「ここにきて、曲はバラエティなんだけど、一本筋が通ったところに至れた」(彦坂)

——今回、『Authentic』を作り上げていかがですか?

彦坂 シングルも出さずにいきなり一発目がアルバムですからね(笑)。非常にボリューミーな一枚になりました。

真田 特に「こんなアルバムを作ろう!」とのコンセプトも無く。未発表の25曲ぐらいのストック曲の中から、この10曲を選んだんです。

RAMMELLS「2way traffic」MUSIC VIDEO

RAMMELLS「CHERRY」MUSIC VIDEO

——ちなみにその選曲の基準は?

真田 入れたい曲を決めて、他はそこからのバランスでしたね。ウェットな曲を入れたり。ある意味、幅とバランスには非常に気を使いました。

——では、「これが俺たちだ!」というよりかは、「これもこれもこれも、全部で俺たちだ!!」といった感覚?

村山 ですね。自分たちの主観的な意見もですが、周りのスタッフ等の客観的な意見や見解等も参考にしながら選曲しましたから。

——逆に「このバンドは何がやりたいのか?」が見えにくくなる懸念等は考えず?

村山 考えませんでしたね。元から自分たち、「このバンド、何がやりたいんだ?」と訝しがられる存在だったんで(笑)。逆に、これだけ色々と出来ることを提示して、よりこの先も出来ることを示したくて。

——とは言え、これだけバラエティに富みながらも一本芯が通っているのが黒田さんの歌声と見受けました。

黒田 うわっ。嬉しいですけど、それは全く意識してなかったところで。自分としては上手くて器用なボーカリストではない自覚があるので、それが故かな? とも。

村山 僕は今おっしゃってくれたことをとても感じながら演ってます。あきちゃん(黒田)が歌えば、バックがどんなことをやっていてもまとまるし、まとめられる自信が出てきたというか。

真田 曲によってタイプが違いますからね、うちら。彦坂君からも加入前に、「このバンドの方向性が分からない」と指摘を受けてたし。その時に「何故一つのバンドが一種類の音楽性しか演っちゃダメなんだ!」との反発心も覚えて。それって凄く古いし、極めて日本人っぽい考え方だなと、当時は思ってましたから。

彦坂 それって今、さりげなく俺のことディスってない(笑)? でも正直、最初はそう思いながら叩いてましたよ(笑)。でも今は、曲はバラエティなんだけど、一本筋が通ったところは感じられます。

——正直、こうしてみなさんとお話しするまで、戦略的なものも含め、てっきりこのバンドは、計算されて作られたバンドに違いないと思ってました(笑)。

真田 あんま考えなかったから、ここまで来れた気はしてます。どちらかと言うと、やっていくうちに見えたり、固まったりしてきたバンドですからね、うちらは。

「今回のアルバムは、“けっこう生々しいRAMMELLS”になった」(黒田)

——今作はより一層ギターソロがガッチリと入ってますね。

真田 ギターソロを省いているこの時代、あえて最後の曲以外ほぼ全曲に入れてます。曲と歌詞に合うように、そこで最もカッコイイと思えるソロを目指し各曲弾きました。

——“HERO”は屋敷豪太さんのプロデュース曲ですね。

彦坂 最初に「一緒に出来る」との話を聞いた際は信じられませんでした。実際お会いしたら、大らかで寛大な方で。でも、人間としてのオーラは凄まじいものがあって。短いながらもとても充実したレコーディングでした。

——この曲は淡々としたドラマティックさも印象的でしたが、せっかく一緒にやるのだから、みなさんの音楽性的に屋敷さんの代名詞とも言えるグラウンドビートでも出てくることを期待してました(笑)。

彦坂 あえてステイしたところはあります。その中のカッコ良さを出そうと。ボーカルを立たせるのに徹底したところはあるかな。

黒田 逆にボーカルは自由に歌わせてもらいました。ダブらせてみたり、歪ませてみたり、かぶせてみたり……。かなり遊ばせてもらいましたね。

——タイトルの『Authentic』からも、このアルバムへの自信が伝わってきます。

黒田 Authenticって「正真正銘」や「本物」って意味なんですが、響きがいいのと、「これから本物を求めていけるように」との意味も含めつけました。今回のアルバムは、“けっこう生々しいRAMMELLS”になったので、この丸腰感も含め、「これがRAMMELLSです!!」がタイトルからも、作品内容からも伝わってくれると嬉しいです。

——今作の聴きどころを教えて下さい。

村山 作品の各所に出てくる陰と陽の同居でしょう。その辺りはジャケットにも表しています。

━━ジャケットはかなり抽象的な写真ですが、これは?

村山 雲ですね。それがオレンジ色になっているという。爆発をイメージしてみたんです。このバックの冷たいトーンと雲の暖色の融合や表裏一体感が自分たちの音楽性の特性にも似ているなって。

【インタビュー】RAMMELLSが鳴らすオルタナとフューチャーソウルの融合。『Authentic』で表現した陰と陽の心地よさ interview_rammells_1-700x694

——分かります。みなさんのソウルフルな熱さとオルタナやシューゲイズ的なひんやりさの同居みたいな……。

黒田 この1年作ってきた曲たちもまさにそんな感じでしたからね。凄くポジティブな曲が出来たり、逆にネガティブな曲が出来たり……。で、最終的に先の陰と陽や、強さと弱さが表れたアルバムになりましたから。

——最後に今後のRAMMELLSのビジョンを聞かせて下さい。

彦坂 ライブの回数を増やしていきたいのと、もっと大きなステージでも演れるバンドに早くなりたいです。あとは多くの方に聴いてもらいたい。

村山 「2年後の2019年には武道館に立つ」。これはこのバンドを結成して以来、目標としているところで。

真田 じゃあもう、今から(スケジュールを)押さえとこうよ(笑)。

彦坂 また、武道館をやったら、次の目標が出てくるんだろうね。

真田 そこもまた通過点でしかないですから。今回はこのような音楽性だけど、僕たちのことだから、また徐々に変わっていくでしょう。ドンドン新しいことに挑戦していきたいです。

RAMMELLS Debut Album「Authentic」トレーラー映像

RELEASE INFORMATION

Authentic

2017.12.06(水)
RAMMELLS
CRCP-40537
¥2,500(tax incl.)
[amazonjs asin=”B0761WDKF1″ locale=”JP” title=”Authentic”]
詳細はこちら

text & interview by 池田スカオ和宏