mysoundイチ押しのアーティストにテーマに合わせた楽曲をピックアップしてもらい、その曲にまつわるエピソードから本質を掘り下げていくプレイリスト企画。今回は初のフルアルバムをリリースした現役大学生からなる5人組、Luby Sparksの登場です。

これまでYuckやThe Pains Of Being Pure At Heartら、海外バンドの来日公演に出演したり、昨年夏にはUKダービシャーでの<Indietracks Festival2017>に日本のバンドとして唯一出演。その特徴は00〜10年代の海外インディーだけでなく、My Bloody Valentineやslowdive直系の90sシューゲイズ・サウンドや、その時代の我が道を行くバンド達の気骨に通じる色褪せないオリジナルを創出しているところでしょう。テーマに「寒い夜に聴きたくなる曲」を掲げたプレイリストを通して、彼らの志向やルーツを探ります。

Interview:Luby Sparks

話題の現役大学生バンド・Luby Sparks。海外のインディーポップ/シューゲイザーを受け継ぐ20代がセレクトした「寒い夜に聴きたくなる音楽」とは? interview180207_lubysparks_01-700x464
L→R:Tamio(Gt)、Emilly(Vo)、Sunao(Gt)、Natsuki(Ba/Vo)、Shin(Dr)

Natsuki“その場で聴いて買ってくれるのは洋楽コーナーの方が多いんです”

——まず今の音楽性のもとになっている音楽があればをお聞きしたいのですが。

Natsuki(Ba/Vo) 80年代後半から90年代ぐらいのギターポップとか、アメリカのオルタナティヴロック、あと、日本だとスーパーカーの影響を受けていて。他にも2010年代のインディーとかもみんなよく聴くので、そういう音楽から影響を受けて作っていますね。

——皆さん、まだ20代前半ですが、80年代後半から90年代のシューゲイザー・サウンドは何が魅力だったんですか?

Tamio(Gt) 普通にそれまで聴いていた音楽と違う世界みたいな感じがして、それがすごい魅力的だったところが大きいですね。単純に音が違うし、僕の中で革命が起こった感じでした。

Natsuki もちろん、誰もリアルタイムでは通ってないんだけど、彼は(Tamio)一人だけ新潟出身で、すでに中学生ぐらいから地元の……。

Tamio 図書館に『シューゲイザー・ディスクガイド』があって、それを読み漁ってっていうとても暗い青春を過ごしていました。確か高校1年生の時に先生に嘘ついて、東京までMy Bloody Valentineのライブを見に行きました(笑)。

——すごい(笑)。昔なら親の世代がやってたことはやらないみたいな感じがあったと思うんですけど、皆さんはいいものはやるみたいなアティチュード?

Natsuki むしろそういう時代の音楽にちゃんとリスペクトを払って、いい部分を吸収してみたいな感じでやって行くのがいいと思うんです。なので今回のアルバムも全然、今の流行とかは気にせず作りましたね。

——ちなみに今回のプレイリストのテーマを設定されたのは?

Natsuki 僕が考えました。寒い夜、じゃないですか?今(笑)。あと、冬に聴きたくなる音楽の方が自分自身好きなのかなと思って。

——では具体的にお聞きして行きます。まず、Natsukiさんの1曲目、「Girlpoool」。

Natsuki 去年リリースされた中でよかったアルバム(『Powerplant』)の一つで、その中の1曲です。自分が最近そうなんですけど、寒い夜、全然眠れないんで(笑)、タイトル的にもぴったりだなと。このアルバムは全体を通してギターの音とか、だいぶ今っぽくないんですね。今までもっとガーリーでポップな感じだったんですけど、急に去年のこのアルバムはオルタナ色が強くて暗いんです。

Girlpool – “Sleepless”

——続いてJulee Cruise。『ツイン・ピークス』を思い出す人も多そう。

Natsuki 去年、レコーディングでイギリスに行った時に、みんなで『ツイン・ピークス』をNetflix向こうの友達の家で見て、その時にジュリー・クルーズがバーで“The Nightingale”を歌うシーンがあって、古い曲なのに新しく聴こえたんです。その曲はカバーしてコンピ(「RHYMING SLAG COVERS」)にも参加したんですが、これはまた別の曲で。ふわっとしたボーカルと、ジャジーなリズムのピアノとドラムが絶妙ですごく心地いい。ノイジーじゃない女性ボーカル版のThe Jesus and Mary Chainみたいでかなり衝撃を受けましたね。

Julee Cruise – “Movin’ In On You”

——EmillyさんはDaft Punkの中でも彼らのイメージからは少し異色な曲です。

Emilly(Vo) もともとThe Strokesがすごく好きなのでこの曲を知ったんです。寒い夜って、どうしても切なくて暗い曲を選んじゃうんですけど、この曲は途中でちょっとエモーショナルな感じのギターソロがあって、そこが個人的に好きですね。冬の夜って突然、感情的になる瞬間とかもあるので、この曲は寒い夜っぽいなと思って選びました。

Daft Punk feat. Julian Casablancas – “Instant Crush”

——そしてもう1曲のBeach Houseは?

Emilly 初めて聴いた時に「暗っ!」って思ったんですけど、何回か聴いてるうちに中毒性が増して来て。イントロの感じが雪が降りそうな感じがあるし、ベースとボーカルが入る瞬間が鳥肌立つというか。2曲とも単調なんだけど途中でエモーショナルなところがあるのが、寒い夜というイメージです。

Beach House – “Myth”

——そしてShinさん。割と意表を突いた選曲ですね。

Shin(Dr) そんなに思い入れがあるというわけではないんですけど、すごいいい曲だし、寂しくなるところも寒い夜に合ってるかなと。大学入る時に、試しに音楽をやってみようかなと思いまして、ジャズのサークルに入ったんですけど、全然知らないのでいわゆる有名なところを一通り聴いた時に知った曲です。

Bill Evans – “Waltz for Debby”

ギターのTamio、Sunaoが選ぶ、「寒い夜に聴きたくなる曲」は?

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text&interview by 石角 友香
Photo by nakamura shintaro