Interview:Grace

【インタビュー】アデル、エイミー・ワインハウスと比較される才能。クインシー・ジョーンズも絶賛する歌姫グレイスの魅力とは? interview161024_grace_1-700x984

——まずは、音楽を始めたきっかけを教えてください。また、いつぐらいから、どのような感じで曲を書き始めましたか?

音楽を始めたのがいつだったのか、あまり覚えてないわ。すごく小さな頃から、歌ったり、曲を書いたりして人を楽しませるのが好きだったの。オリジナル曲を書き始めたのは10歳か11歳のときね。自分の中に伝えたいことがあって。それを言葉にして表現するのに、音楽が私にとって最適だったと思うわ。

——デビューアルバム『FMA』を制作するにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

テーマ、コンセプトは特に考えていなかったと思う。いろいろな要素を、自分の好きな音楽に取り入れた正直なものを作りたかっただけ。

だから、今まで自分が体験してきたことや、それに近いことを歌ったの。その方が、他の人たちにも共感してもらえるだろうと思ったの。私がやるべきことは……人の心に触れ、願わくは感動を与えられる音楽を作ることよ。

——タイトル『FMA』に込めた意味合い、気持ちを教えてください。

『FMA』は「Forgive My Attitude(こんな私でごめんなさいね)」という意味よ。3文字の略語を使いたかったの。だって目立つし堂々とした感じでしょ。でも、それ以上に思っていたのは、私自身の心と音楽に訴えかけてくる言葉をタイトルにしたいってこと。

自分は人と少し違うって、いつも感じていたわ。でも……それはとても素敵なことでもあると思うの。みんなが己のアイデンティティーや選択の自由を持っていて、恐れずに自分の信念を貫き通すということは、本当に素晴らしいことだわ。自分自身に弁解しないってことが「FMA」ということね。

——“You Don’t Own Me”についてお伺いします。この曲は1963年のレスリー・ゴアによる大ヒット曲のカバーですが、この曲をカバーすることになった経緯を教えてください。また、G-Eazyをフィーチャリングしていますが、その経緯や一緒に仕事をした感想も教えてください。

“You Don’t Own Me”は、なんといってもクインシー・ジョーンズのおかげね。元々は彼が1963年にレスリー・ゴアと一緒にやった曲だけど、私の歌声を聴いた彼がこの曲にぴったりだと言ってくれたの。

その瞬間、胸がわくわくしたわ。でもそれは彼みたいなレジェンドと手を組めるってことだけじゃなくて、この曲のメッセージとトーンがすごくパワフルで、これこそ若者が聴くべき曲って思ったからね。

G-Eazyとはアトランタのスタジオで会ったの。この歌のレコーディングを始めて2、3ヶ月経った頃よ。彼と組んでいたプロデューサーが、私とも一緒に仕事をしていたの。“You Don’t Own Me”のカバーの制作にも関わってくれた人よ。

私はGのファンだったから、セッションに無理やり押しかけたようなものよ。Gに曲を聴かせたら、とても気に入ってくれて、ヴァースをやりたいって言ってくれたの。すごく自然にうまくいった感じね。

——クインシー・ジョーンズとのセッションの感想を教えてください。驚いたこと、意外だったことなども是非、伺いたいです。

クインシーと一緒に仕事ができるなんて本当に信じられないことだわ! はっきり言って、彼は私にとって史上最高のプロデューサーだし、一緒に仕事をして、その知識の一部を吸収する機会を得られるなんて、忘れられない出来事ね。

彼は、間違いなく完璧主義者だから上手くできるまでは、少し時間がかかったけど、彼からものすごく多くのことを学んだわ。特に、まずは曲から始めるってことを学んだわ。素晴らしい楽曲がすべてだってことよ。

Grace – You Don’t Own Me ft. G-Eazy

——“Church On Sunday”は教会に行くのを言い訳に男の子を振る、というユニークな曲ですが、どんな体験をインスピレーションに誕生しましたか?

男の子ってイヤなヤツもいるわ。そんなのにつかまって、遊ばれたりしちゃうことってあるわよね。でも女の子だって同じ! 誰もが残酷になり得るの。教会が意味するところはそういうことね。

男の子を弄んでちょっと後悔したら、“Church On Sunday”の歌詞を思い出して。もとはすごく男性的なコンセプトだけど、それをひっくり返して女の子の視点で語る、というアイデアが気に入っているわ。

Grace – Church On Sunday (Audio)

——元々、母親の影響でレトロなソウル・サウンドを聴いていたそうですが、その魅力を教えてください。また、若いグレイスならではの現代的な感覚を付け加えようと意識していましたか?

私たちは、みんな自分自身を取り巻く環境の副産物だと思う。私のママはモータウンやソウルが大好きなの。私が幼い頃には、アリサ・フランクリンやエタ・ジェイムズ、グラディス・ナイト、シャーリー・バッシーなんかの曲をいつも聴いていたわね。

だから私も自然と影響を受けて好きになって、完全にはまってしまったの。信念を持って歌い、いろいろな感情を喚起させるソウルシンガーたちの歌い方にはいつも魅了されていたわ。ライティングやパフォーマンスに限らず、常にそれを見習おうと思っているわ。

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