14年ぶりの新作をリリースしたローファイ王者=セバドーが見参!

第3回の<HCW>ではダイナソーJr.として来日したルー・バーロウ先生、今回は自身のバンド=セバドーで初見参である。メルヴィンズのバズ・オズボーンすら彷彿とさせる爆発ヘアーと髭モジャ・ルックにもビックリだが、何しろ14年ぶりのスタジオ・アルバム『ディフェンド・ユアセルフ』のお披露目ライヴ。フォーキーなイントロの“I Will”を一発目に持ってくるあたり、新作への自信のほどがうかがえた。

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セット・リストは『ベイクセール』(名盤!)や『ハーマシー』(大名盤!)の収録曲を含むベスト・オブ・セバドーとも呼べる内容で、ルーとジェイソン・ローウェンスタインがせわしなくヴォーカル&パートをスイッチしながら、“RAW”なパンク・サウンドからシャウト吹き荒れるグランジまで、ゴリゴリの爆音・爆速で駆け抜けていく。途中で「Freebird!」と叫んだオーディエンスの1人に、ルーが「誰だよ(笑)」とリアクションを取ったのもこの日ならではの名シーンだろう。客の大半がJのギター・ソロに酔いしれるダイナソーでのステージとは違い、セバドーのパフォーマンスは初期衝動のままにモッシュ&ダイヴを引き起こす強靭なパワーがある。今なお現役なローファイ王者の行く末はいかに!?

USインディーの良心、オッカーヴィル・リヴァーが悲願の初来日

15年ものキャリアを誇りながら、初来日となったオッカーヴィル・リヴァー。あのルー・リードも認めた文化系青年ウィル・シェフ率いるオースティンの不定形バンドである。今回は紅一点のギタリストを含む5人編成で、オープニングの“It Was My Season”を皮切りに激エモーショナルな歌と演奏で、初見のオーディエンスの心をグッとわし掴みにしていく。最新作『ザ・シルヴァー・ジムネイジアム』を全米トップ10入りさせた実力はダテじゃないってわけだ。

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アコギをジャキジャキとかき鳴らすウィルのGジャン&ド近眼メガネという「いなたい」ルックスも絶妙だが、ライティングによって生まれ故郷=メリデンの町並みがあぶり出されるバックドロップと同様に、ストーリーテラーとしての才能と魅力がハンパじゃない。終盤ではウィル以外のメンバーが引っ込んでソロのオンステージになる一幕もあったが、オルタナ・カントリーの枠組みを超えた表現力はウィルコやマイ・モーニング・ジャケットのように、米国以外でも高く評価されるべきだろう(後日ブルックリン・パーラーで行われたアコースティック・セットも素晴らしかった)。フロアのあちこちから巻き起こるハンドクラップと共に披露されたアンセム“Unless It’s Kicks”での大団円は、間違いなくこの日のハイライトだった。

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