三部作『homely』『100年後』『ペーパークラフト』で一つの地平に到達したOGRE YOU ASSHOLE(オーガユーアスホール)(以下、OGRE)から届いた2年ぶりのオリジナルアルバム『ハンドルを放す前に』。デビューアルバム以来のセルフプロデュースとなった本作で、これまでプロデューサーの石原洋と培ってきたクラウトロックやサイケ、ソウル、時にはハウス的な様々なエレメントを昇華。さらに隙間が多くなったサウンドスケープや、聴こえ方としては前に出てきた出戸学のボーカルの全てが相まって、絶妙なバランスで成立したアルバムと言えるでしょう。バンドサウンドの定義からとてつもなく自由でありながら、楽器の音や歌についてごく自然に新しい発見をもたらすこのアルバムのリリースを機に、作曲を手がける出戸学(Vo、Gt)と馬渕啓(Gt)に「最近のお気に入り」の楽曲でプレイリストを作成してもらい、バンドの新作との共通項についてもお話をお聞きしました。

Interview:OGRE YOU ASSHOLE

【インタビュー】OGRE YOU ASSHOLE 最近のお気に入りの楽曲プレイリスト In161202_OGREYOUASSHOLE_1-700x425

出戸“今回は後退してるかもしれないですね。“

——今回はデビューアルバム以来のセルフプロデュースで、そこには何か大きな理由があったんですか?

出戸学(以下、出戸) 大きな理由は特にないんですけど、自分たちで音のジャッジしてみたいと思って、それを試したかったっていうのが一番ですね。

——前作の『ペーパークラフト』も相当、音数は少ないと思ったんですが、さらに音の隙間が多いアルバムだなという印象を持ったんですけど、それもやはりそういうビジョンがあったからなんですか?

出戸 そう、例えばドラムだと、あんまり部屋鳴りとかリバーヴとかなくして、タイトにしてそのぶん音の隙間を開けて、とか、そういう質感のものは揃えていった感じですね。

——ジャケットのアートワークも含め、トータルで「先に進んでいいのか、後退した方がいいのか。」という気持ちにさせるんですが。

出戸 今回は考え方によっては後退しているかもしれないですね。三部作はどっちかというとハンドルを放した状態のものが多くて。ちょっとまぁ諦め感とかが強く出ていたと思うんですけど、今回は放す前ってことなんで、時系列で言うとちょっと手前の感じですね。今の世の中って、思ったよりも悪くもならないし、かと言って決して良くもなってないんですけど、何か起こりそうな雰囲気は常にあるっていう感じが、今回の歌詞を作った要因の一つかもしれないですね。

——隙間だけでなくて、以前からあるメロウでちょっと気が遠くなる感じの曲にも新しい聴感がありました。例えば“なくした”とか。

馬渕啓(以下、馬渕) ちょっとソウルっぽい要素もあるんですけど、いわゆるソウルって感じにしたくなくて、こう、ロボットが血の通った音楽をやっているというか、そういうちょっと変な感じにしたかったんですよね。

——ではお二人に選んでいただいた「最近のお気に入り」について伺います。David Axelrodはギターの音など、OGREの音が好きな人も納得な印象です。

出戸 60年代からサイケやジャズのバンドのプロデューサーをやっていた人のソロ作品です。このスキャットというかハミングの気だるい感じの音がすごい好きで。あとは録音の質感とかもすごい好きですね。

David Axelrod – “house of mirrors”

——ソウルフルなバンドのイメージが強いBooker T & The MG’sにこういうマイナー調の曲があるのかと驚きました。

出戸 はい。ほんとは別のアルバムで、再結成後の77年リリースの『Universal Language』に入っている曲“Last Tango In Memphis”が最近はお気に入りなんですけど、まぁこっちはこっちでいいんです。出だしのイントロのベースとかが結構好きな音の感じなんですよね。

Booker T & The MG’s – “L.A. jazz song”

——何がきっかけで触れたんですか?

出戸 子供の頃から家にレコードがあったりして、聴き馴染みもあるんですけど。これもそうなんですけど、最近実家の倉庫にあったレコードを引っ張り出してきて、何百枚かあるのを一個一個綺麗にして聴き直して、「ああ、こんな曲あるんだ。」みたいな感じで再発見してるんです。

——J.J.Caleの中ではこの曲はどんな曲なんでしょう。

出戸 J.J.Caleも70年代の頭ぐらいまでの音は質感が面白いのが多くて。ドラムとかも止まっていて、あんまり響きがないって感じっていうか。これもレゲエっぽいけどいわゆるレゲエに聴こえなのが面白くて好きですね。で、J.J.Caleのこの頃の曲は、今回のアルバムを作る前に「なんかこういう感じはいいよね」って話をした中の一つですね。

J.J.Cale – “crying”

——また有名どころですが、この曲はちょっと楽器の位置が不思議ですね。

出戸 この曲いいっすよね。コンガの感じが好きで。キャロル・キング、いい曲多いし、普通に好きなの多いんです。

Carole King – “ブラザー・ブラザー”

——スモーキー・ロビンソンのこの曲に関しては?

出戸 メロウでいい曲だなって感じですね。ノーテーションズ(シカゴのソウル・ボーカル・グループ)だっけ?変な歌い方はこの人の歌い方に少し似てるよね。

——語尾をシャウトするような感じですね。昔なんで当然ですけどトラック数もすごく少なくて、ギターがずっと左で鳴っています(笑)。

出戸 (笑)。タイトルがなんだっけな? “苦悩とエクスタシー”(笑)。

Smokey Robinson – “the agony and the ecstasy”

——出戸さんの5曲に関してはBooker.T以降は「実家再探索」ということで。

出戸 そうですね(笑)。有名どころで好きなテイストのものを選んだって感じですね。

馬渕啓の「最近のお気に入りの楽曲プレイリスト」をチェック!

続きをmysoundで読む!

RELEASE INFORMATION

ハンドルを放す前に

2016.11.09(水)
OGRE YOU ASSHOLE
PCD-26067
P-VINE
¥2,808(tax incl.)
[amazonjs asin=”B01LZ94ZXD” locale=”JP” title=”ハンドルを放す前に”]
詳細はこちら

EVENT INFORMATION

OGRE YOU ASSHOLE ニューアルバム リリースツアー 2016-2017

2016.12.03(土)
OPEN 18:00/START 18:30
札幌ベッシーホール
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2016.12.09(金)
OPEN 18:30/START 19:00
長野 ネオンホール
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2016.12.10(土)
OPEN 18:30/START 19:00
金沢 vanvanV4
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2016.12.11(日)
OPEN 17:30/START 18:00
甲府桜座
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2016.12.15(木)
OPEN 19:00/START 19:30
京都メトロ
ADV ¥4,500/DOOR ¥5,000

2016.12.16(金)
OPEN 18:00/START 19:00
岡山 YEBIS YA PRO
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2016.12.17(土)
OPEN 18:00/START 19:00
広島 4.14
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2017.01.14(土)
OPEN 18:30/START 19:00
福岡 BEAT STATION
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2017.01.15(日)
OPEN 18:00/START 18:30
鹿児島 SRホール
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2017.01.21(土)
OPEN 17:00/START 18:00
名古屋 CLUB QUATTRO
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2017.01.22(日)
OPEN 17:00/START 18:00
大阪 umeda AKASO
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2017.01.28(土)
OPEN 17:30/START 18:00
松本Alecx
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

2017.02.04(土)
OPEN 18:00/START 19:00
東京・恵比寿 LIQUIDROOM
ADV ¥3,600/DOOR ¥4,100

詳細はこちら

photo by Mayuko Yamaguchi