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80KIDZデビュー10周年を記念した初ベスト・アルバムとなる最新作『BEST KIDZ 2008-2017』のリリースに合わせた本インタビューでは、ALI&とJUNに80KIDZの歴史とその時代の音楽から象徴する曲を一年ずつピックアップしてもらった。前編では、2008〜2012年までを振り返る。

常に海外のオルタナティヴな潮流の最先端と共振しながらも、それを如何に日本の音楽シーンへと効果的に投下できるか?――80KIDZの10年の歩みとは、その試行錯誤の歴史だったと言ってもいいだろう。ゼロ年代末に日本におけるエレクトロ・ムーヴメントの発火点となった彼らは、その後、音楽的な進化と変化を続けながらも、その姿勢はブレずに一貫している。

それは、デビュー10周年を記念して送り出される初のベスト・アルバム『BEST KIDZ 2008-2017』を聴けば、手に取るようにわかるはずだ。端的に言えば、「80KIDZとは何なのか?」の答えがここには凝縮されている。

『BEST KIDZ 2008-2017』のリリースに際して行われた本インタビューでは、ALI&とJUNと共に、80KIDZの10年の歴史を一年ずつ振り返っている。

この取材にあたって、彼らには事前に、①各年の80KIDZを象徴する曲と、②80KIDZ以外のアーティストの曲でその年を象徴する曲を選んでもらった。

それを基に話を進めていくことで、彼らがこの10年間の音楽シーンをどのように捉え、その中でどのようなスタンスで活動し、どういった曲を作ってきたのか、ということを明らかにすることが狙いだ。これを読むと、80KIDZの過去と現在を俯瞰し、何かしらの未来へのヒントをつかむこともできるだろう。

ご存知の方もいるとおり、『BEST KIDZ 2008-2017』はクラウドファンディング・サービスのCAMPFIREを使って受注生産がおこなわれた。当初の目標金額を大幅に上回る支援が集めった本プロジェクトはすでに受付が終了しているが、9月12日(水)から自主流通でのリリースも予定されている。クラウドファンディングに参加しそびれてしまった人は、ぜひそちらで手に入れてもらいたい。

なお、このインタビューは10年の歴史を振り返ったものなので、その量は膨大。そのため、前編と後編の2パートにわかれている。この前編では、デビュー12インチ『DISDRIVE EP』(2008年)からサード・アルバム『TURBO TOWN』(2012年)までの5年間を振り返っていきたい。

Interview:

80KIDZデビュー10周年インタビュー。彼らと世界の音楽シーンの10年史(前編/2008〜2012年) 80kidz_ten_first_G7A2658-1200x800

——まずは、なぜこのタイミングで、クラウドファンディングというサービスを使って、ベスト・アルバムをリリースしようと思ったのか、その理由から教えてください。

JUN タイミング的には10周年という節目だったので。前にもベスト盤を出そうという話はあったんですが、「今じゃないんじゃないか?」みたいな声もあったんですよ。

ALI& ベストを出していいのは武道館でできるようになってからかな、と思っていたので(笑)。まだ自分たちには早いんじゃないかっていう。

JUN でも、10周年という機会を逃したら、次は20周年まで出せないので。いい機会だなと。

——クラウドファンディングで出すということに関してはどうですか?

ALI& 普通の流通のリリースはあんまりやりたくなかったんですよ。SpotifyとかApple Musicを使えば、リスナーが勝手にベスト盤のプレイリストを作れるわけじゃないですか? だったら、今は音源だけ、CDだけで普通に出すのは面白くないな、と思ったんですよね。それで、クラウドファンディングの話が出てきた時に、「あ、これだったら、いろんなことができるね」って。うちらは最初の頃から、ジャケットとか、パッケージングに対してのこだわりが結構あるから。

——そうですよね、最初からパッケージのデザインも自分たちで手掛けていて。今回のクラウドファンディングでも、デビュー前から交流のあるYOSHIROTTENがデザインしたTシャツとか、未発表曲やデモを収録したブートレグとか、こだわりを感じさせるプロダクトがたくさん用意されています。

ALI& クラウドファンディングだったら、音以外の部分での表現もしっかりと落とし込むことができるので。それがしっくり来たんです。

——クラウドファンディングはそのシステム自体が、既存のファンに支えられてプロダクトを出す、という形ですよね。実際、今回のベスト・アルバムは誰に向けて作ったと自分たちでは捉えていますか?

ALI& 最初から80KIDZを聴いてくれている人ももちろんいると思いますし、ここ1、2年で聴き始めた人もいると思うんですよ。それぞれ80KIDZの見方は若干違うと思うんですけど、どちらに対しても「もっと俺たちの深いところまで知ってほしい」っていう思いがありますね。

80KIDZデビュー10周年インタビュー。彼らと世界の音楽シーンの10年史(前編/2008〜2012年) 80kidz_ten_first_G7A2692-1200x800

——なるほど。

ALI& 初期からのファンに対しては、「俺たちはこういう感じで活動しているけど、ある意味、最初と変わらないよ?」っていうメッセージを届けたいですし。最近好きになってくれた人たちに対しては、「俺たちは昔はこういうことをやっていたけど、今、こういうことをやるのもイケてるでしょ?」っていうメッセージを届けたいです。

JUN 僕らが出てきた時に流行っていたエレクトロも、本当にアツかったのは3年間くらいで。それからダンス・ミュージックの流行も変わっていって、僕らの音も変わっています。だから、ある程度ファンも入れ替わっていると感じるんですよ。そこで、彼らにちゃんと80KIDZの10年間をまとめて、「僕らは一貫性を持って活動してきましたよ」っていうのを伝えたいと思っていますね。

ALI& うん、そうだね。

——では、このインタビューでは、これまでの10年間、80KIDZがどのようなスタンスで活動して、どのような思いで作品を作ってきて、どんなふうに音楽シーンを見てきたか? ということを時系列で一年ずつ振り返らせてください。それによって、80KIDZの一貫した姿勢と、進化し続けている音楽性を、シーンとの距離感という観点から浮き彫りにしていければと考えています。

2008年

▼80KIDZが2008年にリリースした作品

『DISDRIVE EP』(2008.04.04)
『LIFE BEGINS AT EIGHTY』(2008.08.06)

▼80KIDZが選ぶ2008年を象徴する自分たちの楽曲

ALI&:Disdrive
JUN:Life Begins at Eighty

▼80KIDZが選ぶ2008年を象徴する他のアーティストの楽曲

ALI&: / Kids
JUN: / Kids

——デビューした2008年は、最初の12インチ・レコード『DISDRIVE EP』と、初CD作品でもあるEP『LIFE BEGINS AT EIGHTY』をリリースしていますよね。当時の改めて振り返ると、どのように感じますか?

ALI& かっこいいですよね。当時は誰かの後について出ていったわけじゃなくて、完全に自分たちでこじ開けて出ていきましたから。今考えたら、本当によくやったなと思いますよ。

——2008年頃には日本のクラブ・シーンにもエレクトロのDJが出てきていて、80KIDZとか、DEXPISTOLSとか、YATTとかがいました。でも、純然たるオリジナル曲をリリースしたのは80KIDZが初めて。まだ日本では何もないところに、80KIDZが先陣を切って飛び出していったという。

ALI& “DISDRIVE”を出した時に、世間での捉えられ方がちょっと変わったな、と感じたんですよね。それまでは、ただの3人組のDJユニットだったのが、ザワザワ感が出てきたような手応えがあって。その次に『LIFE BEGINS AT EIGHTY』を出したんですけど、売り上げがすごかったので、大人たちの見る目も変わったっていう。リアルな話をすると(笑)。

80KIDZデビュー10周年インタビュー。彼らと世界の音楽シーンの10年史(前編/2008〜2012年) 80kidz_ten_first_G7A2708-1200x800

——(笑)。『DISDRIVE EP』では現場レベルの反応が変わったという感覚があって、『LIFE BEGINS AT EIGHTY』ではそのザワザワ感がもっと広いところまで伝わっていった。

ALI&
 そうそう。

JUN 最初、“DISDRIVE”はMyspaceにアップしたんですよ。そこですごく評価されたから、一気に世界的に知られることになったんです。それがきっかけで海外のブログで紹介されて、日本でも逆輸入的に注目され始めた、っていう流れだったんですよね。

——最初に発表した曲が、まだ正式リリース前なのに世界的にバズってしまったんですね。もちろん曲の強烈さが一番の理由だと思いますけど、ネット時代のはしりの現象だとも感じます。そういった意味では売れ方としても新しかった。

ALI& この年は海外からのリミックスのオファーもすごかったです。ブラック・キッズ(BLACK KIDS)とか、カザルス(CAZALS)とか。正直、この頃が一番勘違いしていましたね(笑)。海外がどうだとか。実際、英語で僕らのことを書いてくれている記事がたくさんあったんですよ。でも、まだ日本ではそこまで注目はされていなくて。だから、不思議な年だったと感じます。

——“DISDRIVE”を作った時のことって、今でも覚えていますか?

ALI& なんか、絶対に自分のオリジナル曲を今日中に仕上げて、今日中にアップしようと思い立った日があったんですよ。それで作ったのが“DISDRIVE”で。アイデアとしては、ジャスティス(Justice)みたいに歪んでいるんだけど、もっとロー・テンポで、もっとエモくしたいと考えていて。リフの感じは日本人っぽいエモさを入れたいなと思っていましたね。

——JUNくんは“DISDRIVE”を初めて聴いた時、どう感じました?

JUN それまで作っていた曲と較べて、急にバッチバチなものが出てきたな、と思ったのを覚えてます。B’zみたいなギターが入ってたり、すごくドラマティックなピアノのブレイクがあったり、曲調がそれまでと全然違って。「すごいの上げてきたな!」と思ったから、僕も負けてられないってなりましたよね。

ALI& それでJUNくんが“Fuck Fox”を作ってきたり。いい感じの曲のキャッチボールができるようになりました。

——JUNくんは、曲を作る時にどんなことを意識していたか、覚えています?

JUN デビューする前に、80KIDZでブートレグのミックスCDを出していたんですけど、そのミックス担当は僕だったんですよ。それでAbletonの使い方を覚えたので、僕としては切り貼りで作る作業が多かったですね。小ネタを基にして、ベースを足していくみたいな。

ALI& で、僕の曲がビリビリしてるのに合わせて、ビリビリさせてくれたんでしょ(笑)。

JUN でも、あの頃は本当に手探りで。どうやったらビリビリするの? みたいな(笑)。めちゃくちゃ歪ませて、でも音がデカくなりすぎるからコンプレッサーをかけたりとか。

ALI& そうそう。

JUN 全然わかってなかったんですけど、それが結果的に面白い音になっていて。

ALI& エレクトロなんだけど、既存の曲とは違うものにしたいっていう気持ちはありましたね。実際、あそこまで歪ませている曲ってなかったじゃないですか。

——海外ではジャスティスとかデジタリズムといったエレクトロの代表格がすでに出てきていたけど、そことは違うものを打ち出したいという意識は明確にあったと。

ALI& そう。当時、フランスにはジャスティスがいて、オーストラリアにはヴァン・シー(VAN SHE)とかのモジュラーがいたじゃないですか。僕らは日本だから、その間の面白いものを作ろうと考えていましたね。

JUN 僕としては、日本からも世界で評価されるアーティストが出てこないかな、自分たちがそうなれればいいな、っていうのは理想として持っていました。

ALI& 「まだ誰もやっていないからいけるんじゃないの?」みたいなね。

JUN この時って、アメリカからは誰か出てきていませんでしたっけ?

——当時はアメリカ発のエレクトロはほとんどなかったと思います。2人がこの年を象徴する曲として挙げてくれたMGMTはアメリカですけど、彼らはエレクトロではなくインディ・バンドですよね。ただ、この“Kids”はソウルワックスがリミックスしたこともあって、大クラブ・アンセムになりました。インディとエレクトロのクロスオーヴァーを象徴する曲と言ってもいいんじゃないでしょうか。

JUN 実際、この年を象徴する曲は、これ以外ないんじゃないですか? リフも強烈でしたし、ALI&くんもブートのリミックスを作ったりして。

MGMT – Kids (Video with Fire Intro)

——改めて振り返ると、2008年は世界的に見て大きく変わった年なんだと思いますね。MGMTとかヴァンパイア・ウィークエンド(Vampire Weekend)みたいな新世代のインディ・バンドが台頭してきたのもこの年ですし、のちの女性ポップ・アイコンの時代の先駆けとなるレディー・ガガ(Lady Gaga)がデビュー・アルバムをリリースしたのもこの年。で、カニエ・ウェスト(Kanye West)が『808’s&ハートブレイク』を発表したのも2008年です。カニエが同作で打ち出した内省的なR&Bは、ドレイク(Drake)やザ・ウィークエンド(The Weeknd)が出てくるための下地を作ったとも言える。つまり、2008年は2010年代に向けての種が蒔かれた年であり、世代交代が起こった年でもある。で、日本における世代交代の象徴が80KIDZだったんだな、と改めて思いました。

ALI& 確かに、この年を機会に、世界中で方向性が変わったんでしょうね。後から見るとわかりますけど。

JUN 僕らもタイミングがよかったんですね、そういう意味では。

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Qetic編集部

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