2013 年夏、人間の身体能力の限界を超えた高度な音楽パフォーマンスの実現を目指し、3体のロボットで構成されたバンド、Z-MACHINESは生み出された。本プロジェクトの音楽プロデューサーを務める松尾謙二郎氏から、プロジェクトへの参加を要請されたスクエアプッシャーこと鬼才トム・ジェンキンソンは、78本の指でギターを弾くギタリストと22個のド ラムを叩くドラマーに生演奏させて作る音楽という未開の可能性に強く惹かれ、参加を快諾。”エモーショナルなマシーンミュージック”という未知の領域を切り開く楽曲として、スクエアプッシャーが作曲し、Z-MACHINESによって演奏されるという形で”Sad Robot Goes Funny”は発表された。2013年7月には<FREEDOMMUNE 0<ZERO> ONE THOUSAND 2013>でその衝撃的なパフォーマンスが披露され、アジア最大の広告祭【Spikes Asia】でDIRECT部門金賞を受賞し、Z-MACHINESは第17回文化庁メディ ア芸術祭で審査委員会推薦作品にも選出されている。

真鍋大度氏が制作を担当した”SAD ROBOT GOES FUNNY”のミュージック・ビデオはこちら

しかし、スクエアプッシャーと日本の開発チームは、さらなる可能性を追求し続け、今度はス クエアプッシャーからの働きかけで、コラボレーションの継続が決定する。その後一か月の間 に新たに4曲が書き下ろされ、データのやり取りやレコーディングなどを経て、ここに 『Music for Robots』が完成した。

Comment:SQUAREPUSHER

このプロジェクトを通して、私が追い求めたのは「ロボットは感情に訴える音楽を奏でることができるのか」という疑問に対する答えだ。私は以前から、コンロン・ナンカロウやリゲティ・ジェルジュの自動 ピアノ作品を敬愛してきた。馴染み深い楽器が、馴染みのない方法で”操作”される 状況に大きな魅力を感じる。未知と既知の遭遇は、常に魅惑的だ。かねてより私は、 既存の器楽編成に対して、新鮮なアプローチを取ることの必要性を提唱してきた。同時に、新しい楽器の開発も支持している。例えば、エレクトリック・ギターが使い方 によって刺激的な存在になるように、楽器や楽器法を見直すことができるからだ。

この音楽で演奏に関与しているロボット型装置は、個々の仕様により、特 定の能力を発揮するが、欠落する機能もある。例えば、ギターを演奏するロボット は、どんな人間よりも早いスピードでギターを弾くことが可能だが、振幅の制御がで きない。したがって、人間の演奏者向けに音楽を作曲する場合と同様、このような特 性を配慮しなければならない。音楽における可能性の範囲とは、それぞれの特性に相応するものである。その結果、今回のプロジェクトでは、馴染み深い楽器が、これま で不可能だった方法で演奏されているのだ。

Release Information

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