② あまりにも手広い交友関係と、ジャンルを超えたコラボレーション

プライマル・スクリーム=ボビー・ギレスピーの「スゴさ」って? 3つの視点から検証! music160314_primal_2

photo by Sam Christmas

プライマルズ・サウンドを語る上でハズせないのが、あまりにも手広い交友関係、およびコラボレーションの実績だ。『スクリーマデリカ』には巨匠アンドリュー・ウェザオールやジ・オーブら複数のダンス系プロデューサーが名乗りを上げていたし、ローリング・ストーンズを思わせる王道ロックを軸にした4th『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』(1994年)のタイトル・ソングでは、Pファンクの創始者ジョージ・クリントンを召喚。ダブ色の強い『バニシング・ポイント』をダブの神様エイドリアン・シャーウッドがリミックスした『エコー・デック』(1997年)も画期的だったし、エレクトロニカ/テクノを大胆に導入して、政治的なメッセージを込めた歌詞も大きな話題となった6枚目『エクスターミネーター』(2000年)にはケヴィン・シールズ、バーナード・サムナー(ニュー・オーダー)、そしてケミカル・ブラザーズらがクレジットされている。

▶ Primal Scream – Give Out But Don’t Give Up (feat. George Clinton & Denise Johnson)

▶ Primal Scream – Swastika Eyes [Chemical Brothers Remix]

さらに、7th『イーヴル・ヒート』(2002年)ではジザメリのジム・リードのような旧友や、ロバート・プラントなどの大物に混じって、スーパーモデルのケイト・モスがリー・ヘイゼルウッドのカヴァー“Some Velvet Morning”でアンニュイな歌声を披露。この頃から女性アーティストとのコラボが目立つようになり、久しぶりにオーガニックなロック・サウンドへと回帰した『ライオット・シティ・ブルース』(2006年)においては、エコー&ザ・バニーメンのウィル・サージェントら混じって、ザ・キルズのヴィヴィが2曲で熱いヴォーカルを提供している。

▶ Primal Scream, Kate Moss – Some Velvet Morning (CD Extra Video)

▶ Primal Scream Feat Alison Mosshart – Suicide Sally & Johnny Guitar (Jools Holland 2006)

さらに、9th『ビューティフル・フューチャー』ではビヨーン・イットリングからの紹介もあってか、北欧を中心にリッキー・リー(!)ら優れた女性ヴォーカリスト/ミュージシャンたちを招集、そこにはCSSのラヴフォックスも含まれていて、2008年の<フジロック>で共演を果たしたのを現場で目撃した読者もいるかもしれない。当時もボビーの審美眼には唸ったものだが、スカイ・フェレイラとのコラボは意外でもなんでもなく、実に「ボビーらしい」チョイスだったということがご理解いただけるだろう。

▶ Primal Scream with Lovefoxx live at Fuji Rock 2008

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