<REDLINE TOUR 2013 10DAYS>もいよいよ最終日となった。この日も超ド級のへヴィな音楽を放つ3アーティストが集った。この3組から共通して感じたのは<圧巻>の2文字。それぞれが信じた己れの音を貫き通し、遂には到達した<独自の世界観>を、思う存分ステージからフロアに向けて放ち、それをオーディエンスがガッチリと身体と胸で感受している光景が印象的であった。

一番手はLOST。ザックザックでドゥームなギターリフとへヴィなベース。深いインチのドラムキットから繰り出される重いグルーヴといったブルータル気味なサウンドの上、ハイトーンでクリアなボーカルとグロウルな歌声を使い分けるメインボーカル。そして、下手(しもて)ギターが、グロウル&スクリーモなサイドボーカルを担当するユニークなバンドだ。中でも、キュートとも称せる歌声のハイトーンボーカルが、この手のサウンドに妙なキラキラ感を寄与しているのも特筆に値する。

“Ghostface Trash Talker”から激しくもドラマティックな世界観を広げていった彼ら。エレクトロを交えた“The Last Supper”等、この日は今春発表された最新アルバム『RECREATOR』からのナンバーを中心に場内を支配していく。同期やインタールードも交え、トータリーな世界観を作り出していった彼ら。独自の世界観を途切れさせず、終盤に向けそれらを更に広げていった流れも印象的であった。

また、後半に入ると会場とのパワーのシェアも更に確立されていく。中でもフロア中が両手を天に掲げ一緒に歌った“Sunshine”、重さの中にサビのポップさが光った“Prisoner of Milky Way”では、フロアにウィンドミルやテコンドーモッシュ等、キッズ同士の少々荒々しい交流を生み出し、ラストの疾走感溢れる“Blood and Chocolate”が飛び出すと場内もラストスパート。「凄かった!!」との印象を残し、彼らはステージを去った。

続いてはKYONOのソロプロジェクトWAGDUG FUTURISTIC UNITYだった。名うてのバンドメンバーと繰り広げたこの日は、ライヴとしては半年ぶり。しかもまだ今年に入り2回目だと言う。従ってその登場期待値は非常に高く、SEが鳴り響くと怒涛とも言える歓声がステージに向けて送られる。

強靭なサウンドの上、シンプルな言葉がこれでもかと胸倉をつかんでくるように連射される彼らの音楽性。そこにシークエンスやサンプラーを織り交ぜることで、現在のリアルハードコアバンクとして放出していく。サビの伸びやかな部分がふっとした気持ち良さを生んだ“NO END”、はたまた半端ない緊張感と緊迫感が会場を凍りつかせた“DISCOLOR”等、矢継ぎ早に力の限り連射される言葉たちが痛い。それはまるでなす術もなく打たれまくっているが如し。しかし逆に、終わるとフロアに贈られるピースサインが蜘蛛の糸のような救いに思えた。

そんな中、リレーションによるツインボーカルが活きた“GOT LIFE”を経て、ラスト曲に入る際、同期が作動しなくなるトラブルが勃発する。普通はMC等で繋いだり、一時中断しようものだが、彼らはあえてファンキーな即興セッションでその場を凌ぐ。しかも超絶で、かなり高い完成度だ。アクシデントが故の実力の発揮や機転、底力が楽しめたこの日。逆にこれが会場に更なる火をつけ、ラストはこれまでに見られなかったほどの大スケールとダイナミズムを感じさせる“X-STEREO”で締られた。

いよいよこの10日間を締めくくるバンドが登場する。この10DAYS全34バンドの魂のバトンを受け継ぎ、「最後まで盛り上げる!!」との、その気持ちを全て背負うようにCrossfaithがステージに現れた。ステージの幕開けと共に、その存在感と世界観を思いっ切り会場いっぱいに広げていった彼ら。そこからは世界照準バンドの自覚と風格をまざまざと見せつけられた。私自身彼らのライヴは半年ぶりだったのだが、世界観や魅せる要素、会場の支配や自己特性の認識、そしてあえて自分たちをデフォルメして見せる等、その大成長と変貌ぶりには驚愕した。

1曲目の“We Are The Future”から、現在の彼らの真骨頂が会場全体に浴びせかけられる。“Monolith”では、サイドボーカルを担うキーボードのTeruも、ハンドマイクを掴み、縦横無尽にステージを駆け回り、“Jagerbomb”では、場内に阿鼻叫喚とサークルピット、終いにはバウンスの嵐を巻き起こす。また、フロアとのコミュニケーションや一体感を大切にした場面としては、“Countdown To Hell”でのフロアに超巨大なウォールオブデスを作り出し、その中でみんなが楽しそうに体をぶつけ合っていたシーン、そして、“OMEN”での会場全員を一度しゃがませ、ボーカルKenの合図で一斉に会場中がジャンプするという瞬間が記憶に強く残っている。半面、ドラマティックさとふっと魅せる美しさもライヴのアクセントとなった。中盤の“Counting Stars”では、プリセットされた女性コーラスも合わさり、ラストのTatsuyaの地響きのようなツインペダルによるバスドラが黙示録の中の福音を思わせたし。ラストの“Leviathan”は、激しくも美しく、そして荘厳すら感じた。

そしてアンコールでは、Tatsuyaの超絶なドラムソロが場内を驚愕させ、続いてこのイベントを締めくくるべくラストの“Stars Faded In Slow Motion”が放たれる。メタリックでドラマティックながら超激な同曲。まさに彼らの神髄が炸裂した瞬間であった。

最後はこのイベントを主催したJMSの主要スタッフもステージに登場。メンバーと共にイベント成功の勝利のシャンパンをおいしそ うに分かち合い、今年の<REDLINE TOUR>は終演を告げた。

(text by池田スカオ和宏[LUCK’A Inc.])

セットリスト:LOST
1.Ghostface Trash Talker
2.The Last Supper
3.Cheers To The Blossom
4.Revenge
5.Thumbs Up For Mr. Animal Style
6.Sunset
7.Prisoner of Milky Way
8.Blood and Chocolate

セットリスト:WAGDUG FUTURISTIC UNITY
1.RAM THE CRUSH
2.NO END
3.DISCOLOR
4.WHY?
5.ILL-MACHINE
6.MAD SATURATOR
7.HAKAI
8.GOT LIFE
9.SYSTEMATIC PEOPLE
10.X-STEREO

セットリスト:CROSSFAITH
1.We Are The Future
2.Monolith
3.Jagerbomb
4.Countdown To Hell
5.Counting Stars
6.Eclipse
7.OMEN
8.Leviathan
Encore
En.Stars Faded In Slow Motion

★Qeticでは10日間総括レポも掲載予定! そちらもお楽しみに!!