昨今のコロナ禍中、おうちにいる時間が増えたという方も多いことだろう。

これほどまで多く、そして唐突におうちにいる時間が増えてしまうと、余暇をどう過ごしたらいいのかわからない。なかには、家でヒマを持て余してしまっている方もいらっしゃるはずだ。

かくいうQetic編集部も、おうちで何をしたらいいんだろう、なんて思いにふけりながらNetflixで配信中の映画やドラマなんかを観ていたところ、こんな考えがふと頭をよぎった。「アーティストの人たちってこの作品を観て、どんなことを考えているんだろう?

ということで、Qeticではこの度、Netflixで現在配信中の映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの映像作品の中から、アーティストの方々にひとつの作品を選んでいただき、その作品に対してどんな思いや感情を抱いているのかを赤裸々に語っていただいた。彼らの意見を聞いた上で作品を観れば、きっと思いを共有できるはず!

第9弾となる今回は、シンガーソングライターの中山うりが語る『ラッキー』。

中山うり – 『ラッキー』

2017年 アメリカの映画。短め。
めちゃくちゃ頑固で偏屈の90歳のお爺さんの日常が淡々と映し出される。
巨大なサボテンがたくさんあるところにお爺さんは一人で住んでいて、タバコが好物、朝起きたら優雅な音楽を流しながら、白いももひきみたいな格好でヨガ?(ストレッチのようなの)をやり、コーヒーをいれる。そんな毎日のルーティーンが観ていて心地よい。
所々で「格言」のようなものがお爺さんの口からこぼれて、ついメモしたくなる。

何が起きるでもない、派手さは全くないこの映画の最後の方のシーンに不思議と心を奪われた。
偏屈ではあるけど、街には彼の事を気にかけてる人はいて、その中の一人の近所の売店で働くメキシコ人の女性は、自分の息子の誕生日会へお爺さんを招待する。
メキシコ人ばかりの家族や仲間が集うパーティーで一人ぽつりと呼ばれたお爺さんが朗々と歌うスペイン語のマリアッチの恋の歌と、そのにいる全ての人が息子が生まれてきた事や生きている事、成長していることへのお祝いの気持ちで溢れた美しい時間…というのが伝わってきて、よくわからない涙が出た。

観終わってから、主演のハリーディーンスタントンがこの映画を最後に亡くなったと知り、余計に胸にくるものがあった。

私は多肉植物が好きなので、映画に出てきた巨大サボテンのシーンに興奮。あれだけ大きいのはどれだけの年月がかかるんだろう?

映画『ラッキー』予告編

Netflix『ラッキー』

INFORMATION

中山うり

アーティストの視点から観るNetflixの映画・ドラマ・ドキュメンタリー|Vol.6 中山うり『ラッキー』 ac200529_netflix_urinakayama_2-1440x2160

1981年1月9日 埼玉生まれ。シンガーソングライター。
主に子供の頃に触れた様々な経験や感触、東京での日々の暮らしをミクロな視点で音楽表現することをモットーに制作。
アコーディオンやトランペット、ギターなどを演奏。
バンド編成からギターの弾き語りまで様々なスタイルでライブをする。
幼少期に父親の影響でジャズやラテン音楽、歌謡曲を耳にして育つ。また、小学校から高校までブラスバンドや吹奏楽でトランペットを担当。シンガーソングライターとしては2000年ステージデビュー、後にs-kenプロデュースのもと、2007年~2011年の間にアルバム6枚(EPを含む)、シングル2枚、ライブDVD 1枚をリリース。
2011年、自身作詞・曲の「回転木馬に僕と猫」がNHK「みんなのうた」でオンエア。
2012年からセルフプロデュースでアルバム『ホロホロ』、2014年『鰻』リリース。
2015年、ギター弾き語りアルバム『ぼっち』をライブ会場限定販売。(現在HPからも販売中)
2016年、9thアルバム『マホロバ』リリース。
2016年Eテレ(教育)「シャキーン!」番組内の「シャキーン!ミュージック」にて書下ろしの楽曲「モシモシーソー」がオンエア。
2018年4月に10thアルバム『カルデラ』リリース。
CM音楽では歌唱、ナレーションなど担当したり、BSプレミアムで放送されたドラマ「捨て猫に拾われた男」では主題歌、劇中音楽を担当。

現在、東京北区の全15箇所の図書館の閉館音楽に「石神井川であいましょう」が採用されている。
2020年4月リリース予定の髙城晶平(cero)のソロプロジェクト“Shohei Takagi Parallela Botanica“の1stアルバム「Triptych」にコーラス等で参加。
2020年6月に11thアルバム『11』をリリース。

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RELEASE INFORMATION

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ニューアルバム『11』
2020.6.10 Release
中山うり

前作「カルデラ」から丸2年ぶり、中山うり11枚目のフルアルバムが完成!
ブルーハーツの名曲カバー「月の爆撃機」、初期の代表曲「マドロス横丁」の再録も収録した意欲作!

今作『11』には、中山うり自身の日々の暮らしをユーモラスに綴った 「茶をすする」、「風邪薬」や、古いジャズのようにアレンジされた近所の野良猫の歌「大佐」、大渕愛子(フィドル)と小林創(ピアノ)の掛け合いが印象的な 「僕じゃない」、多重コーラスが美しい「窓際のトランペット」などの他、NHKドラマ「捨て猫に拾われた男」のために制作された 「キミは天使」「雨のピチカート」のアルバムバージョン、ブルーハーツの名曲カバー「月の爆撃機」、初期の代表曲「マドロス横丁」の再録セッションも含めた11曲を収録。
古い建物が壊されて新しい建物がそこに建ってしまえば、元々の風景を全然思い出せなくなる。東京の生活の中で簡単に変わりゆく風景や過ごした時間、その時の喪失感をショートムービーのようにパッケージにした。

【収録曲】
1. ラストシーン
2. 風邪薬
3. 雨のピチカート *PUSH曲
4. 大佐
5. 茶をすする
6. 月の爆撃機 *PUSH曲
7. 蛇口
8. キミは天使
9. 窓際のトランペット
10. 僕じゃない
11. マドロス横丁 *PUSH曲

【参加メンバー】
ベース、パーカッション 南勇介
ピアノ 小林創
ドラム 菅沼雄太 、宮川剛
ギター 福澤和也 、 小池龍平
フィドル 大渕愛子
ペダルスティール 安宅浩司

CD / DIGITAL
UBCA-1069 / 2,500円+tax
Released by A.O.I / Tuff Beats
Distributed by Space Shower Network Inc.

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Vol.5 関口シンゴ(Ovall)