自分たちの好きな時代感やサウンドを用い、今のロックキッズや音楽好きに新しく思って欲しい

ーーギターに関しても、今まで以上に弾きまくっている曲もあれば、印象的なリフレインやループの曲もあったりで、聴きどころ満載です。

Kikuchi 当の本人はかなり大変でしたけど(笑)。自分的に今作は、より趣味と近くなったかなって。おかげさまで過去最高に自分でも繰り返し聴いています。まっ、それも歌が入っているところが大きいんでしょうが。あと、レコーディングが凄く厳しくて。

ーーそれは、どの辺りが?

Kikuchi 期間が凄く詰まっていたんです。製作期間が短いと、どうしても似たようなギターになりがちで。それらとは違うことをやろう、これまで出してないテイストを出そうと意識して弾いた結果、自分で自分の首を絞める追い込み方をしちゃったんです。しかも楽曲のアレンジにも枠があって。その枠の中で最大限に自分を出さなくちゃいけない、そんな制限につぶされそうでした。その葛藤やジレンマを抜けた解放的な部分が、今回はよりエモいギターとして各所で現れているかなと。

ーー私はてっきり今作のバラエティさは、前作からのこの2年間で作り溜めていたものの集大成だからなんだろうと思ってました。

George 逆です(笑)。全然制作時間がなくて。これまでずっとライブをやってきてたんで、新曲を作るヒマもなかったし。なので、実質のレコーディング期間は2カ月ぐらいで。1曲作ったら、その真逆なタイプの曲を、1曲作ったらその真逆なタイプの曲をと、作り進めていきました。

ーーでは最初に、今作のビジョン等は?

George 全くなかったですね(笑)。どころか、アルバムのトータル性やコンセプト、流れや曲順のイメージや理想もなくて。

ーーそれでよくこんなに練られた作品が……。ところで今作は各曲非常に短い印象を受けました。

George 狙いです。今の時代って、結局、1曲づつ楽曲を手に入れる文化じゃないですか。こと、配信等は。合わせて人が音楽に向き合う時間もどんどん短くなってるし。1クリックで、「はい、違う!」「はい、これでもない」と次から次へと。その中で、“どうコンパクトに聴かせるか?”が、わりと肝で。なので本来、長いはずであろう楽曲も、あえて短く、短くしようと努めました。

ーーとは言え、そこに詰め込んでいる情報量の密度や濃度は半端ないです。

George わりとその辺りはダンスミュージックのマナーに立ち戻ってみたところがあって。ブロック毎に展開が徐々に変わり、気づくと違ったものに変化しているドラマづけ、それがダンスミュージックの面白さや気持ち良さですからね。そこをキチンと踏襲しつつ、よりポップ的趣向を強めていったんです。

ーーあとは、より往年のダンスミュージックのリバイバルさ満載で。そこかしこから90’sや80’sのダンスミュージックのテイストを感じます。

George その辺りはリバイバル感よりかも、むしろ自分たちの好きな時代感やサウンドで。それらを通し、今のロックキッズや音楽好きに新しく思って欲しかったんです。その思いは強いですね。

MOP of HEADが語る。新作とポピュラリティと音楽愛 interview150716_mopofhead04

MOP of HEAD – Satoshi

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