3月7日(土)から3月29日(日)にかけて開催中のアートイベント<Pureism国際展 阿佐ヶ谷アートストリート2015>の会期中、TAV GALLERYにて展開されているD[diː](ディー)の個展<The Pretty ASCENSION “S”>。

今回テーマとして掲げられている「ASCENSION(アセンション)」とは、“キリスト教ではキリストの昇天、または天国へ行くこと、ニューエイジ用語では惑星地球の次元上昇”を意味するワード。

展示されている作品は、前回の個展<Harmony/my melody , your melody(ハーモニー/私とあなたのための旋律)>」に続き草花をメインモチーフとし、ガラスや蜜蝋などを用いた独自のハーモニックペイントで描かれたもの。“嫌厭されがちなオカルティックな題材を、一見pretty化することで、「Let’s アセンション!」なトリガーとならないかなぁ、という想いをこめて”とD[diː]本人によるステイトメントにもあるように、ただひたすら美しいと感じさせる表層的なきらめきや透明感の奥に、スピリチュアル性(うさん臭さ、とも言う)とチクリと刺さるようなリアリズムとが混在する、見る角度によって印象が異なる多面性を秘めている。

なお、オープンに先駆けて行なわれたレセプションパーティは、同イベント出展者をはじめ数多くの来賓でにぎわうなか、アイリッシュハープ奏者・矢野あいみによる弾き語りやD[diː]と“ドコデモナイ大学教授”(上住真司/adums.Inc)による「アセンション講座」など、より作品テーマに近づくためのコンテンツが盛り込まれたものとなった。

D[diː]が語る、個展<The Pretty ASCENSION “S”>の俗説と“皮肉” interview150313_di_re

今回は、「The Pretty ASCENSION “S”」という、ひとすじ縄ではいかないテーマにまつわる俗説の数々とコンセプトに見え隠れする“皮肉”についてD[diː]に語ってもらった。

Interview:D[diː]

――まず、今回のテーマ「The Pretty ASCENSION “S”」についてお伺いします。“ASCENSION”という単語自体、あまり聞き慣れたものではないですが、これはどういったものなのでしょう?

少し前から、スピ界隈では、ずいぶん常識語になってるらしいですが、一言で言ってしまえば、「解脱」とか「ニルヴァーナ」とか修行している人が到達する世界みたいなものです。ただ、愛情に満ちあふれている人間じゃないとアセンション出来ないそうで。俺が! 俺が! な自己顕示欲の強い人は死んじゃうらしいです(笑)。ソースはwikipediaですけど(笑)。

――極端ですね(笑)。

0か100か(笑)。でもそれって、究極の平和であり、目指すべき理想世界とも言えるなっておもって。愛情に満ちあふれた人しか生き残れないわけだから。それで、あるとき「2012年から地球全体が“アセンション期”というものに入っている」っていう話を耳にして。そこからいろいろと掘り下げて調べてみたら、ノアの箱船で知られている、あの洪水が起こる前に栄えていたといわれる超古代文明が関係していたり、洪水以前はネフィリムという巨人の火星人と地球人のハーフがいたり、神とよばれていたのは実は宇宙人で、とんでもない高度な文明と技術をもっていたとか……、そういうウソか本当かわからないような話がたくさん出てきて。たとえば、ピラミッドを作るにしてもよくある再現映像のように奴隷が石をせっせと運んだんじゃなくて、実は半重力を使って石そのものを浮かせていたので作業はかなり楽だったとか、ブラジルの地下世界にはアバターみたいな肌の青い巨人の地底人がいるとか。

――イマジネーションをかき立てる要素がたくさんあったんですね。

そう。いるかいないかわからない感じとかって、ワクワクするじゃないですか。SFとしてもすごくおもしろいなって。ネフィリムの骨の発掘画像写真は、コラだと言われてますけど、100枚に一枚くらい本物が混じってるんじゃないか! って思ったら、もうサンタさん信じる子供みたいに、楽しくなってきちゃって。ちなみにモチーフにしている草花は、人間がいなくなった世界に一気に植物が蔓延した世界っていうイメージです。氷の代わりに草花で世界が固まったような、人間がいなくなった世界。

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