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――ここからはTokyoDexについて伺えればと。以前、Jay Shogoさんにインタビューしたことがあってそれからも度々会うんですが、TokyoDexをとても信頼していると言っていました。

ありがとうございます。Jayさん(Jay Shogo)の作品を初めて見た時は、日本人で西洋のグラフィティのスタイルでやっているアーティストはほぼいなかったし、あとやっている規模を見たら「なんでこの人のことをみんな知らないの?」と衝撃を受けました。PONOSというゲーム会社から依頼を受けた時にすごく派手なものをロビーに作りたくて、そこでもJayさんに依頼しましたし、これまでいろんなプロジェクトでいっしょに仕事をしています。Jayさんはいろんなスタイルで描けるし、こだわりがあるけど順応性もある。自由に表現してくださいと依頼したらすごいアイディアにあふれてるし、一方でデザイナー寄りのこともできるんですよね。

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PONOS Office Mural Project

――オフィスアート自体、一昔前はそれほど日本で認知されていなかったと思うんですが。

そうですね、当時からそういうのをやりたいとは思っていたけど、日本にそのマーケットはありませんでした。そして今やっと、社会が追いついて来た感覚はあります。

――ダニエルさんが日本やアートに興味を持ったのはいつ頃からなんですか?

僕が通っていたペンシルベニア州立大学が関西外大と交換留学をしていたので、3年生の時に日本へ行きました。ただアメリカの大学でアートの単位があって、日本にいるタイミングで取らなければ卒業できなくて。墨絵と陶芸があったんですが、まあ粘土ならできるかな……と思って“ろくろ”を始めたらすごいハマって。大学を卒業したらすぐ日本に戻ったんですが、すぐアートの仕事を始めたわけではなく、翻訳ライターの仕事や、「鼓童」という太鼓芸能集団のスタッフとして世界中を回ったりしてました。

――いろいろな仕事をされてたんですね。

はい。ただ時間が経つにつれてアートへの想いが残っていることに気づいて、29歳の時にハワイ大学へ行って本格的にアートを学んで、そこからの紹介で大学院は多摩美術大学へ行きました。そして2006年頃に輪派絵師団という、アートの過程を早回しで見せる動画を作った先駆けのようなアーティスト集団に出会って。その時の経験から、アーティストとクライアントの橋渡し役が必要だと思ったんですよね。他の仕事もやりつつTokyoDexはスタートしました。

The Company Reel | TokyoDex in 90 Seconds

――TokyoDexの名前の由来は?

「何とかJapan」みたいなのはありふれてるけど、Tokyoというブランディングは必要だと思いました。Dexは英語で“Dexterous”という単語があって、器用とか多彩っていう意味なんです。会社の名前を決める時、友だちに「TokyoDexterousってどう?」って聞いたら、「長い長い、TokyoDexにしよう」って言われて、響きが良かったのでそれに決めました。まだ会社にしてなかったですけどそれが2011年で、そこから2年は個人で、会社としては5年です。

TokyoDex 5th Anniversary Video

――ダニエルさんが仕事において心掛けていることは何ですか?

僕は、提案はするけど「これをやりなさい」という言い方はしません。アートは厳しい環境の中では良いものが生まれてこないと思うんですよね。アーティストに余計なことを考えさせないというか、余計な心配をかけないことが大事なんじゃないかと思います。この間はIndeedという会社のオフィスアートをやったんですが、デザインが3ヵ月前に大きく変わって、オープンまで時間が無くなってしまったんです。ただそんな中でも事前にできる限りの打ち合わせをして、パズルみたいに当日までイメージを作っておいたら、かえってアーティストたちは楽しんでくれた。嫌な圧迫感はアーティストに感じてほしくはないですね。

Indeed Japan Azabu office

――ダニエルさん自身がアーティストとしての経験があるからこそ、その気持ちがわかる部分はあるんじゃないでしょうか。

そうだと思いたいですね。クライアントの企業はアートに関してわからない部分が多いし、かといってアーティストにブランディングを全部任せることはできない。両方の気持ちがわかる人間が必要になってくると思うんです。クライアントはこう言ってるけど、ここまでしたらアートが面白くなくなるとか、間に入ってしっかりコンセプトを考えていくのが大事ですね。

――間に立って交渉をするにあたって、難しい局面もあると思います。

ただせっかく会社や事務所にアートを取り入れるからには、一点ものでなければ意味が無いし、打ち合わせとかでも、アートに対する想いを熱入れて話すんですよ。TokyoDexの仕事を通して、社会のアートに対する価値観を少しずつ変えていければと思います。CBREさんとお仕事をさせていただいた時は、週末に作業して月曜に会社に来た社員の人がびっくりするみたいなこともありました。CBREさんは会社としてもフリーアドレスを導入するなど変わろうとしていて。オフィスアートというのは、社風を変える時のすごく効果的な方法だと思います。

CBRE’s Tokyo Office of the Future

――今後、TokyoDexとして取り組んでいきたいことはありますか?

オフィスアートの仕事の際に、クライアントの社員の方々といっしょにワークショップを行って、会社のビジョンなどをインプットしてデザインする――というのを最近始めました。ワークショップではキーワードを出してもらって、それを上手く描けなくてもいいからイラストにしてもらいます。そしてそのエレメントを持ち帰ってデザインすることで、より会社のビジョンにふさわしい壁画を制作できる。そういう会社でのクリエイティビティ改革には取り組んでいきたいですね。アートに触れることで、自分の仕事も別の角度から見られたり、新しいアイディアが浮かんだりすると思う。僕にとってのイノベーションは、そういう部分にあると考えています。

【インタビュー】ドイツ大使館からIndeedオフィスまで――アートでイノベーションを起こす「TokyoDex」とは? photo_09_sashikae-1200x801

interview&text by ラスカルNaNo.works
photo by Layla Shibukawa

ラスカル

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NaNo.works/編集者/メッセンジャー

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