どうも東京の人にはなれなかったらしい|「またね」 column180920-matane-9

今私は、クレジットカードで約9万円、
おまえのために使った。
正直、高い、高すぎる、本当ふざけんな、
死んで欲しい。

暑い春の日と暑い夏の日の間、
まだ異性に対しての好きと同性に対する好きの違いが分からなかったあの日
ありきたりな言葉を借りると、
こんなにも愛おしく、恋しく、なる
だなんて思ってもいなかった。

3階建ての校舎。
1階が3年生の教室で、
花壇にはゴーヤーのツルが伸びていた。
18年間いた島で過ごす最後の年に、
少し寂しさを覚えるも
実感が湧かないまま過ごした気がする。

あいつは死ぬほどポジティブで
死ねばいいと3回ぐらい思ったことがある。
人が凹んでる時の超ポジティブは
心にくるものがある。
そういうのを知らない、お前は、
ずっとまっすぐでバカだから損をする。
私とは真反対にいて、本当うざかった。

一生損して生きるんだろうな、
でも困った時はその超ポジティブに引き寄せられた
わたしも含む、みんなが助けるから、
助けてやるから。って思われる人なんだよ。

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「またね」が言えないことを実感できず
「遊ぼうよ」が溢れでた

名前を呼んで大声を上げて泣く人を見て
なんだか冷めた

原稿用紙に書けなかった夏休みの宿題
決まらなかった進路室、注文し忘れたお弁当

将来に対して不安より希望が大きくて
できなそうにないことを大きく語って
将来の夢欄に「ビックになる」って書くやつが
一番嫌いだけど
お前だけは良かった

そんなことは正直どうでも良くて
私はまた遊びたくて仕方ないんだ

「くだらない」がどんなに大切か
春夏秋冬回ること、
ゴミ見たいな仕事に目が回ること

消えては増えるこの世知辛い世の中で
二本の足だけで立っているのがしんどくて
何が楽しいのか分からなくなることもある。
消えたら増えないものもあって
それが多すぎて一緒に消えたくなることもある。

だけど私は残る。
何も残せないまま
消えない汗染みのようにしつこく
嫌な残りかたをする。
唇を噛み締めて、
流れる血に見向きもしないで、
寝たら朝が来るし、
寝なくても朝が来る。

当たり前を当たり前と思わないで。
なんてよく言うけど、それは無理な話で
でも、お前が当たり前ができないことは
わかっていて。

私はこれからも「私だなんて」って思って
すぐ消えたくなるけど
その度にお前からもらった「そんなことない」を
思い出して、当たり前じゃない世界を想像するよ。

悔やんでも悔やみきれないから
悔やみ終わるまで
私はもう少しこっちで当たり前に一生懸命
へばりついとくよ。

私は東京にいる
私は東京に住む
けどどう頑張っても、
何年住んでも東京の人にはなれないけど
それで良かったって言えるように
頑張るよ

またね、負けないよ。

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またね

中山 桜

沖縄県の離島久米島育ち。島民おじーおばーまでだいたい知り合い。フィルムカメラで人を中心に撮っています。お酒を飲まないと一日が終わらないと思っています。
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