よいよ、3年ぶりのジャパン・ツアーを行うMGMT。08年の<サマーソニック>で初めて日本の地を踏んで以来、単独ツアーや<フジロック・フェスティバル>などでコンスタントに来日していた彼らだが、今回はセルフ・タイトルの最新3rdアルバム『MGMT』(13年)を引っさげての超・待望のカムバックとなる。その間、日本には3.11が起こり、音楽…もといエンターテインメントのあり方が変わったわけだが、MGMTも変わっていた。

彼らのライヴといえば、アルバム同様にいつも賛否両論。もともとが宅録ユニットだったこともあり、その時のメンバー間の雰囲気やバンドのコンディション次第で、あからさまにパフォーマンスのキレが違うことも少なくなかった。特に、“Kids”にまつわるエピソードは有名だろう。オーディエンスから100%求められてしまうあのアンセムを、アンドリュー&ベンがグダグダのカラオケ状態で歌い踊る光景はあまりにも異質で、「じゃあやらなきゃいいのに」なんて批判も飛び交ったものだ。その構図はレディオヘッドにおける“Creep”との関係性に喩えられたりもしたが、どうやらMGMTは、自らのインナーワールドを解放することで活路を見出した様子。基本的にアンドリュー&ベンの2人だけで作り上げられた『MGMT』の楽曲を、気心の知れたバンド・メンバー達と毎晩のようにステージ上でジャムりながら、進化・発展させているようなのだ。そこにはもちろん1stアルバム『オラキュラー・スペクタキュラー』(07年)のナンバーも、2nd『コングラチュレイションズ』(10年)のナンバーも含まれており、なんと、“Kids”までもがバンド・アレンジで再構築されているのだという。オフィシャル・サイトのイベント・ページにはツアー・バスのアートも描かれているが、間違いなく現在のMGMTは、いちバンドとして過去最高のコンディションに仕上がっている。夏のツアー再開までの一区切りとなる日本公演最終日、東京・スタジオコーストは興奮の坩堝となるだろう。

2010年の“Kids”ライブ。再構築された来日公演での演奏も楽しみだ!

すでにアナウンスのあった通り、新作『Fetch』(13年)が世界中のベスト・メタル・アルバムにランクインしまくっている我が国の至宝=MELT-BANANAが、東名阪3公演すべてのオープニング・アクトを務める。サイケデリックなVJも導入し、名古屋公演においては“Your Life is a Lie”の演奏時にステージで巨大カウベルを叩ける(!)というビックリな共演企画まで用意されているようだ。12月17日に31歳の誕生日を迎えたばかりのベン・ゴールドワッサーをキャッチし、アルバムのことやライヴのこと、そして気になる日本のことを聞いてみました。

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