かつてなく“豊作”だった2013年の音楽シーンを、
<第56回グラミー賞>で総括すべし!

フト・パンクやジャスティン・ティンバーレイクが颯爽と音楽シーンにカムバックし、ポール・マッカートニーやデヴィッド・ボウイといった大御所も揺るぎない存在感を見せつけた2013年は、ロックからポップス、シンガー・ソングライター、ヒップホップ、R&Bまで新人アクトも百花繚乱。かつてなく“豊作”な1年だったと断言できるが、ここ日本においても久しぶりに「洋楽」がホットなキーワードとして、お茶の間を騒がせた1年でもあった。

そこで気になるのが、やはり世界最高峰の音楽の祭典<グラミー賞>だ。昨年のセールスや評価が高かった音楽作品をバッチリ総括できるだけでなく、マムフォード&サンズやフェニックス、ゴティエ、ファン.など過去のウィナーには授賞式の前後に来日公演を行うアーティスト/バンドも多く、<グラミー賞>の動向を知るか否かで、洋楽の楽しみ方が180度変わると言っても過言ではない。もちろん、一夜限りのスペシャルなライブ・パフォーマンスや、他ではありえない大物同士のコラボレーションも見どころのひとつ。第56回目となる今回は1月27日(月)(現地時間26日)、カリフォルニア州ロサンゼルス市のステイプルズ・センターにて、前年度に引き続きLL・クール・Jを司会に迎えて開催される予定だ。

まさに大・混・戦、
誰が受賞してもおかしくない「年間最優秀新人候補」のゆくえ

主要4部門のノミネートから、真っ先にピックアップしたいのは「年間最優秀新人候補(Best New Artist)」でしょう。昨年は<フジロック・フェスティバル>にも出演したファン.が栄冠に輝いた同部門だが、14年度はジェイムス・ブレイク、ケンドリック・ラマー、マックルモア&ライアン・ルイス、ケイシー・マスグレイヴス、そしてエド・シーランの5組がノミネート。ご存知ジェイムス・ブレイクは2ndアルバム『オーヴァーグロウン』で英マーキュリー・プライズを受賞しており、ケンドリックもアルバム自体は12年リリースだったものの、ビッグ・ショーンの楽曲“コントロール”において展開したヴァースで、仲間のラッパーたちを名指しで挑発しまくり物議を醸したのは記憶に新しい。また、ほぼ無名ながらビルボード・チャートを制覇したシアトルのヒップホップ・デュオ=マックルモア&ライアン・ルイスの快進撃はここ日本にも飛び火(3月には一夜限りの来日公演も!)。あまり耳馴染みのないケイシーは「テイラー・スウィフトの対抗馬」と評される女性カントリー・シンガーだ。まさに大・混・戦、誰が受賞してもおかしくない同部門から、今年はどんな番狂わせが起きるのだろうか!?

Qetic的注目賞は「最優秀レゲエ・アルバム」でキマリ!!

スヌープ・ライオン “Torn Apart ft. Rita Ora”

先日も独断と偏見でグラミー大予想をぶちかましたQeticだが、編集部では「最優秀レゲエ・アルバム(Best Reggae Album)」に大注目。元外交官の阿曽沼和彦氏がプロデュースし、元ちとせやlecca、COMA-CHIといった日本人アーティストが集結したSly&Robbie And The Jam Mastersによる『REGGAE CONNECTION』がノミネートされたことも大きな話題となったが、言わずと知れたカリスマ・ラッパーであり、レゲエ・ミュージシャンへと“転生”したスヌープ・ドッグ改めスヌープ・ライオンの『Reincarnated』を熱烈プッシュしたいところ。日本でも彼の巡礼を追ったドキュメンタリー映画『スヌープ・ドッグ/ロード・トゥ・ライオン』が公開されたが、過去にラップ部門などで15回もノミネートされていながら一度も受賞には至っていないスヌープだけに、今回こそは悲願の初受賞を期待するファンも多いに違いない。

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ジェイ・Zの仕事にフォーカス