森伸之・武井裕之二人展<イラストと写真で綴る制服図鑑>が、神田・神保町画廊において2015年10月23日(金)から11月8日(日)まで開催中だ。この展示会は、森伸之の東京女子高制服図鑑30周年記念と、武井裕之の制服撮影20周年のメモリアルイベントとなっている。

僕が初めてキスをしたのは大学生の頃で(かなり奥手だ!)、相手は高校生の女の子だった。友達に紹介されて付き合うようになった。その頃は女子高生と聞いてもあまり胸はときめかなった。ただ、その子に「学校はセーラー服?」と聞いたら、「うちはブレザーだけど……」と言われて、とても悲しかったことを記憶している(ちょっと遠い眼……)。僕の甘酸っぱくも切ない(?)想い出はとにかくとして、セーラー服には誰もが憧れを抱くのではないだろうか。

森伸之・武井裕之二人展<イラストと写真で綴る制服図鑑>は、森伸之のイラストと武井裕之の写真による制服図鑑だ。イラストレーターと写真家のコラボレーション。共通のテーマは制服。忘れていた遠い日の元カノとの記憶が甦り、ちょっと胸が痛んだ。

※写真は展示風景を撮影したもので、実際の作品とは色や質感がかなり違っていることをお断りしておく。

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Profile:森伸之

1961年東京生まれ。イラストレーター・制服研究者。
1981年頃より東京都内にある私立女子高校の制服情報を調査するようになる。
1983年、美学校考現学研究室に在籍中、調査結果をB6版のノート2冊にまとめ、レポートとして提出。
このレポートがベースとなって、1985年『東京女子高制服図鑑』(弓立社)を刊行。以来1994年度まで、毎年改訂版を刊行するロングセラーとなった。
現在はおもに制服に関するイラストと文章の執筆を中心に活動中。著書に『制服通りの午後』(東京書籍)、『東京路上人物図鑑』(小学館)、『アンナミラーズで制服を』(双葉社)、『OL制服図鑑』(読売新聞社)などがある。

Profile:武井裕之

神奈川県生まれ。制服少女写真家。
フリーのFMラジオ音楽番組制作ディレクターの仕事の傍ら、写真を独学で学ぶ。
1995年頃からストリートで制服少女のみの撮影を始める。
近年、撮り溜めた作品をギャラリーなどで発表するようになる。

Interview:森伸之、武井裕之

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左:武井裕之/右:森伸之

制服のプロ(?)に制服の魅力を聞いてみた

──お二人のコラボというのは、あっても不思議じゃなかったのに、今までなかった取り合わせに思いました。展示はお二人の制服つながりでとても面白かったです。

武井 確かに、ありそうでなかった展示ですよね。

──お二人でコラボしようと思ったきっかけは?

武井 <学校制服超会議>というイベントで森さんと知り合ったことからやろうということになったんです。
※『学校制服超会議』世界に誇る日本の学校制服文化をさまざまな角度から語り合うイベント。2014年5月31日開催。参加パネリスト:森伸之(制服図鑑著者)/相浦孝行(制服ショップCONOMI代表)/口枷屋モイラ(西洋服飾史専攻)/長野愛樹(日本女子大家政学部被服科2年生)/武井裕之(制服少女写真家)主催:神保町画廊(注・肩書は当時のもの)

──今回の展示のコンセプトは?

武井 制服というものに対して、アート的に、そして文化的にクローズアップした展示をやりたいとずっと思っていたんです。日本の学校制服は、今や世界の女子の憧れと言っても過言ではないほどに、オリジナルに進化しました。日本の社会風土に合わせて、ここまで多彩なバリエーションが存在するファッションは、本当に珍しいと思います。その独特な魅力を、私は20年間撮影したビジュアルイメージで表現したいと思っていたんです。

──日本の制服も世界に誇るジャパンカルチャー、クールジャパンですよね。

武井 そうですね。で、制服をテーマとした展示で絶対、欠かせない存在が森伸之さんでした。森さんは制服の価値観を変えた第一人者であり、同人誌にしろ商業誌にしろ、最初の出発点の方ですからね。森さんに声をかけると森さんも30年間蓄積された膨大なデータで表現したいと思っていた、ということからコンセプトが決まりました。

──森さんの『東京女子高制服図鑑』はセンセーショナルでしたね。と過去形にするのは申し訳ないんですけど。

 いえいえ、30年も前ですから。

──僕もショックを受けたひとりでした。

武井 ショック受けましたよね。

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