど、数々の楽器を難なく叩きこなしてしまうパーカッショニストとしての腕前にも定評がある一方で、さまざまなアーティストと共演するリズム・アンサンブルを世界各地で披露していることでも知られている。

ここ日本でも、技巧派ギタリストの大友良英や女優としての活躍も目覚ましいシシド・カフカ、さらに先述のオオルタイチなど、多岐にわたるジャンルを越え、錚々たるミュージシャンたちと共演し、喝采を浴びた。

2018年度 アンサンブルズ東京(ショートバージョン)

ライブでは、自身のワークショップでも活用している“リズム・ウィズ・サインズ”と呼ばれるハンドサインを駆使し、リズム・アンサンブルの指揮者としての役割を果たしながら、ダイナミックさと緻密さが同居するパフォーマンスを繰り広げていく。各演奏者がバスケスの指揮に盛り立てられ、四方八方にインプロヴィゼーションを広げていく様相は、YAKUSHIMA TREASUREのライブ同様、圧巻の一言だ。

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Santiago Vazquez
1972年生まれ、ブエノスアイレス出身。アルゼンチンを代表する打楽器ほか多様な楽器の演奏者、作曲家、指揮者、文化イベントの仕掛け人。ハンド・サインにより複数の演奏者による即興演奏を可能とする「Rhythm with Signs」のメソッドを開発。本年4月にブエノスアイレス市から文化功労者と認定された。

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フアナ・モリーナ

Juana Molina – Full Performance (Live on KEXP)

アルゼンチン音響派というジャンルの第一人者としても知られるフアナ・モリーナは、その独創的かつ実験的なサウンドで日本を中心に人気を集めている。多くの楽曲は変拍子かつミニマルな音数で展開されながらも、ラテン・ミュージックに共通する軽快なメロディが散りばめられているのが彼女ならではの音楽性だ。
特に電子音楽の不穏なイメージとラテン・ミュージックの陽気さが絶妙にブレンドされた2ndアルバム『Segundo』は、彼女の代表作となり、日本でも大ヒットを記録した。以来、日本のアーティストと共演する場面も多く、2006年の来日公演ではYMOのメンバーでもある高橋幸宏や今は亡き電子音楽家のレイ・ハラカミとともにステージに立っている。

サンティアゴ・バスケスがオーケストラ・サウンドでのライブパフォーマンスを得意とする一方で、フアナ・モリーナのそれはほぼ真逆といってもいい。ステージに上がる演奏者も少数精鋭。サンプラーやシーケンサーを駆使しながら、音楽性同様にミニマルかつ無駄のない演出でステージを進めていく。気がつけば、彼女が魅せる柔和な世界観のトリコになっているだろう。

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Juana Molina
アルゼンチンのブエノス・アイレス出身。1995年に1stアルバム『Rara』。2001 年に『セグンド』が日本でもヒットし初来日を果たす。平井堅のアルバム『Ken’s Bar』に参加したこともある。2006年の来日公演では高橋幸宏、レイ・ハラカミがサポートを務めた。2017年には渋谷で開催されたジェフ・ミルズ、テリー・ライリーとのイベントに出演した。

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ミロ・モージャ

MILOO MOYA Y LA ORQUESTA DE BEATBOX – JAPON

ミロ・モージャはサンティアゴ・バスケスのパーカッション・ユニットであるPANのメンバーとして活躍する一方で、若手のビートボクサーたちを育成するプロジェクトOrquesta de Beatboxのディレクターとしても活動しており、これからのアルゼンチンのストリートシーンにも寄与しているアルゼンチンを代表するヒューマン・ビートボックス・アーティストだ。

彼のビートボックスはアルゼンチンの風土をもとに構成されており、クンビアなどに見られるラテン・ミュージック特有の2拍子のリズムが盛り込まれているのが特徴的だ。聴いてみると、フラメンコギターの音がどこからか聴こえてきそうなほど、情熱的なラテン・ビートがうまく再現されている。実際、ライブでもアルゼンチン・タンゴをベースにした楽曲を制作しているシンガーソングライター、ダリオ・ハルフィン(Dario Jalfin)や地元のフラメンコ・シンガーなどと共演し、腰にくる2ビートを披露している。

<Beat Compañero/波動の交わり>においても、そんなラテン・ビートを堪能できるだろう。またOrquesta de Beatboxでは、日本語を取り入れた楽曲も。以前より来日することを熱望していた様子なので、この日は一層気迫あふれるパフォーマンスを期待できそうだ。

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Miloo Moya
ヒューマン・ビートボックス・アーティスト。サンティアゴ・バスケスのパーカッション・ユニット「PAN」のメンバー。ヒップホップやエレクトロニック・ミュージックの限界を乗り越え、アルゼンチン民謡やクンビアなどの多様な影響から自身のスタイルを表現する。 Orquesta de Beatboxのディレクターとして、若いビートボクサーのためにワークショップを実施している。

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彼らは、それぞれが類を見ない個性をオリジナリティあふれる音楽に昇華しているという点でも共通している。これまでに挙げた彼らの音楽に対する向き合い方でそれがわかるはずだ。

当日は出演する全アーティストが同じステージに登って、それぞれの楽曲を1曲ずつ演奏するパフォーマンスも披露される。そんな個性あふれる4組による競演によって、きっとこれまでに見たことのない光景を目にすることができるだろう。

主催のYAKUSHIMA TREASURE、そして出演者の方々よりコメントをいただきました!

肝がヒエヒエしています!
森や湖や崖から、やばい魔術師が集まって、この日出演する人たちのなかで、私だけがまだどんな魔法をつかえるのかわかっていません! 才能のないハリー・ポッターのような気分です!
 
たのしみです!

by コムアイ

サンティアゴ・バスケスとは2006年に大阪新世界にあったBRIDGEでセッションをして以来、13年ぶりに再会します。2mくらいありそうな大きなバナナの葉っぱをアルゼンチンから持ち込んでパーカッションとして使っていたのを覚えています。かつてアルゼンチン音響派と一括りで呼ばれていましたが、その中でも随一の面白さとユーモアがあった彼の作品『Raamon』にはすごく親近感を感じました。
 
そしてフアナ・モリーナとは2009年彼女のUSツアー・フィラデルフィア公演でひょんなことからオープニングアクトを務めさせてもらったことがあったり、その後も僕のリミックスアルバムで彼女の「SON」という曲をこちらからオファーをかけてリミックスさせていただいた経験があります。
 
最近のYAKUSHIMA TREASUREでの活動を通して自分の原点でもある即興性の面白さを再認識しているところで、このタイミングで懐かしい2人とセッションできるのはとても嬉しいです。当日はヒューマンビートボクサーのミロ・モージャも加わり、どんな音空間になるか想像がつかないです。今からとても楽しみにしています!

by オオルタイチ

日本のポップアイコンのコムアイさんがワークショップとTrue Colors に参加して起きた変化が23日にどのように現れるか楽しみです。

by サンティアゴ・バスケス

はじめて会うアーティストとの共演にワクワクしています。

by フアナ・モリーナ

Text by Kenji Takeda

EVENT INFORMATION

Beat Compañero/波動の交わり

ビートの祭典を徹底解剖|YAKUSHIMA TREASURE、サンティアゴ・バスケス、フアナ・モリーナが競演する<Beat Compañero>とは? music191017_beatcompanero_eventphoto-1440x810
2019年10月23日(水)
OPEN 18:30/START 19:30
ADV:立見¥5,000/指定席¥5,800(税込/ドリンク代別)
DOOR:立見¥6,000/指定席¥6,800(税込/ドリンク代別)
渋谷WWW X

TICKET:イープラスチケットぴあローソンチケット

主催:株式会社つばさプラス
制作:SALMONSKY
後援:TRUE COLORS FESTIVAL
協賛・協力:QETIC
お問い合わせ:WWW X 03-5458-7688

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