本年度のアカデミー賞作品賞を受賞した『グリーン・ブック』は、肌の色も性格もまったく違う二人の男の友情の物語だ。高級マンションで暮らす黒人ミュージシャン、ドン・シャーリーと、彼に運転手として雇われた下町育ちのイタリア系移民のトニー・リップ。二人は人種差別が激しいアメリカ南部を旅しながら絆を深めていく。

実話を映画化した本作は、友情をテーマにした映画、「バディ・ムービー」の新たな名作だ。
そこで『グリーン・ブック』に負けない相棒愛がたっぷり味わえるバディムービーの名作を紹介しよう。

相棒との絆に胸が暑くなる名作映画4選!

『最強のふたり』(2011年)

最強のふたり(字幕版)

事故が原因で首から下が麻痺してしまった、パリに住む大富豪のフィリップ。身のまわりの世話をする介護人を募集すると、そこに失業中のアフリカ系移民、ドリスがやって来る。ドリスは失業保険を手に入れるために面接を受けに来ただけで、働くつもりはなかった。ところが、気難し屋のフィリップはドリスを選び、ドリスは屋敷に住み込みで働くことに。そして、肌の色も性格もまったく違う二人は、ぶつかりながらも次第に絆を深めていく。

偏屈でインテリの金持ちとタフで陽気な移民、まったく違う二人が相棒になるという点では『グリーン・ブック』に通じるところがある本作。しかも、どちらも実話をもとにした物語だということに驚かされる。フィリップは自分が障害者として特別視されるのを嫌っていて、率直に思ったことを言うドリスを好きになっていく。そして、最初は主人と雇用人の関係だった二人が、次第に対等の相棒になっていく過程が楽しい。

そこで重要なのが、お互いに正直であること。そして、ユーモアだ。フィリップが自分の障害について語ると、ドリスは「俺なら自殺するね」と冗談を飛ばし、フィリップは「障害者には自殺するのも難しい」とやり返す。人の心を解きほぐすユーモアは、この物語の大切な要素だ。

映画ではドリスの抱える複雑な家庭問題にも焦点を当てていて、二人がそれぞれ生き辛さを抱えていること、だからこそ絆が生まれたことが伝わってくる。それぞれ問題を抱えながらも、一緒にいることで難問を乗り越える力が生まれる。それが相棒の魅力なのだ。

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