年共演したピーター・フックから絶賛され、今春、マンチェスターが誇る伝説のクラブ 「FACTORY 251」での公演を含むUKツアーも成功を収めたDAMAGE。新作リリースも待ち遠しい彼らだが、UKツアー時の滞在記が届いた。DAMAGEがUKで感じた体験とは? 4回に渡ってお届けするので是非楽しんでほしい。

DAMAGE:UKツアー滞在記②

「人は自分の手が届く範囲に甘んじてはなりません。
そうでなければ何のために天国があるのでしょう?」

UKツアーに誘われた時、うれしい一方で、不安もあった。実は、ぼくは海外が初めてだったのだ。 とりあえずガイドブックを買いに本屋へ行った。そして、ふと手にした本の中に冒頭の言葉を見つけた。

心に刺さった。作者はロバート・ブラウニングというイギリスの詩人で「ハーメルンの笛吹き男」の原作者だという。ハーメルンは魔法の笛を吹いて子供たちどこか遠くへ連れて行く。そういえば、子供の頃、ぼくはこの物語が大好きだった。

それから約一年後の3月31日。ネストでの初ライブの翌朝、ぼくらはロンドンを出発した。目指すはマンチェスターの「FACTORY251」。ジョイ・ディビジョン/ニュー・オーダーのオリジナルメンバー、ピーター・フックがオーナーを務めるクラブで、DAMAGEはここでライブをするためイギリスへやって来たのだ。

ロンドン~マンチェスターは東京~名古屋と同じくらい。機材があるので移動にはレンタカーを使った。

[twocol_one] DAMAGEのUKツアー滞在記、第二弾は怒涛のマンチェスター編! news130531_damage_2-2-e1370007848974[/twocol_one]
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運転は、ベースのMarioくんが担当。イギリスは日本と同じ右ハンドルの左側通行だから簡単だろうと思ったが、ロンドン市内は大変だった。まず、交差点に信号がない。代わりにラウンドアバウトとよばれるロータリーがあり、そこをくるくる回って右や左に曲がるのだが、出口が全然わからない。おまけに車がマニュアルで日本車と比べてクラッチが超シビア。道路に気を取られていると、すぐにエンジンがストップしてしまう…。パトカーに止められたり、ロンドンバスにクラクションを鳴らされながら、なんとかロンドンを脱出!

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そしてモーターウェイを走り続けること5時間。ぼくらはマンチェスターの「FACTORY251」に到着した。

その日のイベントは、DAMAGEの単独公演で、エレクトロボディミュージックユニット「As Able As Kane」がサポートアクトをつとめてくれた。

80年代から活動を続けるAs Able As Kaneと、ファクトリーがブログでDAMAGEを大きく紹介してくれたおかげで、フロアは7割程度埋まっていた。客層もパンクキッズから年配の方まで日本よりも幅広い。

As Able As Kaneが終り、いよいよ本番。しかしライブが始まって2曲目で異変が発生した。電圧の問題か、モニターの音がバリバリと割れて聞こえる。シンセの2CHはかなりやりにくそう。振り返るとドラムのCHEMちゃんも険しい表情。ドラムセットの固定がゆるくキックを蹴るたびバスドラが前へ逃げていく。(後から聞いた所、イギリスではドラムは軽く叩くのが普通で、強く固定しないらしい)想定外のトラブルだが、それで逆に吹っ切れた。

ライブはここ最近で一番の手ごたえ!

終了後、地元のパンクキッズから握手を求められ、年配のカップルからは「マジカル!」と声をかけられた。

マジカルとは「魔法にかかったよう」という意味。うぶ毛が逆立つほどうれしかった!

基本的にバンドマンという人種は実生活では半端者だ。普通の人を1とするならたぶん0.5くらい。でもライブがうまくいくと、0.5+0.5+0.5+0.5が2ではなく、100とか1000に跳ね上がる。その瞬間はまさに魔法で、聴く人をどこか遠くへと連れて行ってしまうのだ。あのハーメルンの物語のように…。

マンチェスターで、ぼくらにもその魔法が使えたのだとしたら、UKツアーは大成功~!!

というわけで、次回は、再びロンドンに帰ります。

text by MxRxMxN(DAMAGE)

Release Information

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