階下へ降り、duoへ。次世代のシティーポップを奏でるyogee new waves。角舘の跳ねるようなギターストロークからライブそのものを本人が楽しんでいることが伝わってくる。懐かしさと新らしさに溢れる音を聴きながら、上階でつづくBRAHMANの熱量が同じ場所で繰り広げられているのかと思うと、やはりこれはフェスなのだとひとり頷いた。group_inouのcpがMCで「天下一武道会にきたみたい」と言っていたが、たしかに今年の<シンクロニシティ>は例年よりも出演アーティストがさらに豪華。渋谷という街で、たった1日とはいえ、これほど豊かなアクトを巡ることができるのは夢のようなことなのかもしれない。ずっとO-WESTに敷かれていた「入場規制」はそれを物語っている。タイムテーブルにあわせて人の波が、ヌーの大移動よろしく行ったり来たりするのは、都市的ではあるなあと思いつつ、ベンジー率いるSHERBETSへ。“Michelle”でやっぱりかっこいいわと聴き惚れつつ、“HIGH SCHOOL”で我を忘れて踊り狂う。

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート 160424_shun_00440yog

yogee new waves/photo by 小見山峻

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート 160424_siho_0154groupinou

group_inou/photo by あきやましほ

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート AME_5059sherbets

SHERBETS/photo by Yukitaka Amemiya

クラムボンは“KANADE dance”、“波よせて”、“恋わずらい”とつづき、小気味好く踊る原田の唯一無二の歌声がステージを包む。もうひとつ体があったらいいなと思いつつも、見逃すことのできないenvyへ。なぜなら、envyはこの<シンクロニシティ>を前にヴォーカルの深川哲也が脱退を表明。ゲストを招いた最初で最後のライブとなると、envy目当てで集まった人も多いはずだった。ゲストはギターのKawaiが「昔からの友達です」という、青木ロビン(downy)、山㟢廣和(toe)、ツル(milkcow)、TOSHI-LOW(BRAHMAN)、成井幹子(sgt.)、Hevi(EARTH FEDERATION)、向達郎(kamomekamome)、渡部宏生(heaven in her arms, SZKN)の面々。静けさと哀愁の漂うアルペジオと地響きのようなリフはいつものenvyだが、バンドへのリスペクトで集まったゲストとのステージングは、今日しか見ることのできない刹那的な瞬間。この場にいれることの喜びもあったけれど、やはりどこか寂しさもある複雑な気持ちもあった。とはいえこの瞬間を目に焼き付けることこそ、オーディエンスにできること。脳をぐわんぐわんと揺らす爆音に心も体も持って行かれていつしか酩酊感すら覚えていた。

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート 160424_kin_3434clammbon

クラムボン/photo by 荒金大介

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート AME8020envy

envy/photo by Yukitaka Amemiya

そろそろ各ステージでトリのアクトがスタートする時間。とりあえずは、the band apart、MONO、渋さ知らズオーケストラと順番に巡ることにする。入念なサウンドチェックでスタートしたthe band apart。笑いを誘う原のMCは今日も健在。“Higher”、“Eric.W”と往年の名曲で盛り上げつつも、新曲を織り交ぜきらびやかかつグルーヴィーな音を奏でていた。メロウなギターと轟音のコントラストでつくりあげたMONOの世界観。海外で活躍するバンドでありながらも、日本で<After Hours>という新たなフェスを主催するこのバンド。闇と光がないまぜになった、キリリと張りつめるような緊張感がもつ美しさがオーディエンスを飲み込んでいた。

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート 160424_kayo_01008

the band apart/photo by 関口佳代

進化した都市型フェスの姿。<SYNCHRONICITY’16 - After Hours ->レポート 160424_higu_02834mono

MONO/photo by akahiro Higuchi

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