——古来、日本のマンボやブギウギ、ドドンパといった歌謡も、欧米からの音楽をお得意の加工貿易能力で、日本の土着的なメロディや他の様々な音楽とのブレンドを経て、同じ名前でも全く違った音楽性で表現されたものですもんね。

加藤 そうそう。紐解いたら、スカにしてもジャズの発展系ですから。アメリカのラジオから流れるジャズをジャマイカ人流に真似した結果だったし。そう考えるとスカ自体の精神も、とにかく面白いものを自国で取り入れて自分たちなりに発展させたものですから。

——その“自分たちなりに”って、まさしくです。

加藤 その“自分たちなりに”が大事な部分で。「東京スカ」もその精神を引き継ぎ、名乗ってのことだし。日本のラーメンで、オリジナルには無い、豚と魚介をブレンドさせたもの等が存在しているのと一緒です。元々日本人お得意な面を我々もやっているだけで(笑)。東京の原宿もまさにそれですよね。世界への発信力も含めて。なので、面白いものはこれからもどんどん取り入れていきますから。

「斎藤君が最初から到達点をピンポイントで見定め、そこにブレずに真直ぐ進んでいったのには恐れいった」(NARGO)

——その融合の面白さは、今回のUSGの斎藤さんのフィーチャリングからも伺えます。USGでのスイートな声質や構成の激しいサウンドとは違い、ストレートで情熱的、且つハードボイルドに歌っており、彼の新側面が伺えました。

加藤 その感想は嬉しいですね。もちろんその辺りに期待してのことだったし、そこを今回は出せたかなと。

NARGO 不思議なんですよね、彼の声って。クリアで未来を感じさせつつ、歌えば今回みたいにキチンと男臭い部分もあって。実際に男らしいヤツだったし。何よりも自分の中で最初に到達点をピンポイントで見定めて、そこにブレずに真直ぐ進んでいったのには恐れ入りました。見えていたんでしょうね。彼の中での完成型が。

谷中 逆にUSGの田淵君が作る歌詞の世界(USGは主にベースの田渕が作詞/作曲を担当)は僕には出来ませんから(笑)。せっかく一緒にやるんだから、スカパラならではの世界観で斎藤君に歌ってもらった方が、逆にUSGのファンの人たちにも楽しんでもらえるだろうと。あと今回は、『新宿セブン』というドラマの題材があったので、そこも大きかったです。

——凄くドラマとリンクしてます。

谷中 新宿の夜の街感や欲望、蠢いている感じや騙し騙され、それから恋愛もあったりの内容だったので、その辺りも念頭に、それらの世界観を彼に歌ってもらったら面白いんじゃないか?って。

——実際に斎藤さんに歌ってもらった感想は?

谷中 彼からは「『嘘もつかずに欺いてやれ』ってフレーズいいですね」との感想をもらいました。

——これも含めて今回は女性にはたまらないキラーフレーズが満載ですもんね(笑)。

谷中 わりとそういったフレーズが今回は浮かびましたね。僕個人としては、「どうせ悩むなら大切なことで悩んでほしい」って箇所が気に入っていて。人間、どうしても色々と不安なことで頭を悩ますじゃないですか。だけど、どうせ悩むなら一番大切なものについて悩みたいなって。ここの箇所を歌っている時の斎藤君は、とてもお兄さんに見えましたよ(笑)。

——完全にスカパラの世界観を、彼ふうに乗りこなしているように聴こえました。

谷中 彼が容易に歌いこなしていくのを見て、“こんなんだったら、もっと小難しくしてやれば良かった……”と軽い嫉妬を覚えました(笑)。

NARGO 今回、歌う時に一つの難関になるはずの転調の部分もサクッと歌いのけてましたから(笑)。しかも、キチンと聴き手をグッとこさせる形で。

「白と黒のモントゥーノ feat.斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)」MV-YouTube Ver.-

加藤 毎度コラボして下さる方には、自分たちに出来ない何かを得てもらいたいと思ってやってます。そういった意味では、今回の斎藤君にも普段USGでは出来なかった、やったことの無かった新しい要素や引き出しを、我々が開けることができ、それらが今後の彼の糧になってもらえると嬉しいですね。