とにかく、ビデオにもっとスタントを取り入れたい

——次はMVについて聞かせてください。毎回コミカルなストーリーのMV作品を発表されてきたので、新作からの2本のMVはいつもとテイストが少し異なっていますよね。それぞれのMVについて何か印象的なエピソードやそのMVに込められているストーリーがあれば教えてください。

“Barbarian”のビデオを手がけたのは『トランスフォーマー』シリーズのコミックを描いている人なんだけど、俺たちの大ファンらしくて、ちょうど仕事の休みがあったからビデオを作ってくれることになったんだ。あくまでただのリリック・ビデオとして作ったんだけど、結果的に独自の人気を集めるビデオになったよ。だから、ストーリーは曲をそのままなぞっている。“Open Fire”のビデオはもっと曖昧な感じで、90年代のロック・ビデオっぽいものをイメージしているんだけど、曲に合っていると思う。ビデオを作ったのはサイモン・エメットっていう有名なファッション・フォトグラファーで、最近は映像もやっている。バンドの友人でもあって、なぜそんなことをするのか分からないけど、バンドのために無料でビデオを作ってくれるんだ。すごく感謝しているよ。そうでなければあんなに良いビデオを作る予算は出せないからさ!

——また、アニメーターとのコラボなど、今後ザ・ダークネスの活動で一緒にコラボレーションをしたいクリエイターやチャレンジしたいことはありますか?

次のビデオは何の曲にするかまだ決まっていないけど、『007 ダイヤモンドは永遠に』(71年)とデイヴィッド・ハッセルホフを掛け合わせたような感じにしたいな。車で積み重なった箱の中を走り抜けたり、フェンスを突き破ったりしている映像に、俺がカメラに向かって歌っている姿やその横からのショットが重なって映ったり、または画面の端に映ったりするようなものを考えているよ。車を運転しているのが俺だとは限らないけどね、もしかしたらドライバーの顔に俺の顔をオーバーラップさせるかも(笑)。あとは70年代のアメリカ映画でよくあるような感じで、車が納屋に突っ込んでニワトリが藁の山の中を逃げ惑うシーンもいいかもしれない。ピーター・セラーズがよくやっていたようなシーンみたいな。曲がバラードならすごくパワフルで、映像が(曲に)さらに重力を与えるようなものになると思う。サイモンのすごいところは、ただ車が箱にぶつかるだけの映像でも、美しく撮る方法を見つけられることなんだ。彼はとても才能があって、俺たちは彼なしじゃどうしたらいいか分からないよ。とにかく、ビデオにもっとスタントを取り入れたいね。生身のスタントマンを使ったスタントはCGの発達で失われつつあるアートでもあるし、俺たちを惹き付けるものがあるんだ。昔のビデオで宇宙船を舞台にしたときも、CGの宇宙船は使わず本物のセットを使ったんだよ。その違いはビデオを観る人にも感じ取ってもらえると思う。まぁそんな感じで、車やバイクを使ったスタントにチャレンジしたいね。

The Darkness – “Open Fire”(Official Video)

——あなたは、今までのソロ活動や楽曲提供などの音楽活動に加え、サムソンのCMや俳優としての映画出演なども果たしていますが、今後ザ・ダークネス以外の活動でチャレンジしたいことはありますか?

うん。ただ、問題は俺は演技ができないってことなんだ。

——えっ、そうなんですか?

うん、俺は酷い役者だよ。今までやったのは、誰かがやっているプロジェクトに「こんなことやってみない?」って聞かれて、面白そうだからやってみたんだけど、やってみたら全然楽しくなかった。だからもうやらないと思うね。その時間もないし、時間以上に、才能がないよ。他にチャレンジしたいことか……レストランを始めたいかな。いつも妻とヴィーガン・レストランをやることについて話しているんだ。肉を食べる人ばかりの土地でさ、たとえばフランスとか、朝も昼も夜も肉を食べるのが普通で、ヴィーガン・レストランなんかないような場所でやってみたいね。金と時間がないと出来ないけど、肉の消費を減らすのはいいことだと思うし。結構上手くいくんじゃないかと思うんだよな。伝統的な食事を少し変えるだけでいいんだよ、例えば日本なんかもヴィーガン食に変えるのは簡単そうだよね、「アゲダシドウフ」とかもあるし。でも、魚の出汁を使っているのかな。

——殆どの料理に使われていると思います。

まぁ魚が入っているって俺に教えないでおいてくれれば、気がつかないから大丈夫だよ。米には魚は入ってないだろ。あとは海藻も大丈夫だね。ミソを食べるときは気をつけなきゃいけないんだよね、アルコールの入っているものもあるらしいから(※恐らく酒精のこと)。

——味噌で酔っぱらった人の話は聞いたことがないので、基本的には大丈夫かと……。

味噌汁で酔っぱらう、か(笑)。まぁ何でも摂りすぎれば酔っぱらうことができると思うよ!

新生ザ・ダークネスは孵化して空に飛び立つところさ

——先ほどもチラッとお話されていましたが、新ドラマーのルーファス加入が発表されましたね。ザ・ダークネス結成にはクイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』が関係しているというのは有名なエピソードということもあり、今回のルーファス加入はあなたたちの運命的な出会いを感じています。ルーファスを迎えた心境と、新生ダークネスの未来の青写真をどう描いているか教えてください!

彼にとってはちょっと変な感じがするかもしれないと思うんだ、ザ・ダークネスの歴史にはクイーンが大きく絡んでいるからさ。でもそれだけ多く絡んでいるからこそクイーンと友人関係になったし、それを通してルーファスに会ったわけだけどね。ブライアン・メイのギター・テックが彼をドラマーとして推薦してくれたんだ。だからその繋がりがなければ彼と会うこともなかった。彼にとって変かもしれないのは、俺に彼のお父さんの顔のタトゥーが入っていることだね(笑)……その気まずさを一旦乗り越えれば、後は大丈夫さ。彼は素晴らしい父親を持っているけど、彼自身素晴らしいドラマーでもあるんだ。新生ダークネスは孵化して空に飛び立つところさ!

——本作を引っさげてのツアーが5月29日からスタートしますが、今回のツアーに向けての熱い気持ちをコメントでいただきたいです!

とても楽しみにしているよ! ツアーの最初は殆どがフェスティバルなんだけど、そのうちの幾つかはめちゃくちゃハードなヘヴィ・メタル・バンドだらけで、殆どどのフェスティバルでも俺たちが一番ヘヴィじゃないバンドなんだ(笑)。なぜそういうフェスティバルばかりに呼ばれるのかは分からないけど、黒Tシャツにアイメイクした観客たちに向かって演奏するのを楽しみにしているよ!

The Darkness − “Last Of Our Kind”(Full Album Stream)

RELEASE INFORMATION

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