ロバート・グラスパーやホセ・ジェイムス、ゴーゴー・ペンギン、エスペランサといった新世代ジャズ勢とも共振しながら活動を広げ、14年の映画『イヴ・サンローラン』で劇中音楽を担当。同じく14年のフランス版<グラミー賞>『ヴィクトワール・ドゥ・ラ・ミュージック』では前作『イリュージョンズ』が全編インスト作品として史上初の受賞を果たすなど、アラビア圏を越えて活躍するレバノン出身のトランぺッター、イブラヒム・マーロフ。彼が名門〈インパルス〉と契約し、最新作『レッド・アンド・ブラック・ライト』を完成させた。

Ibrahim Maalouf

中東レバノンから現れた新世代ジャズの新たなスター

イブラヒム・マーロフが生まれたレバノンは、アラビア語圏にありながらフランス文化が混ざり合い、首都のベイルートを中心に独自のカルチャーが花開く中東の音楽大国。シーンには折衷性の高い作品が多く存在し、その様子はさながらアラビア圏と欧米のマッシュアップといった雰囲気だ。

Hiba Tawaji – Awwal Ma Cheftou

▲「レバノンのマライア・キャリー」とも言われる歌姫ヒバ・タワジ

Yasmine Hamdan – Nediya

▲ジム・ジャームッシュの映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アローン』にもフィーチャーされたヤスミン・ハムダンはオルタナティヴな音楽性

Nancy Ajram – Oul Tani Keda

▲アラビア圏を代表するスーパースターのひとり、ナンシー・アジュラム

その中にあって、レバノンに生まれパリで育ち、現在も両国を行き来する彼は、同じくトランぺッターだった父の影響を受け演奏をはじめると、トランペット奏者にとって最難関と言われるバッハの“ブランデンブルグ協奏曲第2番”をたった15歳で吹きこなすなど、早くからその才能を発揮。以降はパリ音楽院に進学し、<ハンガリー国際トランペット大会2002>を筆頭に数々の音楽賞を総なめにするなど、演奏者としての高い評価を獲得している。

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