——正確には11年ですが、<NANO-MUGEN FES.>のシリーズ企画<NANO-MUGEN CIRCUIT>では再びASIAN KUNG-FU GENERATIONと共演しました。彼らとのかかわりあいの中で、何かインスピレーションを受けたことなどもありましたか?

Ozma – Domino Effect

マシュー 実は彼らと会う前に、昔から仲のいいオズマが先に<NANO-MUGEN FES.>のために来日していて、彼らから名前を聞いたりしていたんだ。でもそこから交流を深めていく中で、彼らの曲を聴いたり、ゴッチの書いた歌詞を読んだり、お互いにインタビューをするような企画をしていく中で、彼らならではのものの見方や社会的なアプローチをとても新鮮に思った。ゴッチのとてもパーソナルな言葉が、多くの人に共感できるものになるというね。一般的にポップ・ミュージックには、ユニバーサルなテーマを持ちつつもその中に気持ちを近づけるための個人的な要素やディテールが詰まっている。彼はそういうことが上手いんだと思う。そういう経験があったから、今回ゴッチのソロ活動用に曲を書いていく中でも、たぶん彼のセンスに自分を合わせていこうという風に、無意識的になっていたと思う。レコーディングはちょうど2日ほど前に終えたところなんだけど、元デス・キャブ・フォー・キューティーのクリス・ウォラがプロデュースをしていて、彼は僕らとも仲がいいし、全体的なレコーディングも順調に進んでいたよ。

——あなたの参加曲について、どんな雰囲気の曲か教えてもらうことはできますか?

マシュー 作品自体も色々聴かせてもらったんだけど、とてもよかったよ。曲もいいし、ギタリストもパワフルで独創的なフレーズを弾く。サウンドも、色んなパスティーシュが盛り込まれている。曖昧な感想で申し訳ないんだけど、音楽について言葉で語るのは、建築について踊るようなものだから、ごめん(笑)。あと、クリスって、普通の音をすごく特別なサウンドに変えるのが上手い人だよね。グロッケンシュピールを使っているところがあるんだけど、そこで彼は音色を決めるのに30分もかけていたよ。「何でそんなに時間をかけるんだろうな」って思っていたんだけど、最終的なサウンドを聴いたらすごくマジックのある音になっていて。つまり、「こだわるべきところでは徹底的にこだわる」ということで、その見極めが出来る人なんだろうな。自分の曲は、想像していたものとはいい意味で違う素敵な曲になったよ。

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photo by Bernie DeChant

——そして新作『ユー・ノウ・フー・ユー・アー』は、あなたの幼馴染で08年作『Lucky』などでもプロデューサーを務めたトム・ボージュールが所有するホーボーケンのスタジオで録音されています。今回彼を起用したのはなぜだったのですか。

マシュー トムとは本当に長い付き合いでね。僕は子供の頃エミリーというモルモットを買っていたんだけど、そのエミリーがマックスという子供を産んで、それを当時6歳のトムにあげたというエピソードもある(笑)。しかも母親同士が同じ大学で教えていたし、僕らは一緒に音楽雑誌『GUITAR WORLD』で働いて……。彼はそこに20年もいた。でも昔からレコーディングは好きなやつだったから、『Lucky』でもいくつかの曲に参加してもらったんだ。だから、彼としては長い間、また声を掛けてくるのを待っていたと思う。その後マイナー・アルプス(ジュリアナ・ハットフィールドとマシューとのユニット)でも演奏してくれたわけだけど、自分としては……彼がいいものを作れる状態になるまで待っていた部分があったんだ。本当に仲のいい親友だから、失敗するかもしれないような環境に持っていきたくなかった。でもマイナー・アルプスですごくいいい仕事をしていたから、今なら出来るんじゃないかと思ったんだ。

——アルバムの全体像について、何か考えていたことはありましたか?

マシュー いや、全然なかった。今何か考えて答えようと思ったんだけど……やっぱりないな(笑)。3分間の曲は自然に出来上がっていくものだから。自分の感じているムードに曲がついてきてくれるような感じだね。なるべく勇気をもって曲作りをして、光が見えたら、それを追っていくしかないっていうか。そんな感じだった。

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『ユー・ノウ・フー・ユー・アー』 ジャケット

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