みなさん、こんにちは! 2017年ももうすぐ終わろうとしていますが、今年の新日本プロレスも本当に熱かったですね。<G1クライマックス>をはじめとした季節ごとのリーグ戦などの盛り上がりももちろん、本当に多くのスター選手達がしのぎを削った1年だったと思います。

年明けからタグチジャパンが誕生したり、鈴木軍が戻ってきて荒れたり、内藤哲也選手がG1で優勝して世界中を大熱狂させたり、海外遠征していたYOH&SHOが衝撃の凱旋帰国を果たしたり。振り返ると本当に1年中ワクワクさせてもらった気がします。

そんな中、今回は新日本プロレスのジュニアヘビー級を長年牽引し続け、年明けのイッテンヨン東京ドーム大会でタイトルマッチに挑戦するKUSHIDA選手にインタビューさせて頂きました。実は僕、KUSHIDA選手とは年齢もプロレスファン歴もほぼ同じで、思い出話も含めてすごく盛り上がるインタビューとなりました。

Interview:KUSHIDA

——KUSHIDAさんは確か幼少の頃からプロレスファンだったと伺ったことがありますが、昔から憧れてたレスラーは誰かいらっしゃいますか?

やはり、僕は子供の頃からジュニアヘビー級のレスラーに憧れていましたね。ライガーさんから始まって、ウルティモ・ドラゴン、グレート・サスケ、スペル・デルフィン。僕は特にデルフィンさんが大好きでした。最初にプロレスを観たのは1990年の武藤敬司さんの凱旋帰国の試合です。その後、日米レスリングサミット(※)とか見てました。

小学生の頃は背の順でも前から2番目でしたし、当時からヘビー級よりジュニアヘビー級の方が好きでしたね。真似したいポーズや技は、この当時のジュニアヘビーのレスラー達からとても影響を受けました。みちのくプロレスのふく面ワールドリーグ戦を観に福島まで行ったこともありますよ。

※1990年に東京ドームで行われた新日本プロレス、全日本プロレス、WWF(現:WWE)の合同興行として行われた歴史的な大会。

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——僕、子供の頃はいつもプロレスラーの真似ばかりしてたんですが、KUSHIDAさんも真似とかされてましたか?

めちゃくちゃしてましたね。Tシャツをリメイクしてマスクを作ったりしてました。たぶん、その時作ったマスクが今でも実家に残ってます(笑)。マジックで模様を描いて、それを袋状にしてかぶるので、プロレスごっことかをしてると汗で滲んで顔について取れなくなるんですよ(笑)。

最初は家の中だけの秘密にしてたんですけど、あるとき多摩川で友達と野球するぞってなった時、自転車でそのマスクをかぶって登場したらドン引きされましたね。その時はデルフィンさんのマスクを描いてました。

——僕は金本浩二さんのローリングセントーンが子供の頃の得意技だったんですが、KUSHIDAさんの子供の頃の得意技があれば教えてください。

ムーンサルトですね。ソファの肘掛けからのムーンサルトプレスだったので、けっこうバク転気味にやってましたが、小橋式と武藤式を使い分けてました(笑)。武藤さんの方がしなやかで距離が生まれるっていう。

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——子供の頃の得意技のレベルの高さに驚きましたが、その頃から運動神経は良かったんですね。

球技はあまり得意ではなかったですが、とにかく足は早かったです。小学生の頃って足が早い男子がモテたりしますが、僕はいつも周りにプロレス普及活動をしてて。高校に入っても、一番後ろの席で常に『週刊プロレス』と『週刊ゴング』読んでる高校生だったので、プロレス臭がしすぎて全くモテなかったです(笑)

——子供の頃、好きなレスラーの思い出に残っている試合はありますか?

えっと、難しいですね……明日聞かれたら違う試合を答えるかもしれないですけど(笑)。やっぱり武藤さんの凱旋帰国試合ですかね。武藤敬司・蝶野正洋 vs. 橋本真也・マサ斎藤。

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——子供の頃からずっとプロレスラーになろうと思ってたんですか?

いや、なれると思ってなかったですね。やっぱり新日本プロレス入門テストのメニューや募集要項を見たりしてると、そもそも募集要項に書かれてる180cm以上なかったですから。あの募集要項を見た時は絶望しますよね(笑)。

でも、プロレス好きな気持ちが僕は溢れてたので、将来どうしたら良いかわからず悶々とした青春時代を送っていました。そんな中でも総合格闘技の練習を高田道場(※)で始めて、試合もたくさん出場させてもらったので、基礎体力や自分の身を守る技術はその頃に自信がついてました。

そしてやっぱりプロレスラーになりたくて、どうしたら良いか考えた結果「メキシコに行くしかない」という結論になったんです。ライガーさんがプロレス雑誌で「背が低いからメキシコに行った」と語っていたのを完全に鵜呑みにしちゃいましたね(笑)。

でも、自分の中ではそこまで大きな決断という意識ではなく、ただ単にプロレスの練習をやりたい、ルチャをやってみたい、という一心で飛びました。

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メキシコに行った時は言葉も全然わからず、知ってるスペイン語といえば「ラ・マヒストラル」「ウラカン・ラナ」みたいなプロレス用語のみ(笑)。メキシコに着いたのが深夜で、天気も大雨だったんですよ。野良犬も多いし、当時は治安も悪かったので怖かったです。

でも練習で認められるしかなかったので、言葉は通じなくても必死に練習に取り組みました。練習で一緒に汗を流して初めてメキシコ人の友達ができるという環境だったんです。

※1998年に高田延彦が設立したレスリングと格闘技の道場。

——メキシコ生活では、周りのレスラーとは言葉がわからずコミュニケーションに不自由しませんでしたか?

最初はなかなかこちらから話しかけられなかったですが、歴代メキシコに渡ってた日本人レスラーたちが「おかま」とか「ばか」とか変な日本語をいっぱい教えてたみたいで(笑)。それでみんな変な日本語で話しかけてきてくれたので、コミュニケーションを取り始めるのは早かったですね。

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——今までほんとにいろんなタイプのレスラーと幾多もの名勝負を繰り広げて来られましたが、デビューから今までで特に印象に残っている試合はありますか?

やっぱり最近で言うと10月のオスプレイ戦が強く印象に残ってます。デビュー戦も鮮明に覚えてますが。僕の場合デビューがメキシコだったので、言葉もわからないし、タッグマッチだったんですがパートナーのアドバイスもわからないっていう(笑)。わけがわからないままあっという間に終わってしまったんですけどすごく楽しかったです。片田舎の100人くらいの会場だったんですけど、会場の子供達も日本人の僕をすごく応援してくれて。

——メキシコに渡られてからのデビュー、確かすごく早かったですよね?

めっちゃ早かったです。たぶん2ヶ月くらいでしたかね。受け身や関節技などの基礎ができてたからかもしれないですね。ただ、さすがメキシコってすごいなぁって思ったのが、メキシコに着いた初日、プロレスを習いに来た僕に向かって、コーチが「子供達に教えてくれ」って言ったんですよ(笑)。コーチが道場の一角でタコス屋を経営していて、店番しないといけないからって(笑)。このままずっとここでコーチさせられるのかって一瞬思いましたね。

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——以前ライガー選手と話してて教えてもらったんですが、プロレスラーって絶対負けた試合の方が覚えてるっておっしゃってました。10月のオスプレイ戦が印象に残っているのもそういう事ですかね?

絶対にそうだと思いますね。僕も9:1くらいで負けた試合の方が覚えてます。負けた試合の方が思い返すし、勝った試合はすぐ記憶から抹消されます(笑)。でも、そういう負けん気の強い人の方が長くプロレスラーを続けられるのかもしれません。

——前回の1.4では非常に悔しい思いをされたと思いますが、あの時の心境などは何かありましたでしょうか?

1.4の前はずっと連勝防衛を続けていて、髙橋ヒロムが帰ってきた時に受けて立てる状況は作れていたので、負けはしましたが自分の気を引き締め直す良いきっかけにはなりましたね。

——今回の1.4では初の4wayマッチとなりますが、何か作戦や特に要注意している相手、秘策はありますか?

4wayマッチは今まで何度もやったことあるんですが、まあ間違いなく僕のスタイルには合わないですよね(笑)関節技もすぐカットされるので使えなくなったりするし。でも新日本プロレスのIWGPジュニアヘビーのタイトルマッチとしては史上初の4wayマッチなので、すごくワクワク感はあります。

ヒロムは1年前にやられているので同じ場所でやり返したいという気持ちはありますし、ウィル・オスプレイはせっかく僕からベルト獲ったのにあっさり獲られやがってという思いもありますし。でも、やっぱりチャンピオンから3カウントとりたいですね。他の人から3カウントとってもルール上はベルト奪取にはなるんですけど、僕はチャンピオンのマーティー・スカルから3カウントとりたいです。

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——全然プロレス関係ないですが、いろんな人から「KUSHIDAさんに会ったら絶対聞いてくれ」って言われてる質問がありまして(笑)。大好きでいらっしゃる『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の1、2、3、どれが1番好きですか?

(即答で)2です! やっぱり2の未来感! 今の映画だとCGで何でもできて凄すぎるって思うんですけど、あの映画は80年代の映画の中で頑張って未来感を出そうとしていて、すごくグッとくるんです。そしてその内容が今の実際の未来とずれてないところがすごいんですよね。iPad触ってる時とかamazonで注文する時とか、Suicaでピッとする時とか、あの映画の世界観を感じてニヤニヤしてしまいます(笑)このまえホバーボードも発明されてたので、いつかあれに乗って入場したいです。

以上、KUSHIDA選手へのインタビューでした。プロレスの話ももちろんすごく興味深かったですし、ずっと気になってた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の話も聞けて嬉しかったです(笑)。

いよいよイッテンヨンまで約1ヶ月となりましたが、毎年プロレスファンからするとイッテンヨンが終わらないと年が明けないんですよね。イッテンヨンはプロレスファンの初詣だと思いますので、ぜひ皆さんも会場で歴史的な瞬間の目撃者となりましょう。僕も会場にいますので見かけたらぜひお声がけください。次回のみちくさボンバイエもお楽しみに、それでは。

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EVENT INFORMATION

WRESTLE KINGDOM 12 in 東京ドーム

2018.01.04(木)
OPEN 15:30/START 17:00
東京ドーム
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