サウンド・アーティストのevalaが、NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]にて6月24日から2024年1月14日(日)まで開催。<ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち>展にて、発表から10年となる代表作『大きな耳をもったキツネ』全4曲および『Our Muse』を再展示している。

「耳から新しい世界を視る」evalaの無響室シリーズが再展示

自らの制作のあり方を「空間的作曲」と表現し、新たな聴覚体験を創出するプロジェクト・See by Your Earsを主宰するevala。代表作であり、今回再展示される『大きな耳をもったキツネ』は、ICC無響室のために2013年に制作された立体音響によるサウンド・インスタレーション・シリーズだ。

evalaの代表作『大きな耳をもったキツネ』がNTTインターコミュニケーション・センターにて再展示|発表から10年、鈴木昭男参加の“耳で視る”サウンド・インスタレーション music230623-evala1
Photo by KIOKU keizo

evalaの故郷である、京都府北部の京丹後でのフィールド・レコーディング音源をもとに、録音場所の空間の残響と反射を擬似的に作り出し、そこに音響的変化を伴う音の運動を構成して作曲。また、京丹後に移住し幼少期のevalaに強い影響を与えたサウンド・アーティストの鈴木昭男が録音に参加し、鈴木の自作楽器による演奏の録音から構成した作品が含まれている。2013年から14年にかけて4作品を制作した。

まるで小さな虫になったような身体変容の感覚や、楽器が巨大化したり、耳が水であふれたりという神秘的な感覚を生み出し、生き物のように変化し続ける音が未知なる空間が作り出されていく。

evalaの代表作『大きな耳をもったキツネ』がNTTインターコミュニケーション・センターにて再展示|発表から10年、鈴木昭男参加の“耳で視る”サウンド・インスタレーション music230623-evala3
evala(写真右)/鈴木昭男(写真左)(2013年)

沖縄での録音を基にした2017年作『Our Muse』も展示

2017年には新たに『Our Muse』を制作。沖縄の御嶽(うたき)という特殊な反響をもった非日常空間でレコーディングした音源をもとに、まるで時空が変容するような高次元的音体験を構築している。

真っ暗闇の中、ひとりきりで「耳から新しい世界を視る」これら無響室での作品シリーズは、evalaが「See by Your Ears」プロジェクトを始動する礎となった作品であり、最初の発表から10年経った今でも色褪せず、はげしく知覚を刺激してくれるだろう。ぜひ会場でしか体験できない、特別な時間に没入してほしい。

なおQeticではevalaへのインタビューを掲載中。奈良・法相宗大本山 薬師寺を舞台に開催された<meme nippon project>を訪れて、食堂(じきどう)で展開された新作『Alaya Crossing』にも触れながら、evalaの「音」と「音楽」に対する視点、空間的作曲について話を聞いた。ぜひこちらもご一読いただきたい。

evalaの代表作『大きな耳をもったキツネ』がNTTインターコミュニケーション・センターにて再展示|発表から10年、鈴木昭男参加の“耳で視る”サウンド・インスタレーション music230623-evala2

展示作品
 
1. Our Muse
沖縄・竹富島の御嶽(うたき)などで収録したフィールド録音により構成
All Sound Composition, Recording, 3D Sound Programming by evala, 2017
7′19″
 
2. Otocyon Megalotis #1 “Reflection”
京丹後の自然にフォーカスしたフィールド録音により構成
All Sound Composition, Recording, 3D Sound Programming by evala, 2013
7′47″
 
3. Otocyon Megalotis #2 “Chafe”
摩擦の物理現象にフォーカスしたマクロ録音により構成
All Sound Composition, Recording, 3D Sound Programming by evala, 2014
5′55″
 
4. Kugiuchi & Water Bottle
鈴木昭男の自作楽器(流木と釘)による演奏をevalaが録音/構成
Performance by SUZUKI Akio, 2013
Recomposition, Recording, 3D Sound Programming by evala, 2013
7′05″
 
5. Glass Harmonica
鈴木昭男の自作楽器(グラスハーモニカ)による演奏をevalaが録音/構成
Performance by SUZUKI Akio, 2013
Recomposition, Recording, 3D Sound Programming by evala, 2014
6′10″
 
設営協力:株式会社アコースティックフィールド 、東京大学 池上高志研究室、SbYE合同会社

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「耳で視る」と、変わる音響・日常・世界。evalaインタビュー

EVENT INFORMATION

ICC アニュアル 2023 ものごとのかたち

2023.06.24(土)〜2024.01.14(日)

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーB ,ハイパーICC(東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階)

開館時間:11:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)

休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は翌日),保守点検日(8月6日),年末年始(12月28日–1月4日)

入場料:一般 ¥500/大学生 ¥400/高校生以下無料/ICC年間パスポート ¥1,000 

その他、割引・無料待遇あり。詳細はウェブサイトより。

  

入場は事前予約をされた方優先。ICC受付では当日券を販売。

主催:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC](東日本電信電話株式会社)

 

<evala作品体験について>

・作品は1曲につき10分以内 、ひとりずつ体験します。

・1回の体験で任意の曲をひとつだけ選択できます。

・オンライン事前予約が可能です。ご体験希望日の7日前の11:00より、当日10:00までお申込み可能です。

(事前予約なしの時間帯、キャンセルとなった時間帯は、当日会場にて整理券による予約制でご案内します。)

 

注意事項:音の反響のない、完全に密閉された暗闇空間で体験します。暗い場所が苦手な方、閉所恐怖症の方は予めご留意の上、ご鑑賞をご判断ください。

詳細はこちら予約はこちらevala