8月の終わり、網戸を開けると吹き込んできた涼風から秋の気配が…「あぁ、今年も夏が終わるんだなぁ」なんて、センチメンタルな気分になったりして。そういえば、今年は夏フェスにも満足に行けていない…。ふと、思い立って調べてみると、ちょうどいいことに<SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2013(以下:SLS13)>が今年から初の試みとして本イベントに先駆け、8月30日に前夜祭として<Twilight Shower>なるパーティを山中湖で開くらしい。

<SLS13>こと通称ラブシャに行くには少し懐が淋しい僕にもなんとかなりそうな4500円というチケットの値段。そして、RHYMESTERSOIL&”PIMP”SESSIONSをはじめとしたクールなメンツが出演するラインナップ。山中湖という大自然の中で、グルーヴィーな音楽を思う存分堪能する…考えるだけでも最高なこのパーティでワクワクしないわけがない! 僕は、夏が去って行くのを追いかけたくて<Twilight Shower>に行くことを決めた。東京都心から車で約1時間半。会場である山中湖交流プラザ きららは、思ったよりも遠くない。お気に入りのアルバムを2回リピートしたら、すぐの距離だ。<Twilight Shower>の会場となるのは、<SLS>でも数々の伝説を生んでいる名ステージ「Mt. FUJI STAGE」。ステージのバックには、その名の通り、富士山を望む抜群のロケーション。真っ青な空と真っ白な雲、心地よい涼し気な風が山中湖をわたり、僕らが座っているステージ前の原っぱにも吹き抜けてくる。

ファースト・アクト、七尾旅人の歌声がゆっくりと夏の空に溶けていく。ステージは「Mt. FUJI STAGE」と「スペシャキッチン STAGE」の2つ。ライブはこの2つのステージを使って交互に行われるので、全体として非常にゆったりとした時間が流れている。フードやドリンクを楽しんでいるカップルも居れば、レイドバックしたムードにチルしているクルー達も。皆それぞれに楽しんでいて、とっても雰囲気がいい。僕も草の上に寝転んで、胸一杯に空気を吸い込んでみる。山梨の澄み切った空気に含まれるマイナス・イオンに満たされていく自分、今、超癒されています…。ふと、横をみると子ども達がシャボン玉を飛ばしてキャッキャと走り回っている。う~ん、なんともピースフル。スペシャルな熱演を繰り広げた、THE OTOGIBANASHI’SやPUNPEEGAPPERを始めとした〈SUMMIT〉の面々も、ステージの上でこの夏の終わりのパーティを思い思いに楽しんでいる様に見えた。

【レポート】今年からはじまった<SLS>前夜祭、黄昏時の最高にクールなパーティ<Twilight Shower>で踊り狂ってきた! music130913_twilightshower_nanaotabito

フードやドリンクも前夜祭ながら、かなり気合いが入った代物。マキシマム ザ ホルモン考案メニューが入ったランチ・ボックスや「三代目 J Sauce Cutlets」なんてジョークみたいな名前のついた串カツ。それに角煮マンやアイス・クリーム、ソーキとろろ丼までと盛りだくさん。良い空気を吸うとお腹が空く。食いしん坊な僕は全部試してみたのだけれど、どれもこれもとても美味でした。フードを売っているブース=スペシャキッチンの横には「スペシャキッチン STAGE」が。DJみそしるとMCごはんがBBQで料理をしながら、なんとも脱力系なラップを披露する。出来上がった料理はとってもおいしそうだし、料理を手にもってにっこり笑ってみせる彼女に僕は釘付け。「嫁にきてくれ」とまでは言わないから、どうかその焼き鳥の欠片を僕にくれませんか…?

【レポート】今年からはじまった<SLS>前夜祭、黄昏時の最高にクールなパーティ<Twilight Shower>で踊り狂ってきた! music130913_twilightshower_dj-misoshiru_mc-gohan

黄昏=Twilightな時刻になってくると、若干雨がパラつき始めたものの、会場の雰囲気はグッとムーディーに。地元・山梨で開催されたイベントへの出演と言うこともあってか、かなり気合いの入った田我流stillichimiyaの面々のパフォーマンスに会場もヒート・アップ! 心無しか、周りの兄ちゃん、姉ちゃんたちの密着度・ラブラブ度があがっていっているような…僕は一人だから、関係ないんだけどね! 

また、この日のパーティを何よりもスペシャルなものにしていたのは、なんと言っても参加アーティストによるコラボレーション! PUNPEEGAPPERSIMI LABTHE OTOGIBANASHI’Sら若手ラッパーが多数参加したプロジェクト・SUMMITは日本語ラップの未来を指し示すかの様なステージを披露し、やけのはらは盟友・ドリアン、そしてVIDEOTAPEMUSIC七尾旅人まで迎えて気合いのこもったセッションを繰り広げた。そして、やっぱりヘッド・ライナーのSOIL&”PIMP”SESSIONSが凄かった。七尾旅人福原美穂RHYMESTERら、最新作『CIRCLE』に参加した豪華なメンツを招いた、恐らくこの日だけしか観ることの出来ないスペシャル・セットを披露。気がつくと、僕はステージの目の前でガンガン踊り狂っていた! 今年10周年を迎えた、SOILの演奏はとことんキレキレ。夏の夜空に、6人とスペシャルなゲスト達の織りなす、ラグジュアリーなサウンドが響き渡った。

【レポート】今年からはじまった<SLS>前夜祭、黄昏時の最高にクールなパーティ<Twilight Shower>で踊り狂ってきた! music130913_twilightshower_soilandpimpsessions02

【レポート】今年からはじまった<SLS>前夜祭、黄昏時の最高にクールなパーティ<Twilight Shower>で踊り狂ってきた! music130913_twilightshower_yakenohara

ヘトヘトになりながら、その日の内に東京に戻ったものの、気分は最高。こんな風に夏の終わりに都心から少し離れた場所で、最高のロケーションと最高の音楽を目一杯楽しむのって何物にも代え難い幸せだ。会場で聴いたスペシャルなコラボレーションの記憶を思い返しながら「本当に最高のイベントだったなぁ」と、しみじみ思う。きっと、この大成功の<Twilight Shower>が、の新たな名物として定着することは間違いないだろう。来年は、誰かと一緒に行けたらいいなぁ…なんて!

(text by Jin Otabe)