大阪アンダーグラウンドを活動拠点としている5ピースバンドDAMAGE。ニューウェイブやパンクをベースに、ダンスミュージックにもクロスオーバーし、どのジャンルにも属さないそのワンアンドオンリーなスタイルで注目を浴びている。今回、自身のレーベル〈SWAN RECORDS〉発足と共に通算4枚目となるアルバム『QUADROPHENIX』をリリースした。
本作は前作『Mouth to Mouth』までの打ち込み主体のサウンドからどこまでも生音で表現することにこだわり、バンドの持ち味を前面に出した作品となっている。1曲目の“13 REASONS WHY I LOVE YOU”のダウンテンポでメランコリックなチルサウンドを除幕に、エフェクトが際立つ“27 PM ETERNAL”、アシッディーでサイケデリックな”WHO KILLED SUMMER?” など、後半に向けて徐々にギターの疾走感が増し、アップテンポでPOPなテイストを取り入れつつもノイジーなサウンド、グルーヴ感など、ダンスミュージックとロックの要素をふんだんに掛け合わせている。そして、どの曲においても洗練されたボーカルの声が印象的である。
また、〈BEAR FUNK〉や〈DFA〉など多くの海外レーベルからリリースし、BOREDOMSのリミックスやRoland.P.Youngのエディットアルバムをはじめ、様々なアーティストを手掛ける世界的評価の高いALTZならではのファニーでサイケデリックなプロデュース法によって、今までとは全く違った印象を感じさせる新たなストーリ−構成となっている。
和製ハッピーマンデーズの呼び声も高い彼らのサウンドは、まさに70年代後半~80年代、UKロックの代表的存在だった〈FACTORY RECORDS〉を彷彿させる。1つのジャンルにカテゴライズ出来ないバンドは日本でもたくさん存在する中、DAMAGEはUKロックをルーツに持ちながら、現代におけるニューウェーブを自分たちの解釈のもとオリジナルサウンドに置き換えているバンドだ。
自身のレーベル設立、3月末には初のUKツアーを行い、そして、本作のリリースと、一気に駆け抜けてきた彼らの心境を探るべく、Vox &SamplerのATSUSHI SWAN氏へ独占インタビューを行った。
Interview:ATSUSHI SWAN(DAMAGE)
DAMAGE-“27 PM ETERNAL” directed by ROKAPENIS
――まずは、アルバムリリース4作目となる『QUADROPHENIX』についてお聞かせ下さい。今までのプログラミング主体の音からバンドによる生音を意識したのには何か理由がありますか?
今回のプロデューサーのALTZさんからもあまり音をいじらず、生音の良さを出したいという意見があったんです。僕たちとしても、打ち込みでの音作りは今までの作品でほぼやりつくしてしまった感があって。。バンドとしてのそれぞれの持ち味が出せる生音でやりたいなあと考えていたので、お互いの意見が一致したんですよね。
――なるほど。確かに、前作の『Mouth to Mouth』は全体的に打ち込みのトラックにボーカルを乗せたニューウェイブパンクといった一貫性のあるストーリー展開を感じたのですが、今作はダウンテンポでメランコリックなチル系サウンドやサイケデリック、ポストロック、シューゲイザーなど様々な要素が含まれてると感じました。こういった作品になったのにはやはり生音に重点をおいたことも影響してるのでしょうか?
そうですね。まず、僕たち的に“今までとは全く違ったものにしたい”という考えと収録数は8曲にしようということだけ決めていたんです。作っていく仮定で、“こういう曲が欲しい”とか“こういう曲が足りない”とかみんなで意見を出し合っていくうちに今の形に。いろんな要素が含まれたのは、やっぱり生音を重要視したことは大きいし、ALTZさんが最終的に全体をまとめてくれたんですけど、自分たちが想像していたものとはまた全然違う仕上がりになったから、印象も変わったんだと思います。
――プロデューサーによって作品の印象も変わってくると思うのですが、今回、ALTZ氏にプロデュースを依頼したのはどうしてですか?
何年か前からイベントではちょくちょく顔を合わせていたんです。ちょうど僕たちが12インチを出すタイミングがあって“1曲リミックスをして欲しい!”ってお願いしてたんですが、結局それは流れてしまったんで、今回のリリースが決まった時に再度話をさせてもらったんです。そうしたら向こうもやりたいと言ってくれて。そういった経緯からですね。
――アルバムのアートワークは、人気ブランドThe Soloistのデザイナーである宮下貴裕氏が手掛けていますが、その経緯を教えて下さい。またアートワークの感想もお願いします。
ナンバーナイン時代からDAMAGEのことを好きだと言ってくれていて、前作の『Mouth to Mouth』のリリ−スパ−ティーに来てくれた時に「次出す時はジャケットのアートワークをオレにやらせてよ」って言ってくれて。僕自身もデザイナーとしてだけじゃなく、人としてもカッコいいって思ってたから、今回お願いすることに。仕上がりは想像とは全然違うものになったから驚いたんですけど(笑)、宮下さんのイメージだとモノクロのクールな感じでくると思うんじゃないですか?(笑) だから、良い意味で宮下さんぽくなくて、裏切られた感じ(笑)。まだアルバムを渡せてないから、会った時に本人の感想も聞こうと思ってます。
――今作の『QUADROPHENIX』が第一弾リリースとなりましたが、自身のレーベルである〈SWAN RECORDS〉を立ち上げた経緯を教えて下さい。
僕たちDAMAGEはこれまでどこかのシーンに属したり、くくられたりすることなくやってきて、ある意味ワンアンドオンリーの特異な存在だったと思うんです。意識してそうなったわけじゃないけど。今回、アルバムを出すにあたって、その僕らの立ち位置を形にする意味合いも込めてレーベルを立ち上げたんですよね。もちろん、こうしてレーベルを立ち上げられたのは、サポートしてくれる人が沢山出来て、インディペンデントでやっていける万全の体勢が整ったからというのが大きいんですけど。
――今年の3月末に初のUKツアーを終えられてますが、特に印象に残った場所はありますか?
全体的にどこの会場も良かったんですけど、ロンドンのダルストンという街にあるNESTというクラブがおもしろかったです。200人~300人ぐらいのキャパなんですけど、ステージから見ててもお客さんの反響も良かったし、生感があって、すごく印象に残りました。あとは、やっぱりFACTORY251は別格!! 会場は広いし、とにかく音が良くて、憧れの地でギグが出来たことがとにかく嬉しかったです!
――やはり、FACTORY251でのライブはかなり貴重な体験になったんですね。そんなUKツアーを得て何か変わったことはありますか?
うーん、そうですね。。バンド全体としてライブに余裕が出てきたかなあと。行く前はライブ前の焦りとか緊張とかいろいろあったんですけど、今回のツアーで海外の知らない土地で、僕たちを知らない人たちの前で、あれだけの反響を得れるってことはどこでやっても出来るんだ! という自信に繋がったのが一番ですね。
――UKツアー後に4月末に大磯ロングビーチで開催された<Hacienda>にも出演されてましたが、そこでのピーター・フックやハッピーマンデーズのメンバーとの共演はいかがでしたか?
とにかく嬉しかった! 「FACTORY251」に呼んでくれたピーター・フックとも再会出来たし、ずっと好きだったハッピーマンデーズのベズとの共演は特に嬉しかったですね。ハッピーマンデーズはポジション的にもカッコいいバンドだし、メンバーの雰囲気もカッコいいし。バックステージで仲良くなって、“楽屋に遊びに来なよ!”って誘ってもらって、一緒に遊んだり(笑)、その流れでセッションすることになって、とても良い機会に恵まれたと思ってます。また是非一緒にやりたい!
――Qeticで滞在記を掲載していますが、ツアーから数ヶ月過ぎた今、客観的に読んでどう思いましたか?
ツアーが終わってしばらく経ってから読んだので、当時のことをいろいろ思い出しながら読んでました。税関が大変だったなあとか(笑)、ツアー中にMVを自主制作したんですけど、みんな最終日にまとめてやろうとするから時間もないし、こだわりもあるしで、そうゆうのも大変でした(笑)。今はとにかく、もう1回行きたい! という気持ちが強いですね。
――いろんなところでも話題に上がってることではありますが、CDが売れない、音楽を聴かない若者が増え、大手CDショップの相次ぐ閉店、メディアではコマーシャルなものばかり。。と音楽業界において冬の時代と言われていますが、アンダーグラウンドな活動を続けながらオーバーグラウンドの世界でも注目されているDAMAGEから見てどう思われますか?
自分たちが良いと思うことをちゃんとやっていけば、ちゃんと良い方向にいくと思っているし、ネガティブなことを考えていても辛くなるだけだから、とにかく良い物を作って、良いライブをやり続けていきたい。そうすることによって、変わってくると思っています。
――なるほど。やはりやり続けていくことはとても大事なことですよね。クラブやライブに行かない若者へ少しでもこのメッセージが届くことを願っています。では、最後になりますが、今後の活動予定を教えて頂けますか?
9月頭からリリースツアーが開始するんですけど、しばらくそれに向けての準備期間に入ります。またそこでもいろんなことをやりたいなあと思ってます。9月7日(土)には大阪のユニバースというキャバレーの跡地を使った会場でワンマンをやりますが、今回はそこにプラネタリウム型のドーム・スクリーンを組んで、その中でパフォーマンスするという試みで、映像と音像をシンクロさせた面白いライブになると思うんで是非楽しみにしていて下さい!
――それは楽しみですね! 最後にもう1つだけ質問させて下さい。もし、今後の夢などありましたら是非、教えて頂きたいのですが。
夢ですか?!(笑) えーっと、個人的な夢はたくさんあるんですけど、言葉でうまく表現出来ないなあー。。とにかく、いろんな国を飛び回って、いろんな刺激を受けたい。バンドとしては、海外での活動を増やしたいですね。特にロンドンはもう一度行きたい! ヨーロッパが好きなので、ベルリンとかも行ってみたいし、向こうでの活動が増やせたらいいなと思っています。
――ありがとうございました!
text&interview by Kana Miyazawa
Event Information
“IMMIGRANT HAUS”
2013.07.19(金曜日)@新宿LOFT
OPEN/START 18:30
ADV ¥3,000/DOOR ¥3,500(1ドリンク別)
LINE UP: DAMAGE / lloy / T.C.L / PLASTICZOOMS
“STRANGER’S ROCK SHOW #0”
2013.08.23(金曜日)@下北沢THREE
OPEN/START 23:00
ADV ¥1,500/DOOR ¥1,800(1ドリンク別)
LINE UP:
[live]DAMAGE / COSMIC NEUROSE / quAng duc Asylum
[BLACK SHEEP DJ’s]COGEE / DETOXX / JYOTARO / MJ
“AREA 52”
2013.09.07(土)@大阪ユニバース
OPEN 19:00/START 20:00
ADV ¥3,000/DOOR ¥3,500(1ドリンク別)
LINE UP: DAMAGE [DJ] ALTZ
★DAMAGE「QUADROPHENIX」リリース・ツアー日程近日発表!
Release Information
2013.07.10 on sale! Artist:DAMAGE(ダメージ) Title:QUADROPHENIX(クアドロフェニックス) SWAN RECORDS SWNR-0001 ¥2,200(tax incl.) |
DISK UNION:『Swan’s MixTape』(SWNR-0002) 〈SWAN RECORDS〉が関西発の気鋭アーティストを中心にセレクトしたコンピレーションCD! Track List: 01. Pity Xmas – HAPPY 02. In the sun – Berserker Children Club 03. Dance – The Acid House. 04. Lepoman – The SWAG 05. 3 – ∴ 06. 殺してくれ – NOINONE 07. 27PM ETERNAL (あ”ーッmix) – ZxKxB 08. No This One – The Acid House. 09. Time will go on – HAPPY 10. ONE – Berserker Children Club 11. MEGA UPLOAD – The SWAG 12. Turn it on – DAMAGE |