新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策でも注目を集めている台湾のIT担当大臣オードリー・タンのインタビュー音源をトラックに敷き詰め、彼女が放つ未来に向けたメッセージをヒップホップの言語をもってアンプリファイする、異色のシングル“Civil Rap Song ft. Audrey Tang”を気鋭のヒップホップトリオDos Monosがリリースすることに。

Dos Monosが台湾のIT担当大臣オードリー・タンをフィーチャーした楽曲をYouTubeで公開

世界各国の政府がCOVID-19対策における、リーダーシップ、危機管理能力、ITリテラシーなどを問われているなか、デジタルテクノロジーを巧みに用いた政策で、パンデミックを早期に抑え込み世界中から賞賛の声を集める台湾。なかでもダイナミックなIT利用を主導した「IT担当大臣」の唐鳳(オードリー・タン|Audrey Tang)の手腕に、ひときわ大きな注目が集まっている。

今回のシングルリリースの発案は、3月にオードリー・タンのインタビューを敢行したコンテンツレーベル黒鳥社の若林恵。インタビューのなかでもとりわけメッセージ性の強いフレーズを選び抜き、Dos MonosのラッパーTAITANに打診したところ、企画を快諾、わずか1週間でパワフルなトラックをつくりあげたそう。そしてこの度、オードリー・タン本人による許諾を得て、晴れて公開となる。

Dos Monos、台湾のIT担当大臣オードリー・タンのインタビュー音源をトラックに使用した“Civil Rap Song ft. Audrey Tang”をYouTubeで公開 music200526_dosmonos_2-1

若林恵が提供したオードリーのフレーズは、パブリックセクター(行政)でもプライベートセクター(民間)の間に入って活躍する「ソーシャルセクター/シビックセクター」の価値を謳ったものを中心に、オードリー・タンの未来的思考を集約したものばかり。これらのフレーズをDos Monosがいかに解釈し、アンプリファイしたかが、本シングルの聴きどころとなる。

映像は、現代美術家のYuma Kishiが手がけ、敵対型生成ネットワーク(GAN)と呼ばれるAI技術によって人間が知覚できない高次元空間をシミュレートした作品に。外国の現職大臣と日本発ヒップホップユニットのかつてないコラボシングルは、5月26日(火)19時、Dos Monosと黒鳥社のYouTubeチャンネルでそれぞれ同時公開される。

Dos Monos 荘子itコメント
サンプリングによって生まれる音楽の魅力に、現代のぼくらの耳は充分に慣れてきたが、このような形で、台湾のIT担当大臣と日本のヒップホップクルーの間に予期せぬマリアージュが、相互の信頼の元に達成されることは空前絶後だろう。

今回のコラボレーションにあたって、オードリー・タンは、自らのインタビュー音声という素材のポテンシャルを自由にAmplify(=増幅)する権利を与えてくれた。

政治家とアーティストの協力といえば、単に声の大きさを増幅する拡声器としての意味しか持てない、ぼくらの国の文化的状況にあって、これ程自分のトラックメイカーとしての能力を無制限に解放させてくれる機会に恵まれたことに、最大級の感謝と敬意を表したい。

COVID-19対策における大きな成果を生んだオードリー・タンの発話を、その音楽的ポテンシャルにおいて増幅し届けられることは、メッセージの内容それ自体を超えて、ぼくらにとっての文化的エンパワーメントとなるだろう。

隣国の芝生は青いと再確認するためでなく、ぼくら、いや、この世界の我々全員にとっての他山の石として、この「市民の歌」を作った。

Dos Monos – Civil Rap Song ft. Audrey Tang 唐鳳

Dos Monos、台湾のIT担当大臣オードリー・タンのインタビュー音源をトラックに使用した“Civil Rap Song ft. Audrey Tang”をYouTubeで公開 music200526_dosmonos_1

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