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今回はベルリンを拠点に世界で活躍するコラージュアーティスト長尾洋をゲストに迎え、アトリエにお邪魔してインタビュー。

絵画でも写真でもファッションにおいてもビビッドなものが無条件に好きである。コントラストの強さは漲るパワーや潔さを感じるからかもしれない。長尾洋という現代を生きる一人のアーティストが作り出すコラージュアートの世界もまたビビッドでキラキラした未来を見せてくれる。しかし、それは本当に未来なのだろうか? 簡単に見えてしまう表面だけを見ているのではないだろうか。ずっとずっと遥か昔、人類が誕生し、発展していく過程にこそ輝かしい芸術があるのではないだろうか。もう戻れはしない古代に潜む人間のルーツと現代に生きる私たちとこれからの未来を繋ぎ合わせる。彼の作品はそんな世界を教えてくれる。

今回はベルリンを拠点に世界で活躍するコラージュアーティスト長尾洋をゲストに迎え、アトリエにお邪魔してインタビューを行いました。是非最後までご覧ください!

Interview:長尾洋

【インタビュー】アーティスト長尾洋がコラージュに映し出す人間のルーツ km-post59__DSC3282-700x467

洋服やアクセサリーって人間の本能のエネルギーがいっぱい詰まっているものだと思う。だから、そうゆうもので人物や生き物を構成したい。

インタビュアー宮沢香奈(以下、宮沢) 長尾さんの作品はコラージュアートになるわけですが、パッと見ただけではなかなか分からないかなり手の込んだ作業工程があると思うんですが、具体的にはどのようにして制作しているんですか?

長尾洋(以下、長尾) 基本的に、プライベートオーダーの作品は完成イメージまでお客様とやりとりして綿密にスケッチしますが、普段はレイアウトやアイデアスケッチをしたらコラージュの素材集めをします。まず、コラージュをメインとした全体の画面構成が決まったら、アクリル絵の具で背景から色を塗り始めて、一定のところからコラージュ素材の貼り付けに切り替えていきます。僕の作品は人物や動物といった生き物が登場することがほとんどですが、それらをコラージュで構成しています。ファッション雑誌から切り抜いた洋服やアクセサリーなどの装飾小物のみを切り出しを身体のパーツに使っています。こういったサイズの大きい作品は、切り抜いたパーツを部位ごとにまとめてミニチュア版を作ってから、それを参考に本番サイズを仕上げていきます。これは400%に拡大(※一般的なコピー機の最大の拡大サイズ)カラーコピーしてるんですが、雑誌のサイズは決まっているし、これが通常サイズで作ったコラージュを巨大化させることの出来る最大サイズになりますね。

【インタビュー】アーティスト長尾洋がコラージュに映し出す人間のルーツ km-post59__DSC3519-700x467【インタビュー】アーティスト長尾洋がコラージュに映し出す人間のルーツ km-post59__DSC3475-700x467
<No Commission>出展作品『Jumpman』

宮沢 なるほど。やはり1点1点かなり手間が掛かっているんですね。パーツを洋服や装飾小物に特化しているのはなぜですか?

長尾 洋服や装飾小物って、食や睡眠といった人間の生活に最低限必要なものとはまた違って、プラスになるものであって、心を豊かにさせるものだと思ってます。衣服も必要ですが、ファッション雑誌に出てくる洋服は実用性のものとは違いオシャレをするためのものですよね。人間は常に自分たちが欲しいと思う洋服やアクセサリーを作ってきた。それは文明の最たるところで、言葉とかでなく、”あったら嬉しい”という物欲が人類の繁栄を担ってきたと思うんですよ。

ちょっとサイエンスティックな話になりますが、約20万年前に猿と人間がDNAレベルで別々の道を歩みだしたたと言われ、その後、7万5千年前にはアフリカで壁画が見つかったんですが、ちょうど同じ頃に作られた人類最古と言われる小さな貝殻でできたアクセサリーも発掘されたんです。言葉も現代ほど発達していないその時代にすでに芸術が生れていて、何かを身に纏って楽しむという文化がすでにあったということなんですよね。洋服やアクセサリーって人間の本能のエネルギーがいっぱい詰まっているものだと思うんです。だから、そうゆうものを使って人物や生き物を構成しています。

宮沢 とても興味深い話ですね。人間にとって一番大切なように思える言葉よりも先にファッションやアートが浸透していて、それを楽しむ方法をすでに知っていたってことですよね。そう考えるとやはり言葉よりも感覚の方が大切なのかなって思ってきますね。背景からしてビビッドでカラフルというのが長尾さんの作品の特徴だと思うんですが、色へのこだわりはどこからきているんですか?

長尾 色とかパターンのインスピレーションはさっきのアフリカの話に繋がりますが、先住民から得ています。パっと見た感じはすごく未来的だけど、よく見ると人物は先住民で、腕や足が現代にあるパーツで作られている。実はこれらは僕ら人間の姿を描いているんですよね。これまで人間が見てきたもので構成して、”古代から現代、そして未来へと、僕らはどこへいくのだろうか?”ということを作品を通して問いかけているんです。

【インタビュー】アーティスト長尾洋がコラージュに映し出す人間のルーツ km-post59__DSC3509-700x467

宮沢 そういった背景を知ってから見るとまた違った発見がありますね。現代のファッションを取り入れているけれど、選んでいるものはどことなく先住民を彷彿させる民俗調のものが多いように感じます。アクセサリーとか素材とか特にそう思いますが、潜在意識の中に常にあるんでしょうね。長尾さんはメキシコによく行っているイメージがありますが、やはりそれも先住民のルーツがあるからですか?

長尾 そうですね。先住民に関しては単純に見てかっこいいなというところから入ってるんですけど、メキシコはマヤ民族の文化があって、宗教みたいに偶像崇拝とかではなく、精霊が宿るとか、地の精霊とコミュニケーションするといった思想なんです。そういった思想にも惹かれたし、政府が先住民の存在を認めていて、保護している国でもあります。マヤ文化を学ぶためにマヤ語を教える授業があるぐらい先祖に対してすごく理解を深めているんです。文明が急激に発達して、世界的に見ると今はどんどん西欧化されてきていますよね。そういったいわゆる白人が作ってきたものが浸透していく時代の中で、少数派民族の文化を守っていくのはすごく大事で素晴らしいと思いました。

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宮沢香奈(Kana Miyazawa)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

フリーランスライター/コラムニスト

長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。 セレクトショップのプレス、ブランドディレクターを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積む。2012年頃からライターとして本格的に執筆活動を開始し、ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーを取材するなど活動の幅を海外へと広げる。2014年に東京からベルリンへと活動拠点を移す。現在、Qetic,VOGUE,繊研,men's FUDGEなどで連載を持ち、多くのファッション誌やカルチャー誌に寄稿している。また、国内外のカルチャー情報&体験を提供するアクティビティーコマースBANANAにて、現地ガイドを担う。

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