2014.11.14(FRI)@LIQUIDROOM
Red Bull Music Academy presents Senshyu-Raku

よそ1ヶ月にわたって開催されてきた怒涛の<Red Bull Music Academy Tokyo 2014(以下、RBMA)>もついにこれで終わり。ロバート・フッドが急遽出演キャンセルになったのは残念だったけど、それを差し引いてもカール・クレイグ、ペペ・ブラドッグ、ジャード・ジョンソンが揃って出演した<Senshyu-Raku(千秋楽)>は、この濃密な1ヶ月のクライマックに相応しい素晴らしい夜になった。

11月14日(金)、深夜、恵比寿LIQUIDROOM。開場時間にはすでに長蛇の列ができている。これだけのメンツに加え、前売り券が2000円、当日3000円という破格の料金設定なのだから、混雑も当然といえば当然か。トップバッターはペペ・ブラドッグ。序盤はじっくりと曲を聴かせていくスタイルで、ドープなフリー・ジャズやエクスペリメンタルなディスコを中心に、トリッピーなエフェクトを駆使しながら、じわりじわりとフロアを温めていく。そしていよいよフロアが我慢できなくなってきたギリギリのタイミングで、満を持して四つ打ち投入。このあたりの流れを作り出す巧者っぷりはさすがヴェテランといった感じだった。

【レポート】音楽についていろいろと考え、知ることのできた1ヶ月間。<RBMA>東京、本当にありがとう。 music141125_senshyu-raku_1

(photo by Yusaku Aoki)

続いてカール・クレイグ。ノースリーヴTシャツにグラサンというストロングなスタイルで登場。彼のペイパークリップピープル名義での路線を思わせるファンキーで直線的なミニマル・サウンドでとにかくガンガン押しまくる。中盤にはジェフ・ミルズの“ザ・ベルズ”もプレイしたり、終始パワフルでアッパーなプレイでフロアを盛り上げていく。最後は『2001年宇宙の旅』のオープニング・テーマとしても知られる“ツァラトゥストラはかく語りき”でど派手にフィニッシュし、圧巻の音の旅を締めくくった。しかし最後までサングラス外さなかったな(笑)。

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カール・クレイグ(photo by Yusaku Aoki)

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カール・クレイグ(photo by Yasuharu Sasaki)

カール・クレイグで沸いたフロアの熱気を引き継いだのは、レディオ・スレイヴ、マークE、テンスネイクなどをリリースする人気レーベル〈ランニング・バック〉主宰のジャード・ジョンソン。1曲目はムーディーマンの“shade of jae”。デトロイトへ、またムーディーマンのファースト・アルバム(『Silentintroduction』)を自身の〈プラネットE〉からリリースしているカール・クレイグへのリスペクトも込めてのこの粋な選曲で一気にオーディエンスの心を掴む。レーベルの運営のみならず、レコード・ショップ、ペンタゴン・レコード・ストアのスタッフであり、音楽ライターであり、RBMA東京のスタッフでもありと、多彩な顔を持ち、ヨーロッパ屈指のクラブと名高いロバート・ジョンソンで初期からレジデントを務める彼のセンス溢れるプレイは見事なものだった。DJ終了後もアンコールは鳴り止まず、アフターアワーズ的に披露したユルめの数曲も素晴らしかった。

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ジャード・ジョンソン(photo by Yusaku Aoki)

この日のフロアはおそらくパーティシパントたちや<RBMA>東京のスタッフや関係者も多くいたためか、非常に国際色が豊かな感じたったのも印象的。このいつもと少し雰囲気の違うフロアで「この夢のようだった1ヶ月がもっと続けばいいのに……」と想いを馳せていたのはきっと筆者だけではなかったはず。本当に楽しかったし、音楽についていろいろと考え、知ることのできた1ヶ月だった。<RBMA>東京、本当にありがとう。またいつか東京で!

【レポート】音楽についていろいろと考え、知ることのできた1ヶ月間。<RBMA>東京、本当にありがとう。 music141125_senshyu-raku_4

(photo by Yasuharu Sasaki)

(text by Naohiro Kato)

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