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今回はベルリンを拠点に世界で活躍するコラージュアーティスト長尾洋をゲストに迎え、アトリエにお邪魔してインタビュー。

宮沢 東京は独特な空気感や環境がありますよね。私もそうですが、地方から出てきている人も多いし、住めば住んだだけのメリットやチャンスもあるのが東京だと思いますけど、そこだけに固執する必要はないですよね。活躍できる場所は世界中にありますから。作品の話に戻りますが、先住民からインスピレーションを受けてコラージュアートとして表現するようになったのはベルリンへ来てからですか?

長尾 そうですね。今の作風になったのはここ3、4年ぐらいです。ベルリンに来たばかりの頃はアートがやりたいということだけはわかっていたけど、じゃあ、どうしよう?って。今の思想に辿り着くまで一年ぐらい掛かりました。食べれるようになったのは、ここ2、3年です。ベルリンを選んだのも単純にアーティストとして活動しやすそうだなって思ったからなんです。他のアーティストに多いように正直ビビっと来たわけではないんですよ(笑)。物価も安いし、ヨーロッパの他都市へもアクセスしやすいし、ビザとかいろいろとハードルが低かったんですよね。

宮沢 ベルリン大好き! って感じではないのは分かってましたよ、なんとなく(笑)。

長尾 いや、好きですよ! 楽しいですし(笑)。でもそれだけではダメなんですよね。アートに関しても5年いたら物足りなくなってしまったんです。人がゆったりし過ぎてるのもあるし、ベルリンで作品を買ってもらうこと自体が難しいんです。だから、もっと分かってくれる人が多いところや競争の激しいところに行って、自分を追い込まないとダメだと思ったんです。写真で見るとすごく良い作品だけど、実際見るとそこまで手が入ってなかったりする作品って意外と多いんですよ。でも、僕の場合は逆で、写真では分かりにくいけど実際見るとすごく手間が掛かっているのが分かってもらえると思うんです。だから、実物を見てもらう機会を増やすことが何よりも大事なんですよね。

宮沢 確かに”コンピューターグラフィックじゃん!”って言われてしまったらそれまでですよね。私はたまたまベルリンで実物を見れる機会がすぐにあったし、今もそうですけど、間近で見て”うわ、すごく細かい!”とか、”一部分に何重にもコラージュされてる!”とか分かりますけど、パソコンやスマホからは伝わりにくいかもしれないですよね。

長尾 まさにそこなんですよ。コンピューターでやってるって思う人がいたらその人に説明できないままになってしまって、制作過程もメッセージも伝わらないままだから一人でも多くの人に現物を見て欲しいんですよね。SNSも発達してるけど、どこまで人を自分の作品へと誘導出来るかが勝負だと思っています。やっぱり住んでる環境と作品ってパッケージだと思うんです。特に僕は環境からインスピレーションを得ているから、そういった点においてもベルリンはちょっと違うかなって思ってしまいます。この街は好きだけど、遊びに来ているわけではないから、自分のやってることとのギャップが出てきてしまうのは良くないなと。

宮沢 ベルリンも格差がありますよね。一流ももちろんいるけど、自己満足で終わってしまっている若いアーティストも多いなと思います。良くも悪くもプロとしてお金を稼げてなくても”アーティスト”と名乗れる街じゃないですか、ここは(笑)。刺激もあって、少額でやりたいことが出来て、小さなチャンスがいっぱいある魅力的な街だと思いますが、アートに関しては音楽ほど前衛的でも世界的でもない気がします。でも、ステップアップとしてはベルリンはベストだったんじゃないですか? これがNYとかだったらいきなりこのサイズのアトリエを構えるのは至難の技ですし。

長尾 そうですね。いろいろじっくり考えることが出来たし、ベルリンが最初で良かったと思っています。実はこの前、音楽プロデューサーでアートコレクターのSwizz Beatzがこのアトリエに来てくれて僕の作品を気に入ってくれたんですよ。彼が6月29日からベルリンでオーガナイズするアートと音楽のフェス<No Commission>に出展することを決まって、ここから次のステップに繋がったら良いなと思っています。

宮沢 え、彼はラッパーでプロデューサーで、アートコレクターでもあるんですか??

【インタビュー】アーティスト長尾洋がコラージュに映し出す人間のルーツ km-post59_swizzbeats_studio_visit-700x524

長尾 そうなんです!彼はずっとバスキアやアンディー・ウォーホルなどの超高額アートのコレクターだったらしいんですけど、最近は生きてるアーティストにも価値を見出したいと考えて、大御所だけでなく、中堅・若手の新進アーティストの作品を買い出したんです。音楽業界ではもちろん言うまでもないですが、アート業界でも頭角を現してきているやり手ですね、彼はブロンクスの出身なんですが、アメリカ拠点のアーティストの作品を集めたアート展を地元で開催して、たった一人で一億売ってるんですよ。もうぶっ飛んでる(笑)。アメリカ人のすごいことは自分たちでルールを決めて、やりたいことを実際にやってしまうところですよね。

宮沢 バスキアの原画をコレクションできる時点ですでにぶっ飛んでますけど、原石を見つけるアートセンスも兼ね揃えているってことですよね。多才過ぎる。

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宮沢香奈(Kana Miyazawa)

宮沢香奈(Kana Miyazawa)

フリーランスライター/コラムニスト

長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。 セレクトショップのプレス、ブランドディレクターを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積む。2012年頃からライターとして本格的に執筆活動を開始し、ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーを取材するなど活動の幅を海外へと広げる。2014年に東京からベルリンへと活動拠点を移す。現在、Qetic,VOGUE,繊研,men's FUDGEなどで連載を持ち、多くのファッション誌やカルチャー誌に寄稿している。また、国内外のカルチャー情報&体験を提供するアクティビティーコマースBANANAにて、現地ガイドを担う。

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