自然の脅威こそがやっぱり人間が到達できない芸術

【インタビュー】DATSのルーツ&カルチャーで読み解く。新作の全貌 170512_dats_0025

大井一彌(Dr)
キーワード:音楽/アート

——好きなアーティストはいますか?

大井 色々あるんですけど、僕が音楽を始めてから今に至るまで聞いてきた音楽で、DATSに一番還元できてるなぁって思う、僕が好きなアーティストはケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)です。元々、僕が60年代のサイケデリックロックとかが好きで、モンジョー(杉本)はエレクトロとか、打ち込みトラックの音楽が好きなんです。ケミカル・ブラザーズはその両極端を結びつけてるビック・ビート(ロックとエレクトロの融合)っていう音楽のスタイルで。それがすごく好きだったので、モンジョーのセンスと協和する部分があって、DATSに入ったんです。だから、DATSの僕だったらケミカル・ブラザーズです。

——それって新譜にも影響してますか?

大井 聞いてきたすべての音楽が影響してるとは思うんですけど……。

杉本 多分ケミカル・ブラザーズはライブにはかなり影響は出ていると思います。

——そうしたら、今のDATSを位置付けると、どの辺にいると思いますか

大井 日本の音楽シーンの中に位置を見つけることは難しいと思うんです、正直。僕らがやっているのは英語で歌っているのもそうなんですけど、海外の人から日本の今のこの世代の人たちはこういうこと考えてるっていうことを、いち早く汲んでもらいたいから。だから日本で音楽をやるのに英語を選んでるっていうのは、日本の現存する市場とかシーンに括られない為でもあるのかなって僕は思ってて。

——なるほど。話が代わってしまうんですが、世界中の色んなバンドやアーティストがいる中で、今のDATSがもし対バンができるとしたら、どんな人達としてみたいですか?

大井 対バンだったら……ミュートマス(Mutemath)とかボノボとかやりたくない?

杉本 俺はフランク・オーシャン(Frank Ocean)。

——面白そうです。

杉本 フランク・オーシャンが新譜で『ボンド』でやったことを日本でもやりたいなって思って、この(今回のアルバム)コンセプトを選んだんです。なので、例えばその曲名だったり、パッケージングの仕方だったりとか、通ずる部分があるっていうか。もしコンセプシャルな意味でそういう対バン企画みたいなのがあったら、相当面白いなって……。アメリカで生活を送るアーティストと東京で生活をするアーティストが今の流行文化やSNSみたいなものをどういう風に捉えているのか、対比じゃないけど、そういうのができて面白いかなとは思います。

——そうしたら次、アートの質問です。好きな画家やデザイナー、写真家はいらっしゃいますか?

大井 好きな画家だったら、ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)やエッシャー(Escher,)が好きです。キャンバスに絵の具とかをバーンとぶちまけるやつあるじゃないですか。ああいう偶然の産物でありながらも、それが芸術性を持ってしまうアクションペインティングとかDATSっぽいと思うし、エッシャーの幾何学の模様が次元を超え行くのもDATSっぽい。写真家だったら、ニール・クラッグ。

伊原 これじゃん。(カードを指さしながら)なんか他の惑星みたいだよね。

大井 そうそう。これって人工物でないし、その違和感みたいなものがDATSっぽいっていうか。DATSのカラーの中に大自然っていうのがあって。でも大自然っていうのは例えば自然の有機物で、ヤシノ木とかビーチの熱帯で享楽的な80年代に流行ったシティーポップの感じじゃなくて、もっと厳しい荒野とか大自然。サバンナでもそれ言えるのかっていうノリ。

伊原 だからサバンナなんですよ。

大井 そう、だからサバンナで。まぁ、そういう自然の脅威こそがやっぱり人間が到達できない芸術ですね。人間が恣意的に何かすることでは得難い芸術感に、偶然に任せて絵の具をぶちまけるということで、少しでも近づこうっていうっていうのが、もしかしたらジャクソン・ポロックとかがやってるアクションペイントかもしれないし。だから、みんな日常生活の中で、見たものとか感じたものに関して、アートを感じるみたいなことは日々行われていることで。だからSNS世代のリアルな日常を営んでいる僕らはたまたま音楽ができたので、それをうまいこと芸術作品に仕上げて、パッケージングして、みんなに共感してもらえるツールとして、発信できてるっていうことなんです。それにはやっぱり、みんなもそれに乗っかってきてほしいなと思ってますね。

——今回、ニール・クラッグさんは皆さんで決められたんですか?

杉本 いや、うちの社長ですね。僕らがどうしてもって言って。

近越(〈Rallye Label〉代表) メンバーから聞いて、初めて知ってコンタクトをとりました。

—やりとりの間で何か印象的だったやりとりとかってありますか?

近越 割と淡々とはしてたんですけど、向こうがバンドをイメージしていくつか写真を提案してくれて、その中から選ばしてもらいました。

杉本 すごいですよね。さっき話に出てたんですけど、結局、僕らが伝えたいことって、良さだけだとか悪さだけじゃなくて、良さも悪さもどっちも同居している事実が、ちゃんと世の中に発信されて欲しいし、そういう意味でも自然っていうのは美しい部分だけじゃなくって、恐ろしい部分もちゃんとそこには存在していて。それをこの荒々しい大自然に手を加えてフィルターをかけることで、ちょっと美しいものとして世の中に送り出す。そういう皮肉めいたパッケージングは僕らのコンセプトにすごく合ってたんです。

伊原 俺はこれを見ると自然の愛も感じる。DATSって愛がすごく大事だと思っていて。人に対しての愛だったり、関わる人すべてに対しての愛とか。自然にも絶対に愛はあると思うし、さっき言ってた脅威でももちろんあるし。自然には色んなことが詰まっていて、僕たちにぴったりのジャケットかなぁって思います。

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