ヨーロッパや日本をはじめ、世界中にマーケットを持ち、アンダーグラウンドダンスミュージックシーンにおける絶大な支持と確固たる地位を築いている”Rush Hour”が4月5日(金)~7日(日)の三日間に渡り、豪華ラインナップと共にレーベルナイトを開催した。同イベントは、新店舗に移転してから3年目を迎えたことを記念し、インストア、Shelter、Claireの三箇所にて盛大に行われた。それらパーティーの模様とRHイベントにレギュラー的に参加している日本酒バー、フードやアートといった日本文化とのコラボレーションにスポットを当て、2回に渡り現地レポートをお届けする。

第一弾レポート!!Rush Hour新店舗3周年記念を日本酒と日本文化で祝う

約4年前、初めて”Rush Hour”(以下、RH)を取材した時はまだ初期の店舗で、どこか手作り感の残るアットホームな雰囲気が好印象だったのを覚えている。トップクラブTrouwが閉店して間もない頃で、現在の人気クラブDe schoolもShelterもまだなく、世界はEDMに夢中だった時代。アムステルダムのアンダーグラウンドシーンは混沌としているかのように思えたが、決して広くはないRHの店舗だけは世界のトップアーティストが連日ツアーの合間に訪れ、レコードの入ったロゴ入りのオリジナルトートバッグを大事そうに抱えるファンで常に賑わっていた。

2015年のRH取材記事はこちら

近い将来を見据えたかのような活気と期待で満ち溢れていたRHは、翌年の2016年に同じストリート沿いに以前の3倍近い広さの新店舗をオープンさせた。高級ホテルかブティックのようなゴージャスな店構えは、そのままレーベルの更なる繁栄を証明するものとなり、ヨーロッパを越え、アメリカ大陸やアジア諸国を網羅し、期待以上の勢いと規模で広がっていった。そんなRHの軌跡を改めて追っていきたい。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A8891

土曜の午後からRH店内では、インストアイベントが開催された。Darlingによるライブ、Jordan GCZがDreamcastを迎え入れたスペシャルライブ、Awanto 3、Margie、SekanによるDJとエントランスフリーなのにかなりの贅沢なラインナップにフリービールという太っ腹。15時からゆったりとスタートしたインストアイベントはその辺のクラブより良質な重低音を店内と店先に響かせながら、17時にはブース前に人集りが出来るほどになった。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A8908

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A8927

当然ながらイベント中もレコードの試聴、購入が可能となっており、次々とレコードやグッズが売れていく。スタッフルームでビールを飲みながらくつろいでいるとフル回転で対応しているスタッフが入れ替わり立ち替わり入ってきては、「今日は忙しい!でも良い忙しさだから全然気にならないよ!」と嬉しそうに話してくれたのが印象的だった。
オーナーでレーベルボスのANTALも出演者のJordan GCZ(Juju & Jordashのソロプロジェクト)や次々やってくる関係者や常連客一人一人と挨拶を交わしながら終始忙しそうだった。いつの間にか店内は世界のトップアーティスたちとRHファンの交流の場が出来上がっており、良い雰囲気を醸し出していた。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A8960

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A9223
Jordan GCZ(中)/Darling(右)

有名店であればあるほど写真を撮りにくるだけのミーハーな”冷やかし”を払拭し、真のヴァイナルディガーを確保したい気持ちは分かる。ベルリンの硬派なテクノ店やオーナー自らそういうスタイルを取っている個人店もあり、”一見さんお断り”オーラがすごい。しかし、RHは打ち出している音自体も雰囲気もそれとは異なり、常に温かく迎え入れてくれるスタイルが私は好きである。幅広いファン層を掴んでいるのはそういった理由もあるからだと推測する。

そんなRHクルーはボスのANTALを筆頭に親日家であり日本文化が大好きなことでも知られている。今回のアニバーサリーの最終イベントである「Somewhere in Amsterdam」においても、日本酒専門のバー、寿司バー、日本人アーティストDaijiro Hamaによるライブペイントといった日本文化とのコラボレーションを行っている。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A0189
寿司バー「Chef Ito」
祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A0526
Daijiro Hama

会場となったClaireのメインフロアーとは全く雰囲気の違ういわば”居酒屋”のような空間にパーティー目的のヨーロッパ人が来るのだろうか?と不安を覚えたが、驚くほどの盛況っぷりと日本酒に詳しいオランダ人やフランス人、ベルギー人が多くてびっくりした。寿司と日本酒はヨーロッパですでに市民権を得ていることは周知だが、純米酒と純米吟醸の違いを分かっていたり、梅酒や一番人気のゆず酒といった甘みのあるお酒好む男性も多いことを知った。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A0316

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A9933

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A0042

同パーティーは以前から開催されているパーティーであり、過去にはRHとも親交の深い日本の人気フェス<Rainbow Disco Club>が冠となって開催されていたりと、毎回会場やコンセプトを変えている。そこに毎回出店しているのが日本酒バーの<Otemba Sake>である。Otemba Sakeとはもともとアムステルダムでイベントオーガナイズを担ってきたプロジェクト「Wakyo」がスタートさせた新事業。過去にはSystem7やA Guy Called Geraldなどを招聘し、寿司とダンスミュージックのコラボレーションイベントを開催しているというユニークな経歴を持っている。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A0080

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A9951
”Otemba Sake”バー

同事業は、ヨーロッパではまだどこも取り扱っていない希少価値の高い良い日本酒だけを日本各地の酒蔵から仕入れ、ヨーロッパ諸国で独占販売しており、実は日本酒が飲めない私でも味の良さが即座に分かるほど上質だった。現在はアムステルダムを中心に、RHのイベントや日本文化をフィーチャーしたイベントやフェスへの出店、ポップアップイベントなどを予定しており、ベルリンやその他ヨーロッパの主要都市へと広げていくとのこと。舌の肥えた日本酒ファンも多いヨーロッパにおける日本酒マーケットは、今後、質とセンスの勝負になっていくだろうと感じた。

祝Rush Hour!! ダンスミュージックと日本酒の美味しい関係 2Q8A9913
”陸奥八仙”(八戸酒造)

レーベルの看板アーティストであるHuneeやFloating Pointsが出演した「Weekender」とDreamcastやSassy Jらが出演した「Somewhere in Amsterdam」のパーティーについては次回じっくり、たっぷりお届けする。お楽しみに!!

Photo by:Atsushi Harada
Special thanks:Yasuharu Fujiwara(Otemba Sake/Wakyo)