先日、2016年のプロレス大賞が発表されました。栄えある今年の日本プロレス界最優秀選手に輝いたのは……そう、リングの中でも外でも1年間常に話題の中心にいた男、ブーイングを大歓声に変えて2016年のプロレス界を劇的に盛り上げた男、内藤哲也でした。今回は非常にオクパード(忙しい)な内藤さんにお時間を頂き、今年を振り返っての心境、1.4東京ドームを含めた来年への展望を色々と伺うことができました。

まだご存知ではない方もいらっしゃると思うのでご説明させて頂くと「1.4東京ドーム」というのは新日本プロレスの毎年恒例でもあり、国内最大の大会なんです。今年は特に全10試合中なんと8試合がベルトをかけたタイトルマッチになっていて、例年以上に盛り上がること間違いないと思います。

えっ、早く内藤さんのインタビューが読みたいって?? その答えは……トランキーロ! あっせんなよ!

僕がこんなこと言ってると怒られそうなので、早速インタビューいってみましょう(笑)。

Interview:内藤哲也

——内藤哲也として、あるいは2年目のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(内藤選手が所属するユニット、以下L・I・J)として、2016年を振り返ってみての感想をお聞かせください。

まあ、常に話題の中心にいたなと。そして全国各地で1番会場を盛り上げてきたのは僕たちだなと。今までは僕がリング上で発した言葉や伝えたいものが全く伝わらなかったんですが、L・I・Jになってからは、表現の仕方を変えるだけでこんなに届くものかと、こんなに伝わるものかと、それを感じた1年間でしたね。

ボンバイエインタビューVol.3/内藤哲也 image_2-700x467

——ワールドタッグリーグでパートナーと発表されていた「X」の正体がルーシュ選手だった事にも驚きましたが、先日の髙橋ヒロム選手(以下、ヒロム選手)のL・I・J加入は更にワクワクしました。ヒロム選手が日本に帰ってきた時に「彼が楽しみ」とおっしゃっていたのを覚えているのですが、やはりその時からヒロム選手の加入というのは視野に入れてらっしゃいましたか?

去年の5月、僕が最も焦っていた時期にメキシコに行ってロス・インゴベルナブレス(※内藤選手がメキシコ時代に所属していたユニット、その後帰国した内藤選手がL・I・Jを発足した。)に加入した時、彼もちょうどメキシコにいて一緒にペンションで生活していたんですよ。いつも行動を共にしていました。元々彼がデビューするまでずっと練習を見ていたのは僕なんで昔から彼との付き合いはあったんです。だから彼が帰ってきてからというわけではなく、一緒にメキシコにいる時から、いずれはこうなるんだろうなと予想はしていましたね。なので、起こるべくして起きたという感覚です。

——ヒロム選手の加入でL・I・Jの中でジュニアヘビー級のタッグにも挑戦できる様になりました。1.4東京ドームでも内藤選手の防衛戦を含め3試合、全てのL・I・Jメンバーがタイトルマッチを組まれていますが、新日本のベルトをL・I・Jで独占しようとする計画や思惑はあったりするのでしょうか?

これはL・I・Jの意見ではなくてあくまで僕の意見ですけど、ベルトを独占したい欲は無いですね。同じユニット仲間でもここにあるインターコンチネンタルのベルトが欲しいと思ったら獲りに来るべきだし、みんなで散らばろうよみたいに言うつもりは僕らの中でも無いので。同じユニットでも常に競い合っている仲だと、僕は思っています。僕は1.4 東京ドームの挑戦者に1番ふさわしい相手はSANADA選手だと思っていたので、ユニット内での対戦も構わない、むしろ同じユニット内で対戦することによって、より皆様にL•I•Jの世界をお見せすることができるんじゃないかと思っています。

ボンバイエインタビューVol.3/内藤哲也 image3-700x467

——以前はIWGPのベルトを目指してらっしゃった内藤さんがいて、ただ、今はベルトの価値をも超えられた内藤さんがいて、今の新日本プロレスのベルトに対して思うことや以前からの心境の変化はありますか?

新日本にいくつかベルトがある中で、僕はやっぱり昔からIWGPヘビー級王座が1番上のベルトだし1番価値のあるベルトだと、その思いは昔も今も変わらずに持っています。ただ、僕自身がその目標にしていたIWGPヘビー級王座をも超えてしまったと自分の中で思っているので、まあ黙っていてもまたIWGPヘビー級王座の方から僕の元に寄ってくるんじゃないでしょうか。(インターコンチネンタルのベルトを見て)このベルトはやっぱり中邑真輔のイメージが強いですよね。でも、このベルトもそのイメージを払拭したくて僕の元に近づいてきたのかなあと。僕はひと言も「このベルトが欲しい」なんて言った覚えはないので、このベルト自身が変わりたくて僕の元へ来たんじゃないかなあと思っています。投げても投げてもまた戻ってきますしね。

——1.4東京ドームのタイトルマッチに関して、棚橋弘至選手(以下、棚橋選手)は先日の試合後に「ファン投票はしません」と言っていましたが、それに関して何か思った事はありますか?

僕自身は棚橋戦が決まった時点で、メインイベントじゃなくていい、ファン投票なんか望まないと言ったんですけど、あの時点で棚橋は答えを保留した。要するに「棚橋は何を言うんだ」とプロレスファンの皆様に考えさせて、楽しむ時間を棚橋は作ったわけですよ。僕自身も楽しんでいましたよ、棚橋はどういう答えを持ってくるのかと。それだけ期待したのに、なんの面白みもない答えが返ってきました。僕は棚橋に憧れて棚橋を追い続けてきた人間なので、追い続けた人間としては非常に寂しいコメントだったと思います。

——インターコンチネンタルのタイトルマッチに向けて、以前の会見で「棚橋はトップレスラーじゃなくなった」とおっしゃっていましたが、今年1年の状況から見ても棚橋選手は背水の陣で挑んでくると思いますが、そんな棚橋選手に向けて、そのタイトルマッチに向けて、思うところがあればひと言頂けますでしょうか?

僕はプロレスラーになる前から棚橋に憧れを抱いていましたし、新日本プロレスに入ってからも僕は棚橋のように団体を引っ張っていく選手になりたいと思ってずっと追っかけていました。大きな舞台でいつか棚橋と試合がしたいと思っていましたし、こうやって東京ドームで闘えることはすごく嬉しいと思っています。ただ、ただですよ、僕が思い描いていたのは、輝いている棚橋弘至と試合をすることでした。僕はずっと、「棚橋弘至を引きずりおろすのは俺の役目だ」とデビュー当初から言っていたのに、彼はいつの間にかトップ選手じゃなくなってしまっていた。そして、棚橋は今年の1月4日に東京ドームでオカダに敗れた。その時点で何かもう棚橋の時代は終わってしまったのかなと感じました。今年1年の、いるのかいないのかわからない彼の活躍具合を見てもそうですし、彼を追いかけてきた人間としては非常に寂しく思いますね。なので東京ドームで憧れの選手と闘えるという嬉しさの反面、実際に本人を見てみたらかつての憧れは全く輝いてなかったので非常に寂しい思いはありますけど。まあでも今のプロレス界で1番神ってるおいしい相手が僕ですから、挑戦先の目の付け所はいいなと思いましたね。だからこそ東京ドームという大きな舞台で、最後のトドメをさしてやろうかなと思っています。憧れていた存在だからこそ僕の手でトドメをさしてやりたいし、おそらく棚橋もそれを望んでいるんじゃないかと、そう思っていますよ。

ボンバイエインタビューVol.3/内藤哲也 image4-1-700x467

——2015年に3人でL・I・Jが始まり、今年はSANADA選手、そして髙橋ヒロム選手が加わりました。今後もパレハ(スペイン語で仲間)が増える可能性はありそうですか?

どっちだと思いますか?

もちろん増えるかもしれないですし、減るかもしれないです。こうやって「一体どうなるんだろう」と考える時間こそが、プロレスファンにとって1番楽しい時間であり、贅沢な時間だと思います。まあその時間を皆さん楽しんでください、答えはそのうち分かりますよ。その時までトランキーロ……(「落ち着いて、焦るな」のスペイン語)あっせんなよ。

かつて僕がまだくすぶっている時、中邑真輔に「内藤はプロレスしか見ないから視野が狭いんだ。」と言われたことがあるんですよ。僕は本当に趣味がプロレスなので、いろんなものに手を付けようという気がなくて、基本的に視野が狭いんですよ。ただ、プロレスを応援してくださる皆様に今、僕の発言や行動が届いている1番の要因は、僕のその視野の狭さだと思っています。元々プロレスが好きで、プロレスファンの心を今でも僕は持っているつもりなので。だからこそ、今これだけ皆様を楽しませることができているのかなあと思いますね。

——2015年は急にロス・インゴベルナブレスになって帰ってきた内藤さんに対してのブーイングから始まり、それが2016年に大きな声援に変わり、今では一大ムーブメントとなって来年を迎えようとしていますが、1.4東京ドームからの2017年の展望などあれば教えてください。

僕はなかなか殻を破れずに、どうしたらこれ以上の場所へ行けるんだと悩んで悩んで、何かヒントを求めて2015年にメキシコに行って、そこでロス・インゴベルナブレスに加入して、それがきっかけで今これだけ景色が変わりました。僕はやっぱりメキシコのロス・インゴベルナブレスには感謝しかないので、僕がロス・インゴベルナブレスに恩返しができるとしたら、彼らが作った世界をより広く届けることだと思っています。今は新日本プロレスも徐々に海外進出していますし、新日本プロレスワールドでも全世界に配信をしているわけです。実際にアメリカやヨーロッパに行くとL•I•JのTシャツを身につけている人がいるんですよね。そういうのを見て、徐々にではあるけど広まってきている実感はあります。

ボンバイエインタビューVol.3/内藤哲也 image5-1-700x467

——海外大会での反応も変わってきましたか?

全然違いますね。海外の大会って試合前にほぼ全選手参加のサイン会があるんですよ。L・I・Jができる前は、僕の前なんてほとんど人がいなくて誰も並ばない時間が続いていたんですけど、僕がロス・インゴベルナブレスをメキシコから持ち帰って、L・I・Jになり、IWGPを巻いた直後くらいからですかね。もう海外に行ってもサイン会の列が途切れない状況になったので、ロス・インゴベルナブレスがちょっとずつ世界に届き始めているんだなと感じています。

——最後にQeticの読者、『みちくさボンバイエ』の読者にメッセージなど一言お願いします。

Qeticの読者の中にもプロレスを見たことがない人がたくさんいると思いますが、このコラムを読んでしまったこと、こうしてプロレスと出会ってしまったこと、これは全てデスティーノ……運命だと思います。1.4の東京ドーム大会は当日深夜に地上波放送もありますし、僕が自信を持ってお届けするこのプロレスの世界、そして我々ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの世界を、あなたの目で、あなたの耳で、ぜひ確認してください。

以上、今年の日本プロレス界最優秀選手、内藤哲也さんのインタビューでした。僕はプロレス人気が低迷している時代、プロレスの為に何か力になりたくてQeticという媒体でコラムを始めさせて頂いたので、プロレスをまだ知らない人へ向けた最後のコメントを頂き、すごく嬉しかったです。

インタビューの中にもありましたが、新日本プロレスの毎年恒例でもあり、国内最大の大会「1.4 東京ドーム」。2017年の新日本プロレスがどうなっていくのか、内藤哲也が棚橋弘至がオカダ・カズチカがケニー・オメガが、一体どんなスタートを切るのか、非常に見応え抜群の大会なのでぜひ皆さん足を運んでみてください。僕も会場にいますので見かけたら声かけてくださいね。

EVENT INFORMATION

戦国炎舞 -KIZNA- Presents WRESTLE KINGDOM 11in 東京ドーム

2017.01.04(水)
OPEN 15:30/START 17:00
東京ドーム
対戦カードなど詳しい情報はこちら

次回のみちくさボンバイエもお楽しみに、それでは。

ボンバイエインタビューVol.3/内藤哲也 image_6-700x467