——『FREE YOUR MIND EP』は打ち込みも変則的で、バンドらしさを感じました。3曲目の“BAD GIRL feat. LOBSTER & CAT”はほぼ生演奏に近く、ギターも特徴的で、バンドサウンドも意識されている印象も受けました。

DJ MAAR ギターに歌も入っていて、ブレイクビーツとラップ。自分としてはループしているんだけど、実はループしていない感じが好きですね。

——打ち込み方が変則になるだけではなく、小節が終わる時に打ち込みはドラマーが実際にはたいているような感覚といいますか……デジタル色も強いんですけど、バンドでいうとリズム隊。この部分が生っぽくて、大切に音を作りこんでいるように感じました。

DJ MAAR あれは曲の進行に合わせて打ち込みを抜いたり、わざとやっているんですよ。2曲目の“FREE YOUR MIND”も、曲や音の瞬間に対して、バランス感をとって、打ち込みを抜いたり入れたりしているから、ランダムっぽく聴こえると思います。

ShigeoJD 1曲目の“DANCE LOW feat. FRANKO,YULIA & JON-E”は、通常の1サビが終わった時に、2サビからいきなりドラマーが入ってくるけど、そこまではブレイクビーツで引っ張っているんですよね。いきなり生のドラムが勢いで運ばれてくるんだけど、サビが始まる前に居なくなっていく。そこのために生でドラムをたたいて音源を作って、そこに置いているんです。

——Shigeoさんが1サビ、2サビと言いましたが、クラブミュージックだと、4つ打ちの何小節目と表現する方が多いと思いますが、ダンスミュージックだけどバンド形式で曲は進行されていく感じですね。

DJ MAAR バーストフック的な感じ。1曲目、3曲目はリズムを作ってもらったものを僕が編集をしていく。例えば歌とか、その時のメロディに合わせて打ち込みを抜いていく。単なるコピー&ペーストにはしたくないんですよね。

ShigeoJD 自分たちが今後ライブをするっていうことを、しっかりと考えた音の入れ方をしているんです。その前に作っていた音源より圧倒的に違うのは、「じゃあ俺はギター弾いて歌うよ。」という感じになっていて、さらにMAAR君はシーケンスもキーボードもあるし、エレドラでドラムが入っていたり、バンドの構成みたいなのができています。もうこのスタイルでライブをやりたいねって。音で伝えているようなものですね。

——今回の『FREE YOUR MIND EP』で発表された楽曲は、現場を見据えたということもコンセプトになっているということですか? 

DJ MAAR コンセプトというか、大きなステージにも対応したものにしたいと思っています。

ShigeoJD MAAR君はDEXを2ピースバンドって面白いコンセプトだと思ったみたいにFAKE EYES PRODUCTIONは新しい形態の“バンド”提案じゃないかなって。それはメンバーの人数じゃなくて、DJやダンスミュージックという要素が入りながらも、全部を調和してライブができる楽曲ということ。DJ MAARとShigeo JDが新しいことをやっていることに興味を持ってくれる人たちにも、僕たちのことをまったく知らない人たちにも、曲を聴いて、見て、いいなって思う人たちに知ってほしい。機能できそうなフィールド全方向に向けてやろうというのも、コンセプトとしてはありますね。

——『FREE YOUR MIND EP』、そして楽曲たちに込められた想いを教えてください。

DJ MAAR やっぱり面白いことをやっていたいな。っていう想いですかね。好みはあると思うんですけど、リミックスも含めて全部想い入れはありますよ。SEKITOVAとTAARの、若い世代のリミックスもすごく評判いいですし。

ShigeoJD MAAR君には、『FREE YOUR MIND EP』にしてくれない? ってお願いしたんですけど、“FREE YOUR MIND”はFAKE EYES PRODUCTIONが、どういう形なのかと聞かれた時に、「こういう形です。」って、一番わかりやすく伝えられるように凝縮したのが“FREE YOUR MIND”。“BAD GIRL”に関しては、僕もMAAR君も好きで、結構温めていた曲ですけど、歌っているのは僕じゃなくて、N.Yのリチャード・スピッツァー(LOVESKILLS)という昔から仲良くしているシンガー。彼と一緒にLOBSTER & CATというユニットをやろうって話していたんですけど、数曲作って2年くらい頓挫していたんです。それをここで引っ張り出してきて、共作しました。“BAD GIRL”に関しては、N.YのRichard Spitzerとコラボしたということをお伝えしておきたいのと、僕が歌っていると思っている人もいるかもしれないので、この声は僕じゃないということも今、先にお伝えてしておきます(笑)!

——“BAD GIRL feat. LOBSTER & CAT”のリミックスには、SEKITOVAさんTAARさんと若手の実力派が参加されていますが、どのような経緯でリミックスの参加に至ったのでしょうか? 

DJ MAAR 弟(DJ TAAR)が“BAD GIRL”を聴いて、リミックスをやりたいって言ってきたから振ったんですけど、TAARが SEKITOVAとやりたいと言ってきたので、ふたりともいいんじゃないかなって。

ShigeoJD TAARもSEKITOVA君も交流もあるし、交流がある信用できる人にやってもらいたいなって思ってたからよかったですよね。

——ShigeoさんとMAARさんはどんな風に楽曲制作をしているのか、ふたりのスタジオワークの雰囲気も気になります! 

ShigeoJD いろいろありますね(笑)。

DJ MAAR ストロングスタイル、ドルフィンスタイル、テキスタイルっていうのがあります(笑)。ドルフィンスタイルはふたりのデータを投げ合って泳がす。ストロングスタイルは、その場でガチンコでやった挙句、Shigeo君が「後はやっておいて!」って言うんです。

ShegeoJD 俗にいうパワープレイ。僕がダーッと作って、出て行く。後でMAAR君がすごくきれいにしておいてくれるんです(笑)。

DJ MAAR テキスタイルは、Shigeo君が主にやります。

——名前までついているんですね(笑)。今回のEPにも、この独自のスタイルが反映されている部分はありますか?

DJ MAAR ドルフィンスタイルは“DANCE LOW”。投げ合えたし、バランスがいいですよ。

ShigeoJD “FREE YOUR MIND”はテキスタイル。

DJ MAAR “BAD GIRL”がストロングスタイル。後はシャドースタイルもありますよ(笑)!

ShigeoJD MAAR君は格闘技やっているから、僕がシーケンス組んでいる時に、後ろでシャドーしているんです(笑)。

DJ MAAR まぁ、今思い出してみたら、こんな話していたなっていうだけですけどね(笑)。

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