普段なかなか聴く機会のないスペインサウンドを聴きにCoyu主宰のレーベル〈Suara〉のパーティーへ。会場となったDEPOTもまた中心地からは少し離れた位置にある巨大倉庫のようなイベントスペースだった。パーティータイムにしては早めの時間に着いたからか、DJはエレクトロにマイクパフォーマンスが入り、ライティングもかなり派手なステージだった。メインゲストのClaude Vonstrokeの出番は遅く、テクノ、ハウス、ドラムンベースなど自由自在に操るオリジナルなプレイを見ることが出来ないまま移動時間となってしまったのが非常に残念だった。Tシャツにスキニーを腰履き、キャップといったファッションの20代男子が圧倒的に多く、フロアーの盛り上がりから見て、EDM同様に根強いシーンがあるのだと感じた。

375,000人が証明するダンスミュージックの重要性【ade現地レポートVol.2】 suara1-700x456

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自分が参加したパーティーの中で一番大きな会場だったWarehouse Elementenstraatでは<HYTE>が開催されていた。メインフロアーは赤、サブフロアー(それでもかなりの広さ)は青のレーザーライティングが終始激しく飛び交うゴージャスな演出。こぼれたお酒でぐちゃぐちゃの床に、ものすごい熱気で長時間音に集中出来る空間ではなかったのが少し残念だったが、Ricardo Villalobosの王者君臨といった貫録のプレイは見事だった。無機質なミニマルの低音を耳奥で拾いながら暗黒の世界に入り込んできたところで、パーカッシブや宇宙的サウンドエフェクトが歪んでループされる。大箱ならではの派手な展開もありつつ、終始予測出来ない変幻自在なストーリーは本当に素晴らしかった。

375,000人が証明するダンスミュージックの重要性【ade現地レポートVol.2】 Hyte1-700x467

375,000人が証明するダンスミュージックの重要性【ade現地レポートVol.2】 Hyte2-700x467
参考写真:XLR8R

事前に全プログラムをチェックするにはかなりの時間を要する上に、フル回転させても全部を回り切れないほどの数があり、実際、行きたいパーティーやクラブに全然行けなかったのが今回の反省点でもある。アムステルダム市内のあちこちに散らばるクラブをサーキットするには、土地勘と車か自転車が絶対に必要不可欠である。ローカルの人々は寒空であっても自転車で移動する。週末であれば深夜バスも走っているが、本数は少なく、土地勘がないとなかなか難しい選択肢となる。あとは、お金は掛かってしまうが、UBERでの移動は非常に便利である。<ade>に初参戦の際には一番重要なポイントとなるので是非とも覚えておいて欲しい。

今年で21回目を迎え、フェスティバル、プレイグラウンドを合わせた1,000近いイベント、396のカンファレンス、2,200組の出演アーティスト、そして、375,000人という動員数を叩き出した<ade>は、ダンスミュージック産業の確かな未来を残しながら、参加者の笑顔の中で幕を閉じた。

多くの会場が大箱に当たる広さであり、レーザーやLEDを駆使した派手な演出であるのはアムステルダムのカラーなのだろう。その背景にはとてつもない巨額な経済効果を生み出していることを感じ、ダンスミュージックが単なる娯楽でなく、政府から疎まれる存在でもなく、歴とした文化であり、国を挙げてのトップ産業になっている証拠なのだろう。

また来年、同じ場所でどんな新たな発見や出会いがあるのか、非常に楽しみである。

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