まったく、もうすぐ30歳になる人間からすると、今の10代〜20代前半の落ち着いた佇まいには、「嘘つけ!」という思いが半分、「タフで頼もしい」という思いが半分なのだが、今まさに目の前で19歳のラスプリーがまるで何年もキャリアのあるミュージシャンのような貫禄で話しているのを見ると、ちょっと恐ろしい気すらしてくる。彼女の音楽について、あるいはこれからのキャリアについて、達観している印象はなかったけれど、少なくとも自分の言葉で話していた。己の基準みたいなものがすでにしっかりと打ち立てられているのだ。

彼女が歌うのは、ほとんどがどこにでも転がっていそうなティーン特有のハートブレイクについて。抽象的で詩的なフレーズは使わず、普通すぎるくらい普通の言葉で綴られたストーリーは、すべて彼女自身の体験に基づいている。この日のライブでも、ヴォーカルの両サイドにパットとキーボードが据えられたステージ構成には強烈な“今”を感じたが、そこでフォーカスされているのはあくまでシンプルな歌。同じレーベルに所属しているだけで“次のアデル”というのはあまりに安易だと思っていたけれど、要素としてはけっして間違った引用ではない。

ロードやグライムスとも共鳴。“ネクスト・アデル”と称されるラプスリー、19歳のリアル FAC4021

<Hostess Club Presents Sunday Special>で披露された楽曲のなかで、特に大きな歓声があがったのは、ミニマムなビートをバックに「余韻を残すくらいなら、とことん傷付けて」と歌う“Hurt Me”。オールドスクールで大変良い。驚いたのはヴォーカリストとしての表現力。パフォーマンス自体は多少控えめだったが、この声は間違いなく本物だ。録音盤より数倍迫力があったし、あとは年齢を重ねて楽曲に込めるメッセージに深みが増していけば、当代一のディーヴァになる可能性もある。

ロードやグライムスとも共鳴。“ネクスト・アデル”と称されるラプスリー、19歳のリアル FAC4119

ロードやグライムスとも共鳴。“ネクスト・アデル”と称されるラプスリー、19歳のリアル MGK0900

ひとまず、ラスプリーを知るためのイントロダクションとして、ライブ後に行った以下のインタビューを読んでいただきたい。

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