チェコ共和国のブルノに拠点を置き、ポケット・サイズのサウンド・ボックスや、モジュラー・シンセサイザー・システムまで、様々な電子楽器の設計や開発を行い、メーカー・ムーブメント系の会社として知られる、「BASTL INSTRUMENTS」。同社は2013年に設立された手作り電子楽器の新しいブランドで、開発されている全ての製品は、彼らの本拠地、ブルノで生産され、ほとんどのパーツは家で作られるか、地元の企業や流通業者から供給し、一つずつハンドメイドで丁寧に組み立てられています。

今回、その「BASTL INSTRUMENTS」から発売されています、ポケット・サイズの気になる製品、「KASTLE」をご紹介します。「KASTLE」は、単3電池3本で動作し、ヘッドフォン出力と、外部の機器と接続する端子を備えた、ミニ・モジュラー・シンセサイザーです。モジュラー・シンセ初心者でも十分に楽しめる製品でありながら、他のモジュラー・シンセサイザーに接続すれば、さらにユニークな音を出す事もできます。手のひらサイズなのでポケットに入れて持ち運べば、モジュラー・シンセサイザーを、いつでもどこでも楽しむ事ができるのです。

好奇心が刺激される、コンパクトなルックス

チェコのメーカー「BASTL INSTRUMENTS」のパッチング・ミニ・モジュラー・シンセ「KASTLE」のユニークなサウンド kaestle_2-700x468

こちらが「KASTLE」です。本製品の白く半透明のアクリルで出来たスイッチ・パネルには、文字、矢印、波形などが版画の板のように刻み込まれていて、そのデザインは無機質すぎず、手作りならではの味があります。白と黒のシンプルな色合いと、コンパクトなルックスに好奇心が刺激されます。

「KASTLE」のセット内容

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こちらは「KASTLE」のセット内容です。「KASTLE」本体と、付属のマイクロ・パッチ・ケーブル、説明書、それと「BASTL INSTRUMENTS」のステッカーが入っています。

「KASTLE」の機能

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「KASTLE」の機能を簡単にご説明します。本製品は複雑なサウンドのオシレーター部を内蔵し、3つのシンセシス・モード、(フェイズ・ディストーション/フェイズ・モジュレーション/トラック&ホールド・モジュレーション)が搭載されています。四角く穴が空いている箇所が、付属のマイクロ・パッチ・ケーブルを接続するためのパッチ・ポイントです。ピッチ・コントロール/ティンバー・コントロール/ウェーブシェイプ・コントロール/ボルテージ・コントロールド・LFO/ステップド・ボルテージ・ジェネレーターなどの機能が盛り込まれ、パッチングや、ツマミのセッティングを動かしながら、面白いサウンドを作る事ができます。

付属のカラフルなマイクロ・パッチ・ケーブル

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カラフルなマイクロ・パッチ・ケーブル10本が付属しています。そのパッチ・ケーブルが本当に小さく、針金のように細い先端部分を本製品に結線して音を作ります。パッチ・ケーブルの先端部分が曲がらないように、「KASTLE」に対して真上から垂直に「サクッ」と差し込むのがコツです。

OUTジャックと、I/O CV ポート

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本製品を上部から見たところです。向かって左側の端子が「OUTジャック」です。オーディオ・ケーブルをスピーカーに接続するか、ヘッドフォンを接続します。右側が「I/O CV ポート」で、「KASTLE」から外部機器や、他のモジュラー・シンセに信号を送ったり、外部からの信号を接続して「KASTLE」の音を変調する事ができます。パッチ・ポイントのLとRを使えば、ステレオ・ジャックから、LとRの2系統に分けて信号を出力する事ができます。

別売りの単三電池3本で動作

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本製品の裏側は電池ボックスになっています。電池は別売りですが、単三電池3本で音が出ます。電源アダプターは付いてないシンプルな設計となっています。

やわらかい音から荒々しい音まで、バリエーションのあるサウンド

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本製品は、独特のデジタルでローファイなサウンドでありながら、ノイジーな音、メロディックな音、ドローンなど、やわらかい音から荒々しい音まで、バリエーションのあるサウンドを鳴らす事ができます。もちろん「KASTLE」単体でも楽しめるように設計されていますが、外部機器や、他のモジュラー・シンセと組み合わせてシステムを構築する事も可能です。本製品は、2つの「Attiny 85チップ」と「Arduino」(アルドゥイーノ)を搭載したオープンソースのDIYプロジェクトで、プログラミングの技術があればプログラムし直して楽しむ事も出来るのだそうです。 次は実際に「KASTLE」をパッチングしながら音を出してみました。どんな音が飛び出すのか、動画を撮影しましたのでご覧ください。

BASTL-INSTRUMENTS 「KASTLE」 DEMO Patching

予想以上に刺激的で複雑なサウンド

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「KASTLE」で音を出してみた印象ですが、コンパクトな見かけによらず、予想以上に刺激的で複雑なサウンドが出せます。パッチ・ケーブルを接続すれば、リズミカルなパターンを鳴らす事もできますし、何も接続せず、ツマミの設定だけでドローンのような音も出せます。そのサウンドは、小さなエレクトリック・ノイズがパチパチと鳴り、ローファイで味わい深い物があります。特に揺らぎをゆっくりに設定した音が心地よく、ついリラックスしてずっと聴いていたくなります。ポケット・サイズで、電池で動作、ヘッドフォンで聴けるところまでは、他にも色々な小型のシンセサイザーがありますが、パッチングをして音作りを楽しめるところは「KASTLE」ならではのストロング・ポイントだと思います。

頭で考えずに、思いつくままにパッチングするのが楽しい

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本製品はパッチ・ケーブルを差した時に、予想外の音に変わる瞬間があって、驚きと楽しさがあります。まるで電気の実験をしているように見えるかもしれませんが、難しい事は何もありません。むしろ頭で考えずに、思いつくままにパッチングするのが「KASTLE」の楽しい使い方です。

パッチングした後、ツマミのセッティングを変えれば全く違う音になります。色々試して気に入ったサウンドが出来たら、ノートにパッチとツマミのセッティング図を書いておくと後で同じ音を再現できるのでおすすめです。パッチ・ケーブルがとても小さく、「KASTLE」本体もコンパクトに作られているため、結線する時に少し指がもつれる感じがしましたが、専門的なシンセの知識がなくても、遊びながらケーブルをパッチングすれば誰でも簡単に変わった電子音が出せます。機械いじりや、先程ご紹介した動画のサウンドが好きでしたら、モジュラー・シンセ初心者でも十分楽しめると思います。皆さんもぜひ「KASTLE」を試してみてください!

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