秋の夜長、皆さんいかがお過ごしでしょうか。爽やかなこの季節、夜の時間に読書をしたり、映画を見たりと、何かに没頭しながら充実した時間を過ごしたいですよね。そんな大切な時間に一風変わった電子楽器にハマってみてはいかがでしょう。今回、筆者がおすすめする、秋の夜長にぴったりのシンセサイザーをご紹介しましょう。

『KASTLE V1.5』は、マイクロ・パッチ・ケーブルを使い、様々な音を作れる、小型モジュラー・シンセサイザー

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今回ご紹介しますのは、チェコ共和国のメーカー「BASTL INSTRUMENTS」から発売されている、「KASTLE V1.5」(キャッスル V1.5)という製品です。本製品は、針金のように細い「マイクロ・パッチ・ケーブル」を使い、様々なパッチングを試す事で、バラエティーに富んだ複雑な電子音を鳴らす事ができる、手のひらサイズのミニ・モジュラー・シンセサイザーです。「2in/outポート」を搭載し、外部機器との接続も可能。手のひらに乗る小型サイズなので、ヘッドフォンを接続すれば、いつでもどこでもモジュラー・シンセの音作りを楽しむ事ができます。

本製品は以前、白い配色の旧バージョンが発売されていたのですが、今は配色が黒に変わり、単三乾電池3本で駆動するだけでなく、新たにマイクロUSB給電でも駆動できる『KASTLE V1.5』(以下『KASTLE』)にバージョン・アップしました。「KASTLE」はお手頃な価格で購入できるのが嬉しく、どなたでも気軽にモジュラー・シンセの楽しさを味わえる、ガジェット系シンセの傑作と言われている製品なのです。本製品を単体で鳴らして遊ぶ事はもちろん、外部のリズムマシンなどとシンクさせて鳴らすとさらに面白さが広がります。

今回、こちらの「KASTLE」とドラムマシンをシンクさせて、リズミカルに鳴らしたり、面白い音を出す方法をご紹介します。すでに「KASTLE」をお持ちの方や、どんなサウンドなのか興味のある方、これから買おうかと思っているガジェット好きな皆さんに向けて、筆者がおすすめするパッチング方法と、本製品の魅力をお届けしたいと思います!

まずは「KASTLE」と「volca drum」を3.5mmのモノラル・ケーブルで接続

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パッチングをする前に、まずやるべき事があります。それは「KASTLE」とドラムマシンの接続です。筆者は今回ドラムマシンにコルグの「volca drum」を使用しますが、シンク接続できる機材であれば、どのメーカーの製品でもお好きな物を使用してください。では「volca drum」側の「SYNC OUT」と、「KASTLE」の上側面の左側にある「I/O CV ポート」を3.5mmのモノラル・ケーブルで接続します。上の写真のオレンジ色のケーブルがそれです。

この接続をする時に使用したケーブルは、色とりどりの「ミニ・パッチケーブル」が6本セットになった「SQ-CABLE-6 PATCH CABLE for SQ-1」という製品がコルグから発売されているので、一つ購入しておくとガジェット系シンセ同士を接続する時などに便利です。「volca drum」と「KASTLE」を接続し、両機のアウトプットをミキサーに接続して音が出せるようにしたら「KASTLE」の電源をオンにし、「volca drum」のリズム・パターンを再生します。ちなみに筆者は「volca drum」を「120BPM」にして再生しています。

準備が整いましたら付属の「マイクロ・パッチ・ケーブル」を使った接続方法をご紹介して行きますが、その前に動画を見て頂きたいと思います。今回撮影しました動画は、これからご紹介する接続方法と同じ事を試していますので、最初に見て頂いてからパッチングを試すなり、読みながら音だけ聴いて頂くなり、ご自由にお楽しみください!

▼“KASTLE V1.5”and“volca drum” DEMO Patching by Falcon-106

「volca drum」側から来たシンク信号を「KASTLE」が受け取り、同じテンポで鳴らすための最初の一歩をご紹介

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それではいよいよパッチングを開始します。最初は全てのノブを12時の方向にした状態でスタートします。まず「KASTLE」正面、左列の一番上にあります「I/O CV ポート」の「L」と書かれている方のパッチ・ポイントと、中央列の下段にあります「LFO RST ソケット」にパッチを接続します。これだけでは何も音に変化はありませんが、もう一本接続します。

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続いて、右列一番下の「STEPPED パッチ・ソケット」と、左列の下から2段目の「TIMBER MOD ソケット」を接続します。すると「volca drum」のテンポと同じ速さで「KASTLE」がシーケンス・パターンのようなフレーズを発します。「ビヨビヨ」としたリズミカルなパターンにテンションが上がります。この接続が「volca drum」側から来たシンク信号を「KASTLE」が受け取り、同じテンポで鳴らすための最初の一歩になります。この状態で「OSC TIMBRE ノブ」をゆっくり左に回し、9時位の方向にするとステップごとに音が太くなったり、細くなったりする変化があって面白いです。

『KASTLE』はどこにどう接続しても大丈夫、自由にパッチングして、変わったサウンドを探り当てるのが面白い

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ではお次に、右列一番上の「OSC OUT」と、その下にあります「SECONDARY OSC OUT」をパッチングします。こうする事で、低域が少し強くなり「パチパチ」と細かいノイズの混じった、やや複雑な音に変化します。「アウトプット同士で接続しても大丈夫なの?」という声が聴こえてきそうですが、「KASTLE」はどこにどう接続しても大丈夫なんです。むしろ自由にパッチングを実験するようにして、変わったサウンドを探り当てるのが本製品の楽しい使い方なので、ルールにとらわれないパッチングをぜひ試してみて欲しいです。

この状態で「OSC PITCH ノブ」と「OSC TIMBRE ノブ」を9時位にすると音がダークになり、「WAVESHAPE ノブ」を2時位にすると張りがある音になって、さらにカッコよくなります。

コンピューターがリズミカルに鳴いているようなサウンドは、まるでSF映画に出てくる研究室

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お次は、右列の下から2段目の「LFO TRIANGLE ソケット」と中央列の上段にある「WAVESHAPE ソケット」を接続します。すると、アナログシンセで言うところのエンベロープ・ジェネレーターによって時間的に音色が変化していくような、「ギョン」といったサウンドになります。これはこれで力強く、好みのサウンドではありますが、さらにパッチします。

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左列上から2段目の「Low(-)HIGH(+)ソケット」の「+」側と、そのすぐ下にあります「MODE ソケット」を接続します。すると先程に比べて少し音が細くなりますが、フレーズが「ピロリピロリ」と三連符のように小刻みになります。まるでコンピューターがリズミカルに鳴いているようなサウンドは、SFの映画に出てくる研究室みたいで心地よいです。この状態で「WAVESHAPE ノブ」を9時位にするとより効果的です。

パターンのステップ数を16ステップか、8ステップに選択できる

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しばらくこのサウンドを楽しんだら、今度はパターンのステップ数を変化させます。左列の下から3段目の「PITCH MOD ソケット」と、中央列、下段にあります「BIT IN ソケット」の右側のパッチ・ポイントに接続します。白い線で描いた、四角い枠に接続してある赤のパッチ・ケーブルがそれです。こうすると今まで鳴っていたパターンのステップ数が半分の長さに変化します。この接続によってパターンを16ステップにするか、8ステップにするかを選択できるのです。

「BIT IN ソケット」の左側のパッチ・ポイントに差し替えた場合も半分のステップ数に変化しますが、右側に接続した時とフレーズが微妙に異なります。演奏中にこのパッチを抜き差しして、16ステップから8ステップに変化させたり、「BIT IN ソケット」の左、右を差し替えて、微妙にフレーズを変化させる使い方をすれば、パターンにバリエーションがついて面白いと思います。

この状態で「LFO RATE ノブ」を12時方向から10時位に回すと、リズムに対して「KASTLE」のパターンがゆっくりになり、これはこれで面白いです。同じパターンの繰り返しに飽きてきたら、時々このノブを動かしてスピードを切り替えると良いでしょう。しばらく遊んだら、まだパッチングしますので「LFO RATE ノブ」を12時方向に戻しておいてください。

ステップごとに細い音と、太い音が交互に鳴り、刺激的なサウンドに変化する

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さあ、もう少しパッチングしてみましょう。お次は左列の上から3段目の「MODE ソケット」と、左列の下から2段目の「TIMBER MOD ソケット」をパッチングします。白い線で描いた、四角い枠に接続してある緑色のパッチ・ケーブルがそれです。このように接続すると再生されるパターンが、ステップごとに細い音と、太い音が交互に鳴り、中々刺激的なサウンドになります。時々「ゴツ」っとした太い音が鳴るパターンは、スリリングでカッコいいです。このパッチは演奏しながら抜き差しする事で、2つのサウンドを行き来できます。

余談になりますが、一度パッチングしたケーブルを片方抜いてみると、パッチする前の音色との対比が面白かったりする事があります。演奏中にパッチ・ケーブルを同じ所に抜き差しする事で、パッチする前と後の音を行き来して、サウンドを変化させる事が出来るので、こういった使い方を演奏しながら試してみて欲しいです。

スピード感のあるテクノなサウンドから、壊れかけた機械のようなベースラインまで、様々に音色変化する

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最後のパッチングになります。パッチ・ケーブルがゴチャっとしてきましたが、指でよけながらうまい事パッチ・ポイントを探り当てるのがコツです。さて、右列下から3段目の「LFO PULSE ソケット」から、左列一番下の「RATE MOD ソケット」に接続します。白く描いた枠に接続してあるブルーのパッチ・ケーブルです。そして「RATE ノブ」を12時から3時方向に回します。すると「KASTLE」がドラムマシンとシンクしながらも、モジュレーションのスピードが変化し、パターンにスピード感が出ます。この音はテクノっぽくてカッコいいです。

この状態で「WAVESHAPE ノブ」をゆっくりと左右に一杯動かします。そうする事で、音が明るくなったり、暗くなったりサウンドが変化し、様々な表情を見せてくれます。さらに「TIMBER ノブ」を3時方向に動かせば、かなり主張の強いサウンドでパターンを繰り返し、10時方向にすると地味ではありますが、壊れかけた機械のような、ノイズ混じりのベースラインを繰り返し奏でてくれます。

本製品はノブを急激に動かすよりも、少しずつ、ゆっくり動かすことによって微妙に異なったサウンドが聴こえるのがとても面白いので、一瞬一瞬を味わうようにして音色を楽しんでみて欲しいです。

「KASTLE V1.5」は使えば使う程、新たな発見があり、楽しいミニ・モジュラー・シンセサイザー

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いかがでしたでしょうか。今回、筆者がおすすめするパッチングの一例をご紹介しましたが、「KASTLE」はもっと色々なサウンドを秘めています。様々なパッチングやツマミの設定を試す事で、バリエーション豊富な電子音を鳴らす事ができるのです。そのサウンドは、激しくノイジーなサウンドだけでなく、柔らかいドローン・サウンドも、ステップごとに音が変化する、メカニカルでメロディックなサウンドも、外部のドラムマシンとシンクさせれば、リズミカルなパフォーマンスができるなど、刺激的で複雑な音を出す事ができます。先ほどご紹介した動画のサウンドや、機械いじりが好きな方でしたら、絶対ハマると思います。

日本国内で本製品を輸入販売している「アンブレラカンパニー」では、定期的に「BASTL INSTRUMENTS」の「KASTLE V1.5」をみんなでワイワイ組み立てる 、DIY ワークショップを開催しています。半田ごてなどの製作工具一式をお借りして、インストラクターの指導の下「KASTLE」を組み立てる事ができます。

2019年10月27日(日)には「第10回 BASTL INSTRUMENTS DIYワークショップ」が開催される模様です。今回から「KASTLE V1.5」だけでなく、小型ミキサーの『DUDE』、ユーロラック・モジュラーの『TEA KICK』、『NOISE SQUARE』などを加えた4機種の中からどれか一機種を選んで製作できるそうです。

筆者も8月に開催された、こちらのDIYワークショップに参加してきたのですが、半田ごて初心者の筆者でも無事に完成させる事ができました。アットホームな雰囲気の室内にはガジェット系シンセや、ギター・エフェクターなどがズラリと棚に飾られ、ガジェット系が好きな方には天国のような空間でした。完成品を購入するよりも安く実機を購入できるのが何よりも嬉しいです。興味のある方はこちらのワークショップもぜひチェックしてみて欲しいです。

「KASTLE」は手のひらサイズでありながら、使えば使う程、新たな発見があり、触っていて楽しいです。モジュラー・シンセサイザーに関心はあるけど値段が高くて手が出せないといった方でも、本製品はパッチ・ケーブルを使った音作りの面白さを気軽に楽しむ事ができる、おすすめの製品なのです。ぜひ皆さんも「KASTLE V1.5」を試してみてください!

「KASTLE V1.5」の詳細はこちら

「アンブレラカンパニー」の「BASTL INSTRUMENTS モジュラーシンセ DIY ワークショップ」詳細はこちら