俳優、そして、映画監督としても高い評価を得て、今やハリウッドの生きた伝説となったクリント・イーストウッド

88歳にして現役のイーストウッドの最新作『運び屋』は、実在した90歳の麻薬の運び屋の物語だ。いったんは俳優業から身を引くと宣言したイーストウッドだが、今回10年振りに監督と主演を兼任。

家族を顧みずに好きな仕事に熱中し、人生の最後に家族のために何かをしようとする男を演じている。

映画『運び屋』本編映像(クリント・イーストウッド&ブラッドリー・クーパー)

そんなイーストウッドはどんな映画人生を送ってきたのか。
70年代から2010年代まで、それぞれの時代から代表作を一本選んで紹介したい。

イーストウッドの代表作品を一挙おさらい!

『恐怖のメロディー』(1971年)

恐怖のメロディ – 予告編

イーストウッドの初監督作は手に汗握るサスペンスで、ラジオのDJデイヴを演じた。デイヴは人気のDJで、彼の番組には毎回、熱心なファンからジャズの名曲「ミスティ」がリクエストされていた。そんなある日、デイヴはいきつけのバーでイブリンという女性と出会い、一夜限りの関係を持つ。彼女こそが「ミスティ」をリクエストしていたファンだった。その日以来、イブリンはデイヴをしつこく追い回し、次第に異常な行動を見せはじめる。そして、ついに恐ろしい事件が……。

当時は珍しかったストーカーの恐怖を描いた本作で、イーストウッドはこれまで演じてきたタフガイとは反対に、恐怖に怯える弱い男を演じて俳優としての幅を広げた。サスペンスとして丁寧に作られていて、イブリンを演じたジェシカ・ウォルターの豹変ぶりも恐ろしい。

バーのバーテンを演じているのは、「ダーティー」などで何度もイーストウッドと組んだドン・シーゲル監督。

初監督のイーストウッドは「自分より緊張している人間がいれば落ち着くから」という理由でシーゲルをキャスティングしたとか。

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