ここまでは、バンドの略歴やプロデュース・リミックワークについて触れてきたが、いよいよ新作『ブレイキン・ポイント』に焦点を当てていきたいと思う。

2001年リリースの前作『ギミ・サム』から5年ぶりのリリースとなった『ブレイキン・ポイント』は「珠玉のポップソング集」と言える様なアルバムに仕上がっている。ビヨーンはインタビューで前作『ギミ・サム』に収録の“Second Chance”のようなヒットソングを集めたアルバムを作るということを意識したと語っている。海外で限定販売されているCDには収録されている12曲を表す「アート・カード」が封入されていることからも「全曲シングル」という思いが伝わってくる。

Peter Bjorn And John – Second Chance

全曲シングル級のアルバムの幕開けとなる“Dominos”は〈イングリッド〉に所属するマイク・スノウの影響を感じさせる楽曲となっており、〈イングリッド〉のアーティスト集団としての側面が、所属アーティスト好影響をもたらしていることが伝わってくる。

Peter Bjorn and John – Dominos

タイトルトラックにもなっている、イントロの口笛が“Young Folks”を彷彿させる“Breakin’ Point”は不思議な雰囲気の漂う抒情的な曲に仕上がっている。置き去りにされた男性が彷徨い歩くMVはデンマーク人デュオHochRによるもので、謎のモップの生命体が登場する奇妙なビデオは上手く作品の雰囲気を伝えている。

Peter Bjorn And John – Breakin’ Point

絵文字をフィーチャーしたMVが印象的な“What You Talking About”はレトロな雰囲気の素晴らしいポップソングとなっている。MVの監督は パーマ・ヴァイオレッツやザ・ナイフのMV制作も手掛けるユニット「A NICE IDEA EVERY DAY」が務めている。

Peter Bjorn And John – What You Talking About? (Official Video)

また、『ブレイキン・ポイント』の制作に関わったプロデューサー陣も豪華! パトリック・バーガー(アイコナ・ポップ、ロビン)、ポール・エプワース(フローレンス・アンド・ザ・マシーン、U2、ポール・マッカートニー)、グレッグ・カースティン(アデル、シーア)、エミール・ヘイニー(ラナ・デル・レイ、カニエ・ウェスト)、 ポンタス・ウィンバーグ(マイク・スノウ)、トム・モナハン(ワイルド・ナッシング、デヴェンドラ・バンハート)など錚々たる顔ぶれが参加している。この豪華プロデューサー陣もアルバム全体の完成度の高さに貢献していることは間違い無いだろう。

良質なポップソングを作り続けているピーター・ビヨーン・アンド・ジョンの新作『ブレイキン・ポイント』は長い間楽しむことのできる名盤として捨て曲無しの高いクオリティを誇る作品となっている。「口笛ソング」しか知らなかったという人にも是非聴いてほしい名作アルバムである。

RELEASE INFORMATION

ブレイキン・ポイント

2016.07.06(水)
ピーター・ビヨーン・アンド・ジョン
¥2,100(+tax)
INGRID / Hostess
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詳細はこちら

オフィシャルサイト