戻って再び『ニード・ユア・ライト』の話。メンバーは影響を受けたバンドとして真っ先にポリスの名前を挙げている。確かに“楽曲自体は奇妙なのに、メロディが隅々までポップ”という点では、ポリスからの流れを継承しているかも。それが最もよく表れているのが6曲目の“Call Me Out”。こんなにビッグなコーラスを生み出すバンドだとは。スティングを彷彿とさせる高音ヴォーカルも今まさに絶頂期を迎えている(ちなみに、2013年の<Hostess Club Weekender>で観た時に驚いたんだけど、ウェスの歌唱ってライブで寸分の狂いもないんだよな)。そこから、7曲目の“Instant Breakup”、8曲目の“Every Time I’m Ready To Hug”と名曲が続く。とにかくメロディがキリッと晴れた冬の空のように澄み切っている。彼らが前作でこれまでの楽曲フォーマットを解体し、果敢にポップソングとしての機能性を追求したことが、今になって見事に結実したのだ。やはりバンドは点で作品を語るのではなく、タイムラインを追うべきだというのがよくわかる。

アジカン・ゴッチも魅了!ラ・ラ・ライオットの歴史を紐解く music160222_raraiot_3

さあ、まだまだ必聴トラックは残っている。9曲目の“Bouncy Castle”は、70年代から80年代をリアルタイムに生きたリスナーの琴線にもギンギンに響く「E.L.O.!」なプログレ・ナンバー(個人的には、元ジェリーフィッシュのロジャー・マニングが2006年にリリースしたソロ・デビュー作を思い出したり)。前作をリリースしてから3年のあいだ、ラ・ラ・ライオットにいったい何が起こったんだ? 元々アイデアの幅が広いバンドではあるけれど、まさかこんなスペクタクルを描くことになるなんて。

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『ニード・ユア・ライト』

今、SoundCloudやYouTubeで無限に“ホットな新人”のトラックが消化されていく中で、彼らの新章を見逃すのはあまりにもったいない。前述のゴッチはデビュー時に彼らのサウンドを「暴れていたのは瑞々しいメロディと芸術性」と評した。その暴れっぷりも、今作がやっと本領発揮だと断言していいと思う。

RELEASE INFORMATION

ニード・ユア・ライト

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