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ストックホルムのメーカー「Teenage Engineering」(ティーン・エイジ・エンジニアリング)から発売されている、電卓のようなルックスでおなじみの、ポケット・オペレーター・シリーズ(以下POシリーズ)は、手のひらサイズの黒いボードの上にボタンやノブ、液晶ディスプレイが所狭しと配置され、ゲームみたいなグラフィックスと、本格的なシンセ・エンジン、シーケンサー、ドラム・マシンを搭載した小型の電子楽器で、2015年に登場してから現在までに、個性豊かな9種類がラインナップされています。

デザインはどれも同じ形をしていますが、それぞれサウンドに個性があり、複数の「POシリーズ」を接続し、同じテンポにシンクさせて演奏する事もできます。お手頃な価格で購入できるので思わず他の機種も試してみたくなる魅力のある製品なのです。

今回ご紹介しますのは「POシリーズ」の一つ、『PO-24 office』(オフィス)という製品です。

80年代のパソコンやOA機器の音でリズムが作れる、小型ドラム・マシン『PO-24 office』の魅力 music_teenageengineering-po24_2-1200x1795

こちらが『PO-24 office』です。

本製品の特徴を簡単にご説明すると、1980年代のパソコンや、ビンテージOA機器の、フロッピー・ディスクが動く音、キーボードを打つ音、マトリックス・プリンターの動く音、ジョイスティックやマウス、トグル・スイッチなどの音が収録されていて、それらの音を組み合わせてメカニカルなリズム・パターンを作る事ができる、ユニークなドラム・マシンなのです。

フロッピーやマウスの音が「カタカタ」とリズミカルに鳴る本製品のリズム・パターンは独特なものがあり、他社のドラム・マシンにはないオリジナリティーを感じます。今の説明でちょっと興味をそそられた方や、買おうかと思っている方に向けて、今回『PO-24 office』の使用レポートをお届けしたいと思います!

ゲームウォッチのような画面と、時計機能が付いた遊び心のある仕様

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まず、単四乾電池2本をセットし、「ノブA・B」を回して時刻を設定します。本製品は音を出さない時、ディスプレイに時刻が表示され、時計やアラームとして使う事もできます。電子楽器でありながら、ゲーム・ウォッチのような画面と時計機能が付いた遊び心のある仕様は「POシリーズ」の魅力の一つです。試しにアラームをセットして目覚まし時計として使ってみたのですが、設定した時刻と共にリズムが鳴り響き、朝からやかましい音で目を覚ます事ができました。
時刻やアラームを設定するのに使った「ノブA・B」ですが、こちらは、BPMやスウィングを設定したり、音色が変化するフレーズを作ったり、サウンドの音程や、音の長さを設定したりする時にも使用しますので、それらは後程ご説明します。

再生するとリズムに合わせて、パンチカードが出てくるグラフィックスが表示される

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本製品の操作は、他の「POシリーズ」と共通している部分が多く、一機種の使い方をマスターすれば、他の機種も大体似ているので迷わず使えるようになってきます。
なにはともあれ、リズムを聴いてみましょう。「play」ボタンを押せばリズムが再生されます。「1~16」ボタンには16ステップで作られた、16個のパターンが収録されていて、本製品ならではのメカニカルなリズム・パターンが楽しめます。

別のパターンに切り替えたい時も簡単です。「pattern」ボタンを押したままにすると「1~16」ボタンが赤く点灯し、今選択されているボタンは赤く点滅します。そのままで「1~16」ボタンの中で点滅していない別のボタンを押せば、次の小節の頭でタイミング良くパターンが切り替わります。

リズムが鳴ると同時に、液晶画面にはプリンターのような機器から穴の開いたパンチカードが出てくるグラフィックスが表示され、見た目もユニークです。

フロッピー・ディスク、キーボード、プリンター、マウスなどがリズミカルに鳴る音は、なかなかの快音

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本製品の「1~16」ボタンには、16種類のサウンドが仕込まれています。そのサウンドは、5.25インチのフロッピー・ディスクが「ガー」と回転したり、3.5インチのフロッピーが「カチャ」とイジェクトされる音や、キーボードを「カッ!」と打つ音、それから、マトリックス・プリンターが「ギー」と動く音、ジョイ・スティックやマウス、トグル・スイッチの「カチッ」という音などが収録されています。ひと昔前のアナログな機械音は味があり、レトロな気分にさせられます。

パソコンや、OA機器のサンプルに加え、シンセで作られたドラムや、ベースのサウンドも充実しています。

それらは、「ドゥーン」というディケイが長い「バスドラム」や、フィルターが調節可能な「ベース」、ディケイを短くすれば鋭いスネアにもなる「ハードシンク・ノイズ」と、効果音やスネアとしても使えそうな「ノイズ・エフェクト」、それから「ピ!」という「ポケベル音」や、音程、長さを調節すれば色々な効果音として使う事ができそうな「ハードシンク・トーン」、「リング・モジュレーション」、「グリッチ・エフェクト」などのバリエーションに富んだ電子音が収録されています。

これらを組み合わせてパターンを作れば、通常のリズム・マシンよりも機械的なリズム・パターンを作る事ができ、そのメカニカルなサウンドは、なかなかの快音です。
ボタンを押すと音が鳴ると同時に、液晶画面には小さなキャラクターが、パソコンのキーボードを打ったり、フロッピー・ディスクやプリンターにマイクを向けたりするコミカルなグラフィックスが表示されます。

これらの音色を2つのノブを使って、ある程度好みの音に設定にする事ができます。その方法は簡単で、「1~16」ボタンに仕込まれたサウンドのどれかを押して、音を鳴らしながら「ノブA・B」を回すだけです。

ほとんどのサウンドは音程や音の長さを調節できますが、音色によってはモジュレーションのかかり具合や、フィルターが変化する物もあります。

次は『PO-24 office』がどんなサウンドなのか気になると思いますので、動画を撮影しました。本製品のうま味を引き出す事を意識してプレイしましたので、お楽しみください!

▼『PO-24 office』Demo Performance By FALCON-106

慣れてくればどちらも簡単にリズムを作れる、ステップ入力とパンチイン入力

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本製品は購入した時からプリセットのパターンが収録されていますが、オリジナルのパターンを作る時は、このパターンを消さない事には始まりません。ですので、まず消したいパターンを選び「SOLO」ボタンと「pattern」ボタンを押します。すると今選択しているパターンが消去されます。

続いて、消去して空になった場所に新しいパターンを作ります。「sound」ボタンを押しながら、「1~16」ボタンのどれかを押して入力したいサウンドを選びます。「play」ボタンで再生しながら「write」ボタンを一回押すと、液晶画面の左上に四角い録音マークが表示され、録音再生モードになります。

この状態にすると「1~16」ボタンが16ステップのグリッドになり、順番に赤いランプが点滅します。このグリッドの中で鳴らしたいタイミングのボタンを押して、先程選んだサウンドを配置して行くのです。押したボタンは赤く点灯するので、ステップ入力した箇所が一目で確認できます。

本製品はステップ入力だけでなく、パンチイン入力する事も可能です。その場合はサウンドを選ばずにパターンを再生します。その状態のまま「write」ボタンを指で押し続け「1~16」ボタンの好きなサウンドをリズムに合わせて押します。すると多少のズレは自動的にクオンタイズされ、パンチイン入力されます。

グリッドを見ながらパターンを作りたい時はステップ入力を、リズムに合わせてノリながら打ち込みたい時はパンチイン入力を、その場に応じて使い分けると良いと思います。慣れてしまえばどちらも簡単です。

「ノブA・B」を使えば、ステップごとに音程や音の長さを変化させる事ができる

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作ったパターンを別の場所にコピーする事も簡単です。「write」ボタンと「pattern」ボタンを押しながら、「1~16」ボタンの中でコピーしたい先のボタンを押せば、今選択しているパターンが、押した場所にコピーされます。コピーした先でパターンを少し改良すれば、元のパターンに似ているけど少しだけ違うパターンを短時間で作る事ができるので便利です。

「ノブA・B」を使って、音色が変化するパターンを作る事もできます。

その場合は、前述しましたステップとパンチイン入力によって、すでに打ち込みされたサウンドを選び、再生した状態で「write」ボタンを指で押さえつつ「ノブA・B」を回します。すると、そのサウンドの音程と音の長さの変化をパターンに記録できます。

また、録音再生している状態で「1~16」ボタンの中に、すでに打ち込みされている赤く点灯したステップのボタンを押しながら「ノブA・B」を動かすと、指で押さえたステップだけ、音程や音の長さを調節する事ができます。

この方法を使えば、曲を聴きながらベースの音程をステップごとに変化させたり、フロッピーやマウスのクリック音をステップごとに音程を変えて、動きのあるパターンにする事ができるので、ぜひ使いこなしたい機能です。

マスター・ボリュームは「フワー」と、ゆっくり音量が変化するように作られている

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他の「POシリーズ」とも共通している操作なのですが、「bpm m」ボタンを押す度に液晶画面には「HIP HOP」、「DISCO」、「TECHNO」と表示され、テンポが、「80BPM」、「120BPM」、「140BPM」と固定で切り替わります。

もし「98BPM」とか「133BPM」のようにしたい場合は「bpm m」ボタンを押しながら「ノブB」を回して調節すればOKです。曲を好みのハネ具合に設定する事もでき、その場合は「bpm m」ボタンを押しながら「ノブA」を回してスウィングを調節します。

マスター・ボリュームを調節する時は「bpm m」ボタンを押したまま「1~16」ボタンを押します。「1」は無音で「16」に行くほど音が大きくなります。

本製品は内蔵されたスピーカーと、アウトプット端子の両方から音を出す事ができます。内蔵スピーカーで音を出す場合は、マスター・ボリュームを調整すると瞬間的に音量が変化しますが、アウトプット端子からスピーカーに接続した場合は、急激な音量変化でスピーカーにダメージを与えないようになっているようで、ボリュームを上げ下げすると「フワー」と、ゆっくり音量が変化するように作られています。

ステップ・マルチ・プライヤー機能でマウスのクリック音を連打させれば、よりメカニカルに

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ステップ・マルチ・プライヤー機能を使って音を細かく連打させる事も簡単です。まず「write」ボタンを押して録音モードにします。この状態で「1~16」ボタンにすでに打ち込まれ、赤く点灯しているボタンを押しながら「bpm m」ボタンを押します。

すると、そのステップのドラム音色が細かく連打されます。この時、何回か連続して「bpm m」ボタンを押せば、2、4、8、16の倍率でさらに細かく音が連打されます。

この機能を使えば、16ステップでは表現が難しい細かいリズムが簡単に作れます。ジョイスティックやマウスのクリック音を連打させれば「カカカカ!」と音が小刻みに連打され、より一層メカニカルなパターンになります。所々アクセントとして活用したい機能です。

本製品は16個のパターンを繋ぎ合わせて一曲を作る事も可能です。その方法は簡単で、「pattern」ボタンを押しながら「1~16」ボタンを繋げたい順番に押すだけです。最大で128個のパターンを繋げる事ができ、最後まで再生されると曲の頭に戻りループされるようになっています。

プレイしている本人も驚くようなパターンが飛び出す、豊富なエフェクトを内蔵

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本製品には16種類のエフェクトが内蔵されています。再生しながら「FX」ボタンを押して「1~16」ボタンのどれかを押せば、作ったリズムにエフェクトがかかり、パターンに記録されます。記録したエフェクトを消す時は「FX」ボタンだけを、ワン・ループ押し続ければOKです。

これらのエフェクトは、「エイリアシング」や、「オーバードライブ」、「ディストーション」をかけてリズム全体を荒々しく歪ませる事や、「リピート」で同じ個所を繰り返し再生したり、「フィルター」で音をこもらせたり、低音を削ったり、スウィープさせたり、「リトリガー」や「グリッチ」、「ブラインド」で音を細切れにして、「ノイズ・エフェクト」でアクセントを付ける事などができます。

特に「リピート」と「グリッチ」が強力で、次の展開に行く寸前などに「リピート」で同じ個所を何度も音飛びさせたように再生し、「グリッチ」でドラムを連打させてオカズを入れると、プレイしている本人も驚く程のパターンが飛び出します。これが予想以上にカッコよく、上手く行った時は気分爽快です。

これらのエフェクトを使ってライブ・パフォーマンスをすれば、かなり複雑で、機械が故障したようなリズム・パターンを鳴らす事ができるので、ぜひ使いこなしてみて欲しいです。

エフェクトとパート・ソロ機能を組み合わせて使えば、ライブ・パフォーマンスで威力を発揮

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本製品はパート・ソロ機能が内蔵されていて、パターンを再生しながら指定した音色だけをソロで再生する事ができます。

その場合は、再生した状態で「SOLO」ボタンを押し、そのまま「1~16」ボタンの中で、一つだけ鳴らしたい音色のボタンを押すだけです。この時、いくつかボタンを同時に押せば複数の音をソロ・プレイする事も可能です。

演奏しながら時々パート・ソロ機能を使えば、リズムの展開に起伏を付ける事ができます。ソロを解除したい時は「SOLO」ボタンから指を離せば、次の小節の頭が来た時に自動的に解除され、タイミング良く元に戻ってくれます。

何も打ち込まれていないトラックをソロにした場合、急に全ての音がミュートされ、音楽が盛り下がってしまう可能性がありますので、「SOLO」ボタンを押す時、どの音色をソロにするのか、あらかじめ決めておくと良いかもしれません。エフェクトとパート・ソロ機能を組み合わせて使えば、ライブ・パフォーマンスで威力を発揮できると思います。

機械的なリズムを作ってみたい方や、80年代のパソコン、OA機器に魅力を感じている方にもおすすめ

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『PO-24 office』の使用レポートいかがでしたでしょうか。本製品は通常のダンス・ミュージックで聴けるようなドラム・マシンが好きな方よりも、「カタカタ」した機械的なリズムを作ってみたい方や、80年代のパソコンや、ビンテージのOA機器に魅力を感じている方にもおすすめです。

サンプラーを使って自分で機械音をサンプリングすれば、似たような事が出来そうではありますが、ビンテージのOA機器の発する音にコンセプトを絞り、コンパクトにまとめられた『PO-24 office』は、オリジナリティーがあり触っていて楽しいです。

マウスのクリック音や、スイッチの音がリズミカルに鳴るサウンドは独特で、小型のレトロ・パソコンを動作させている気分になりますし、液晶画面に表示されるパンチ・カードや、フロッピー・ディスクなどのグラフィックスもサウンドとマッチしていて、机の上に置いてあるとつい触りたくなります。

本製品は、黒いボードの上に配置された金属のボタンや、ゴールドで描かれたフロッピー、マウス、昆虫などの小さな絵が、見る角度によってキラリと光るのもアクセントになっていて愛着が持てます。時計やアラームとしても使えたり、ゲームをするような感覚でリズムを作れるのが面白く、難易度もそう高くないので本格的に音楽を作らない方でも、気軽に楽しめるのではないかと思います。

『PO-24 office』を単体で遊ぶだけでも結構楽しいですが、他の「POシリーズ」と接続し、シンクさせてプレイすると音のバリエーションが増えて、さらに面白いです。興味のある方はぜひチェックしてみてください!

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Mikiya Komaba

Mikiya Komaba

ライター

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