はじめてのファヴェーラ:スラム街

今回寄付金を届ける際、ベン監督がアテンドしてくださったので安心ではありましたが、マレ地区に到着して私がみた景色と匂い、感じる空気は想像をはるかに越えた強烈なものでした。

リオデジャネイロの約1/3はスラム街ですが、マレ地区は中でも最も危険なファヴェーラというだけあって、緊張感が他のファヴェーラとは比べ物になりませんでした。

マレに到着する前に「携帯電話は出さないでね!」とベン監督から注意を受けました。というのも、映ってはいけないものを撮影してしまう可能性があるし、そもそもファヴェーラは観光に行くような場所ではないからです。タクシーも通常はファヴェーラに行くことを嫌がるので、私たちもマレ地区に到着したら歩いて「Fight for Peace」まで行くと言われていました。しかしラッキーなことに私たちのタクシーの運転手さんはファヴェーラ出身者だったようで、最終目的地まで運転してくれました。(ホっ)

マレ地区に入ると、いろんな音が鳴り響いていて、細道では売買が行われていたり、武装している子供もぶらぶらしているという、言ってみれば戦争地帯でした。公共設備も整っていないので、足下もグチャグチャで、かなりの悪臭が漂っていました。私は、言葉を失いました。どう反応していいのかも分からなくなってしまったのです。

ベン監督は、マレ地区に到着する直前にタクシーの中で「Fight for Peace」のTシャツに着替えました。おいおい突然着替え出してびっくりするなぁと思っていましたが、その理由は「Fight for Peace」との繋がりをアピールすることは、身を守ることに繋がるからです。彼らの活動はスラム街でも認められていて、「Fight for Peace」のロゴを身につけていれば、この人は信頼できる人物であると判断されるそうです。つまり「Fight for Peace」のロゴは、ファヴェーラでの防弾チョッキであり、またはファヴェーラへのパスポートみたいな役割を果たすというわけです。

輝く笑顔達との出会い:リオデジャネイロ最大のスラム街マレ地区にて LutapelaPaz_3

マレ地区ではありませんが、リオの1/3はこんな感じなのです。

Fight for Peace 「Luta Pela Paz」にて

ボクシングのトレーニングルームから、クラスルームまで隅々見学。
とても掃除がいきとどいた清潔な場所でした。

輝く笑顔達との出会い:リオデジャネイロ最大のスラム街マレ地区にて LutaPelaPaz_4a

輝く笑顔達との出会い:リオデジャネイロ最大のスラム街マレ地区にて LutaPelaPaz_4b

輝く笑顔達との出会い:リオデジャネイロ最大のスラム街マレ地区にて LutaPelaPaz_4c

今回寄付したのは、日本円にして10万円です。クラウドファンディングと映画の興行収益の一部からこのような金額を届けることができました。

輝く笑顔達との出会い:リオデジャネイロ最大のスラム街マレ地区にて LutapelaPaz_5

レコーディングのため同行できなかったジャイルスですが、出発前に私に「GOOD LUCK! がんばってきてね!」と声をかけてくれたのでした。

輝く笑顔達との出会い:リオデジャネイロ最大のスラム街マレ地区にて LutaPelaPaz_6

右にいるのが、オーストラリア人のステファニーさんは、過去様々なNGO団体で働いてきたプロフェッショナル。ブラジルの方との結婚を機にリオデジャネイロへ引っ越してきて縁あって「Fight for Peace」で働くことになったそうです。

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