人生において本当の豊かさを考えるきっかけは人それぞれである。
当たり前すぎて目を向けていなかった鹿児島の日常に面白さを感じ、当たり前の暮らしを楽しむ方法を自分たちの足元から掘り起こす。
そんな”良き隣人たち”の集うお祭りがある。音楽、クラフト、デザイン、アート、写真、映画、文学、食など、あらゆるジャンルのクリエイティブな活動を自然の中で楽しむフェスティバル。

大和桜酒造を訪ねる前日に噂の<グッドネイバーズ・ジャンボリー>を訪ねた。
鹿児島の深い森の中にたたずむ廃校を舞台に、一度参加したら絶対に友人に「行こう」って言いたくなる、今年で6回目を数える「お祭り」だ。

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仕掛人はDouble Famousのリーダーであり同イベント実行委員会代表を務める坂口修一郎さんと、ランドスケーププロダクツ代表の中原慎一郎さん。ともに鹿児島県出身、同い年である。

「グッドネイバーの”ため”ではなく、グッドネイバーと”一緒に”ですね。だから参加型なんですよ。できあがったものを見せる場ではなくて」
以前、インタビュー(※)で主催者の中原慎一郎さんがいっていらした。

色んなジャンルのアーティストや人たちのつながりから面白いものが生まれる、凄く自然で有機的な関係。

「やっぱりね、一番楽しいのは自分で何かすることだから。だって、どんなすごいアーティストや有名人が毎日来ても街は楽しくな らいでしょう。いちいち行くのにお金がかかるし、それも毎日だったら、普通になっちゃう。それより自分でちょっと参加できることがあるほうが、生活は楽しくなる。阿波踊りみたいなもので、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿保なら踊らにゃ損々、って」(坂口さん※)

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「鹿児島の人が楽しんで、鹿児島の人がパフォーマンスをして、その楽しさに引き寄せられるように県外の人が遊びに来るっていう。まあ、鹿児島に行く口実みたいになれば面白いと思うんですよね」(坂口さん※)

フェスティバルとして非常に健全で誰も無理していない。
会場全体が、参加者みんなが楽しみで仕方ない、「お祭り」の最高な雰囲気。

「スタッフの200人もすべてお客さんなんです。たまたま店やブースの中にいるか、外にいるかの違いぐらいであって」(坂口さん※)

関わっている方々のコミュニティがどんどん大きくなって、彼ら”良き隣人たち”がスピーカーとなって、鹿児島のムーブメントは着実に広まっていっている。

「基本は”1品持ち寄り”の考え方と一緒なんですね。音楽ができる人なら演奏すればいいし、食事が作れる人は食事を出す、モノを作れる人はそれを人に教えたり、出品する。その日は働かずに純粋に楽しみたいという人はお金を持ち寄る」(坂口さん※)

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「Be a good neighborsーよき隣人たれ−」。それは、名付け親である編集者の岡本仁さんが、サンフランシスコの道端で出会った言葉だそうだ。

「元々、岡本さんが言い始めた『Be A Good Neighbor』って言葉が伝わるのが一番いいかなあって。やっちゃダメとか、ああしろこうしろっていうことではなくて、自分から良き隣人として関わっ て、こうしたらお互いに気持ちいいんじゃないかと思える行為ができるかどうかだと思うんです。どうしてもみんな受け身になりがちです から。東京なんて、やってもらう、出してもらうが当たり前になっちゃてて」(中原さん※)

「わりとみんな『ちゃんとしなきゃ』って思っている人が多いですからね。すごく大きなことをしなければいけないとか、すごく立派な人を呼ばないといけない、地元のすごくいいものを出さなきゃいけない、そんな風に思ってるんですよね。でも、要はここの食パンうまいよね、とか、そんな当たり前の小さなことをたくさん集めておくことがすごく重要で、簡単で、すぐできて、盛り上がるんですよ。そ れは誰にでもできて、まったく特別なことではないですから。あとはそれをみんなでシェアするだけです」(坂口さん※)

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日々の生活を大事にすると、つい見過ごされそうな背景にも想いを馳せることがある。
そんな中に本当の豊かさがあるのだと僕は、この旅で改めておもった。

「また来年も参加しよう、あの友人を誘って」そんな思いで帰った我が街は、また違って見えた。
All My Relations、僕らはすべての存在と繋がっているのかもしれない。

GOOD NEIGHBORS JAMBOREE

(※インタビュー内容は、サイトhouyhnhnmで2012.08.06に掲載された記事を参照しています。)