■アヴァンギャルド×エロティック。官能的な歌詞も魅力!
神秘度:★★★★☆

そんな魅力は歌詞にも顕著。たとえば同じくロンドンの次世代R&Bシーンから登場したアルーナジョージのアルーナが普通の女の子の日常を描写しているのに対して、FKAツイッグスの歌詞はよりディープで官能的。アルバム『LP1』も同様で、序盤にはセックスを描写したような歌詞が頻出。《他に愛してる人がいるの/だから自分がキライ》と宣言する1曲目“Preface”を経て、明かりをつけたままするセックスに想像を巡らせてみたり(“Lights On”)、《前の恋人より上手にファックしてあげられる》と宣言したり(“Two Weeks”)、狂気を感じるほど熱烈に《あなたのものになりたい》と歌ってみたりと(“Pendulum”)、かなり直接的に性愛や官能を歌い上げている。とはいえ、終盤からは抽象的な表現や自分のキャリアにもテーマを移動させ、徐々に音楽やアート自体ともセックスしているかのような錯覚に。中でも《もっと近づけるように/私はここにいる/もっと近づけるように/あなたにもっと》と歌う“Closer”は、もしかしたら音楽へのラヴレターなんじゃないか? と深読みしたくなるほど、ピュアでまっすぐな感情が歌われていて思わずドキッとしてしまう。

FKA twigs -“Hide”

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