――メンバー各人の音楽の趣味がバラバラだと聞きました。その中でも何か共通とキーワードは何かあるのでしょうか??

テイラー:ライアンはいつも60年代の音楽にハマってて、僕とケルシーが今作を作る時にちょうどレナード・コーエンとかボブ・ディランといった60年代の音楽にどっぷりハマったもんだから、ライアンはちょっとした勝利を味わったんじゃないかな(笑)。あとはポール・サイモンとか、60年代のその辺の音楽に関してはメンバー全員に共通して言えるんじゃないかな。

ライアン:僕らはいつもハマっている音楽をシェアするのが好きなんだ。僕は良く見つけてきた音楽を皆にみせるのが好きなんだ。最近だとザ・ホラーズの『スカイング』とか、あとはザ・クラッシュの『サンディニスタ!』とか、とにかく新しい古い問わず良いのを見つけたらシェアするんだ。さすがに百発百中するわけではないけど、好きなものに関しては同じページにいるのは分かるよね。

――あなた達だけでなく、フリート・フォクシーズ、ザ・シンズ、グリズリー・ベアなどUSインディーのバンドはみんな美しいコーラスワークを楽曲に取り入れてますが、必ず引き合いに出されるのがビーチ・ボーイズの名前です。実際、ローカル・ネイティヴスの音楽性に彼らはどのぐらい影響を与えていますか?

ライアン:ビーチ・ボーイズ以外にもゾンビーズ、バーズ、クロスビー・スティルス・ナッシュとかがかいた時代の音楽には初期から相当影響受けているね。ユニークなハーモニーもあったりして奥深かったりし、もともとリスナーとしても大好きだったっていうのもあるかな。

テイラー:あとケルシーとライアンと僕は10年位前から一緒に歌を歌ったり、演奏したりしてきてたし、子供の頃からそれが当たり前でもあったから、こういう風に一緒に歌う形になるのも凄く自然な事だったんだ。

――昨晩もトーキング・ヘッズのカヴァー(“Warning Sign”)を披露していましたが、あなた達が2年前にやったNYのBowery Ballroom公演をデヴィッド・バーンが見に来てくれたこともあるんですよね? 彼はセイント・ヴィンセントやダーティー・プロジェクターズをはじめインディーのアーティストたちとも積極的にコラボしていますけど、ローカル・ネイティヴスとのコラボ予定は無いのですか??

ライアン:僕はプランしてるよ、彼がしているか分からないけど(笑)。でも一緒に何かやれたら最高だよね。彼はとにかく旬の音楽にもアンテナを張ってるし、僕らのショーを観に来てくれた時も自転車でフラッと来てくれたみたいな感じだったね(笑)。本当に興奮したよ。一人で全部観てくれてたみたいだったし、終わった後に話しかけてくれて、とにかく素晴らしい人だったよ。

世界旋風を巻き起こす中で直面した喜びと悲しみ。待望の新作発売控え「治癒」を経たローカル・ネイティヴスにインタビューを敢行!! music130122_local-natives_jk-e1358832807840

――色々なジャンルやシーンが細分化、リンクする事で音楽性が多様化しているかと思います。アーティストとして表現していく上での「個性」とはどういったことが言えると思いますか?

テイラー:自分のアイデンティティーを確立させることだけじゃないかな。皆には僕らは出て来てからすでに自分達の音楽を作れていたように見えるかもしれないけど、さっきも言ったように僕らは子供頃からずっと一緒に曲を作り続けてきて、一緒に歌ってきたから、その延長線上に僕らのアイデンティティーが確立されていったんだ。ジャンルとか使う機材とかそういうレベルじゃなくて端的に言うならどういうソングライティングをするかに出るんじゃないかな。

ライアン:心とか情熱とかその瞬間に素直に向き合って、注がれたものっていうのはやっぱり伝わると思うんだ。その感情を感じ取れるというか。そういったそれぞれの感情をいかに出すかっていうところじゃないかな。

――感情を出すという点では前作よりダイレクトに感じ取れる歌詞が本作では多数あります。歌詞を書くにあたって感情を吐き出す作業というのに苦労されたのではないでしょうか?

テイラー:歌詞を書くっていうプロセスは最も難しい部分でもあるんだよ。曲を作るときに何か描きたいものが分かり始めても、言葉にした時に、言葉っていうのはとても直接的で個人的なものでいて非常に重要だから、フィットする言葉を紡いでいくのがとても難しくて。今作では僕らと曲自体の距離を縮めていくのがとても重要だったんだ。だからとても苦労するポイントだよ。

ライアン:言葉をぼやかしたり、装飾したりするのは意外に簡単な時があるんだけど、今作に関してはそういうのじゃなくて、あるがままに表現しようってなったんだ。だから今までにない位ダイレクトだね。

――アルバム名『ハミングバード』はどこから由来されたものなのでしょうか?

テイラー:曲の歌詞から来てるんだけど、個人的な話が色々あって、その話しになると本当に霧がなくなっちゃうから、それは割愛するけど、今作を制作するにあたっての2年間は本当に二元的な事がたくさんあったんだ。ハミングバードの飛び回るような熱狂的な感情と空中で静止しているときのような静かな感情がアルバムにピッタリに感じたんだ。それはこの2年の間に感じた広がるような多幸感と、圧迫してくるような寂寥感と、っていう風な二元的な気持ちにもフィットしてたんだ。

――なるほど。ところで活動拠点としてずっとシルバー・レイクに場所を置かれてますが、そちらにはどういったインスピレーションがあるのでしょうか?

テイラー:出身自体はカルフォルニア南部なんだけど、シルバー・レイクには好きなリハーサル・スタジオがあるからずっと拠点にしてるんだけど、街を歩いているだけで映画監督やフォトグラファー、デザイナーとか色々なクリエイターに出会えるんだ。ミュージシャンもたくさんいるし、本当に刺激的な場所だよ。

――今後の予定をお聞かせください!

テイラー:ツアーはたくさんあるよ! でも日本にまたいつ来れるかは今はまだ分からないんだ。それが<フジロック>か<サマーソニック>か分からないけど、日本はスタッフも観客も本当に最高な人達ばかりだから夏にはまた来たいと思ってるよ!

ライアン:そうだね。

――あとあなたの夢も教えてください!

テイラー:僕の夢は、いくところに必ずスシ・レストランがあるようになっている事だね。リトル・トウキョウみたいな街があって、そこのスシ・レストランには良く通ってるんだよ。それ位大好きだから、どこ行っても食べれたら最高だよね。

ライアン:そうだな、水中で息できるようになるか、空を飛べるようになるかだね。水中は多分サメとか怖いから無理かもね。空を飛べるようになることだね! ま昨日寝てる時にみた夢なんだけど(笑)。

テイラー:それはいいね。水陸両生のになれたら最高だね!

―――ありがとうございました!

質問作成/Kohei Ueno
インタビュー/Ken Suzuki
文/Yuuka Abe

Release Information

2013.01.23 on sale!
Artist:Local Natives(ローカル・ネイティヴス)
Title:Hummingbird(ハミングバード)
Infectious/Hostess
¥2,490(tax incl.)

Track List
01.You & I
02.Heavy Feet
03.Ceilings
04.Black Spot
05.Breakers
06.Three Months
07.Black Balloons
08.Wooly Mammoth
09.Mt. Washington
10.Colombia
11.Bowery
(日本盤ボーナストラック)
12. Palms
13. 11:11
14. Ingrid
15. Breakers(J£ZUS MILLION Remix)

※日本盤先行発売、ボーナストラック、歌詞対訳、ライナーノーツ 付予定